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親より先に死んだ俺、異世界で徳を積んで無双する  作者: 田舎浪漫


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ちょーふつーのスパイ


「……………かくほー!!」


ヤスオの野太い声が響いた瞬間、空気が凍りついた。


「え?」


治療術士の女がキョトンとし、隣にいた重戦士と斥候の二人がかりで、地面に叩き伏せられていることに気付く。


「なっ、なにするのよ!? 離して!」


「見苦しいぜ。奴隷商の連絡員さんよぉ」


ヤスオが冷めた目で女を見下ろす。あえて泳がせていたスパイの確保。それは一ヶ月前に、ヤスオが連れて来た時から始まっていた。



--------------------------------------------

回想


『なあ、ヤスオ。俺は奴隷商ブッ飛ばしに行く冒険者の協力者は5人って聞いてたんだが?』


俺がカーテンの隙間から窓の外を覗くと小屋から少し離れた場所に6人の集団がいるのが見える。


「ああ、協力者は5人だぜ?嬢ちゃん鑑定使えんだろ?見てみろよ」


まあ人数もだが、見た目のインパクトが凄い気になってしゃーない。でも見ては行けない気がする……が見ない訳にはいかないので、エマに鑑定を頼む。


「エマ、頼めるか?」


「そうね、見てみるわ。」


エマが鑑定の結果を、念話を使い俺だけに伝えてくる。


名前:ユータ

性別:男

年齢:2568歳

種族:エルダードワーフ

職業:冒険者ギルドイーサ支部支部長、ドワーフの里相談役

称号:紳士を装うナルシスト、酒に嫌われし者、聖剣量産工場

スキル:速読速記、ゲコ(喜怒哀楽)鍛冶神の加護(匠の鍛冶)、 etc.

備考:秘密保持契約中


名前:クルス

性別:オス型

年齢:1999歳

種族:ホムンクルス(巨人族ベース)

職業:イーサ支部B級冒険者(重戦士)

称号:名も無き錬金術師の忘れ形見、自我を得た悲しきゴーレム、難攻不落の盾使い

スキル:豪腕、豪脚、大地神の加護(土魔法、重力魔法)、etc.

備考:秘密保持契約中、生命活動停止まであと1年


名前:マリン・ショーナン

性別:女

年齢:508歳

種族:マーメイド(エルフに偽装中)

職業:イーサ支部B級冒険者(斥候)、海底国家ショーナン第2王女

称号:大地に憧れる幼き少女、恋に恋する魔性の女、メンヘラアサシン

スキル:遠視、暗視、隠密、カモフラージュ、ナイーブなナイフ術、水神の加護(水魔法)、etc.

備考:秘密保持契約中、親子喧嘩で父親(国王)をぶっ刺して(軽傷)家出中(指名手配中)


名前:レンレン(愛称)ニコタール・スカイ(本名)

性別:オネェさん

年齢:15763歳

種族:エンシェントドラゴン(人化中)

職業:イーサ支部B級冒険者(魔術師)、天空国家スカイ初代国王

称号:物理の魔法少女?、剃らない勇気、滾る男気、天空の守護者

スキル:ファイア(物理摩擦熱)、エクスプロージョン(物理パンチ)、炎神の加護(炎魔法)、風神の加護(風魔法)、etc.

備考:秘密保持契約中、レンレンの空中散歩チャンネル(登録者数82)


名前:サルユキ

性別:オス

年齢:18歳(猿の年齢)

種族:猿(光と闇の精霊憑依中、猿の獣人に偽装中)

職業:イーサ支部B級冒険者(弓使い)、光の大精霊、闇の大精霊、光マナネット商会会長、ダークフォン商会会長、動画配信アプリマナネット開発者

称号:光の狙撃手、闇の狙撃手、

スキル:言語翻訳、弓術、光神の加護(光の精霊魔法)、闇神の加護(闇の精霊魔法)、etc.

備考:秘密保持契約中


名前:レオ(偽名)レオナ(本名)

性別:女

年齢:24歳

種族:人間

職業:イーサ支部B級冒険者(治療術師)、闇奴隷商会幹部

称号:堕ちた治癒術士

スキル:ヒール

備考:


「……………」


ハッ、気を失いかけていた。情報が多すぎてどこから、突っ込んで良いのか分からん。エマも隣でポカーンとしている。


「どうだ?見えたか?俺は鑑定は使えねーからな、確信はねーんだが、一人いるだろ?真っ黒な奴が」


多分、治療術士のことを言ってるんだろう。だが、今はどうでもいい。スパイかもしれないが一番まともだろ。こいつ。


『ああ、一人いるな。ちょーふつーのスパイが。』 


「やっぱりか。アイツは逆に利用するつもりで連れてきたんだよ」


『……ところで他の奴はどんな基準で参加してるんだ?』


「他の奴らか?ユータ…支部長の推薦だな。今回、スキルを取ればS級にあげてもいいベテランの実力者達らしい。俺も今日会ったばかりだが、まあそれなりに強いんじゃないか?あぁ、それと支部長は昔なじみだから知ってるが俺とタイマンはれるぐらいには強いぜ?」


『……なあ、実は俺とエマの討伐隊ってことは無いよな?』


俺は思い切って、核心を聞いてみた。


「ワハハハ、何だそれ、強いって言っても俺からしたら赤ちゃんだ、赤ちゃん!お前達を討伐するなら、他の街のS級冒険者を何人か連れて来ないと無理だろっ」


『それを剣……いや蜂蜜酒に誓えるか?』


ヤスオは、本当に、こいつらの実力を知らないのか?こいつら全員、お前を瞬殺出来るくらいに強いと思うよ?皆スキルたくさんあるし。俺とエマも瞬殺されるかもしれん。俺は心の声を抑え、ヤスオに聞く。


「あぁ、蜂蜜酒に誓うぜ。心配するな。俺たちの目的は奴隷商を潰すことだろ!」


『ああ、そうだな』


『ソウネ、ドレイショ、ブッツブシマショ』


何故かエマがカタコトになって戻ってきた。

まあ俺たちの討伐隊では無いことを今は良しとするか。もう、厄介事の未来が見えてるけどな。


--------------------------------


その後のヤスオとユータの手際は完璧だった。スパイである治療術士にだけ、偽装した契約書にサインさせ、わざと情報が筒抜けになるように偽の作戦計画を立てたのだ。そして決行前夜、今の「かくほー!」に至る。


「さて、スパイから『偽の情報』を掴まされた奴隷商どもは、今頃ありもしない伏撃地点で首を長くして待ってるはずだ」


ヤスオが拘束された治療術士をユータに預け、俺たちに向き直り改めて作戦を話し出した。



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