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親より先に死んだ俺、異世界で徳を積んで無双する  作者: 田舎浪漫


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デジャヴ再び

随時、誤字脱字、物語の矛盾等修正していきます。


成長の糧にしますので是非酷評宜しくお願いします。

小屋の前で、夜の帳が下りる。パチパチと爆ぜる小さな焚き火が、トールとマミの幼い顔を赤く照らしていた。ヤスオが買ってきた干し肉の匂いが漂う中、俺は、興奮気味に念話を飛ばす。


『おい、みんな聞いてくれ! 俺に天の声?神の声?みたいなのが聞こえてな、このあたりの奴隷商組織を根こそぎぶっ潰せば、徳ポイントが手に入るし、念話完全版の獲得ができるって言われたんだ』


だが、例によって不完全スキルの呪いが、俺の言葉を最悪のものへと変換する。


「ヒィッ!? 『生贄を……ピンクの祭壇に捧げ、絶望の淵へ叩き落とす……』!? おにいちゃん、やっぱりこの蜂、元人間なんかじゃなくて、本物の魔王だよぉ……!」


マミがトールの背中にしがみつき、大きな瞳を涙で潤ませる。


「落ち着けマミ! 俺が、俺が盾になるから……! 生贄にされる前に、せめてお腹いっぱいお肉食べたかったな……」


「待て待て!トール、マミさっき説明しただろ!こいつの念話は変な翻訳されるんだよ。本気にするな。コーセーは俺以外に念話を飛ばすな。学習しろ!」 


…ぐぬぬ!


酔っ払いのダメな大人に叱られ、正論過ぎて反論も出来ない。人生ではじめて(まあ死んでるんだが)俺の頭にぐぬぬ!という変な擬音が鳴り響く。これが悔しいってやつか。デジャヴ再びだな。


『コーセー。クエストをクリアすれば完全版の念話スキルが手に入るんだから今は我慢するのよ。……それよりヤスオ、聞いてたわよね? クエスト手伝ってくれるかしら?』


エマがヤスオに問いかける。酒瓶をラッパ飲みしていたヤスオは


「徳ポイントは良く分からねぇが、俺たち冒険者なんかはその天の声をスキル獲得クエストって呼んでるな。教会の奴らは神託って言ってるがな。」


やっぱりあるよなー宗教。ファンタジーな世界に来てあれだが、神なんて嘘くさい存在だと思ってたんだけどな俺は。ま、目の前に元神族wがいるから今さら否定は出来ないんだよな。


ガンッ!「いったあー!?」


「魂に響く拳骨よ?」


痛みに悶えながらエマに抗議すると「私の感が殴れと言ったわ」と告げてきた。これ以上は藪蛇になると思い俺は沈黙した。


「何やってんだお前ら…ちゃんと聞け。スキル獲得クエストは、まあ滅多にないんだが、達成すると聞こえた本人だけでなく参加した奴にも貢献度に応じた強力なスキルが貰える。俺の酒神の加護(状態異常無効)もスキル獲得クエストで手に入れたんだぜ?」


『と、いうことは?』


「もちろん手伝うぜ……それにな、俺が借金をするようになったのも奴隷商が運営する賭場で負けたせーだ。奴らゆるせねー。俺の人生を狂わせた罪、利息まとめて組織ごと精算してやる!ま、クエスト達成したら俺の酒神の加護(状態異常無効)さらに成長しそうな気がするんだよな」


ヤスオが柄にもなく、大剣の柄を強く握りしめた。単なる正義感ではなく、ギャンブルの負けを組織の壊滅で上書きしようという、極めて俗で私怨に満ちた決意。だが、その瞳に宿る剣聖の鋭い光は、間違いなく本物だった。


「あの……兄貴、」


トールがマミの肩を抱きながら、おずおずと一歩前に出た。


「俺たちの親も、仲間の獣人たちも、まだあの冷たい檻の中に捕まってるんだ。……お願いだ、みんなを助けてほしい。俺も、何でもする。囮にだってなるから!」


「…任せとけ。ガキの涙を肴に飲む酒ほど不味いもんはねぇ。俺の酒に誓って、全員助けてやるよ」


『いやそこは剣に誓えよ!』


「……」


俺のツッコミは腹立たしいすまし顔でスルーし、ヤスオは枝を拾い、地面にメモを書き始めた。


「よし、作戦会議だ! 敵は街の地下、そして郊外の廃村に拠点をいくつか持っているらしいが詳しいことは分からない。だから情報が必要なんだが…」


ヤスオは全員を見回し考えている。


「これは俺がするしか無いか。よし明日から俺が街で情報収集と、必要な物資調達をしてくる。次はトールだ」


「はい!」


「お前はクエストに参加したいなら、今のままじゃただの足手まといだ。明日から俺が街に行っている間、基礎修行だ。山道を10往復ランニング、その後に木刀で素振り1000回。お前のその『狼の嗅覚』を戦闘で活かす方法も、俺が帰ってきたら実戦形式で教えてやる」


「わかった……わかりました!師匠!」


「師匠じゃねぇ、が…まあいいか。次は料理番だ。いいか、戦いには栄養が一番大事だ。だからこれを、エマ」


「私が料理をした事あると思う?」


「……コーセー!」


「ハハッ。料理は食べる物だ。作る物じゃない!」


「……マミ。俺が教えるから料理を覚えてくれ」


マミが不安げに、しかし力強く「はいっ……!」と頷く。そこでヤスオが急に立ち上がり、自分の頭を抱えて叫んだ。


「……待て。待て待て。整理させろ。街での情報収集も俺、買い出しも俺、トールの教育も俺、マミの料理指導も俺、おまけに明日の朝飯の準備も俺かよ! お前ら蜂コンビは何してんだよ! 完全なワンオペじゃねーか!!」


『あら、失礼ね。私たちはヤスオが買ってきた物資で、本格的に蜂蜜酒作りを始めるのよ(主にコーセーが)。これが私たちのメインクエストなんだから。それに私は全体の統括(寝てるだけ)を担当するわよ』


エマが女王然として、太い腹をドスンと地面に落ち着かせる。


「そうだよ、ヤスオ。俺は『働き蜂』だからな。ヤスオが一生酒に困らないくらいの極上の酒を作らなきゃいけないんだ。適材適所だろ? 」


「……『働き蜂』ってお前はニートだろ!クソっ、 まぁいい、美味い酒のためだ、全部やってやるよ! あー、忙しくなりやがる。何でこんなことになったんだ…B級冒険者のままが気楽でよかった…」


ヤスオはぶつぶつ文句を言いながらも、どこか楽しそうに、焚き火を見つめながら酒瓶を傾けた。

デコボコすぎる一行の、奴隷商組織壊滅に向けた奇妙で騒がしい「作戦会議」は、まだまだ続く。


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