表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親より先に死んだ俺、異世界で徳を積んで無双する  作者: 田舎浪漫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/23

一石二鳥


「はぁ、はぁ……なんで俺が掃除なんてしなきゃいけねーんだよ!俺の職業は、ニートの働き蜂だぞ」


俺は、前足でボロ雑巾(ヤスオの古着)を握りしめ、埃まみれの床を拭いていた。隣では、エマがホウキ代わりに木の枝で天井のクモの巣を払っている。


「文句を言ってないで手を動かして。これも立派な徳を積む行為よ。多分。それに、雨風しのげる場所があるだけありがたいと思わない?」


俺たちがいるのは、森のさらに山奥。ヤスオが拠点にしろと言った場所だ。単なる小屋だと思っていたが、実際は少し違うようだった。


---------


『ここは昔、ギルドが建てた簡易宿泊施設だ。この目の前にあるのが、今はもう魔物は湧かない「枯れたダンジョン」だ。ちなみに俺が剣聖と呼ばれてた時に攻略したダンジョンでもある。ま、何も無いから冒険者も誰も来ない。お前らの拠点として、最高の隠れ家になると思わないか?』

-----


確かに、小屋の前には洞窟の入り口のようなものがあったが、魔力は一切感じられないし、完全に寂れている。人目につかない場所としては最適だった。


「それにしても、魔石への魔力チャージはきつかったな」


あの後、俺とエマはヤスオの指示通り、空っぽの魔石に全力で魔力を注ぎ込んだ。魔力を吸い取られる感覚は最悪だったが、無事に虹色に光る魔石が作れた。ヤスオいわく、虹色に光る魔石は国に一つあればいいほど貴重なもので、金貨1000枚はくだらない最高の魔石だそうだ。出来た時は「なんでそんなのが出来るんだよ」とマヌケ面でヤスオは首を傾げていたが考えることを放棄して、完成した魔石を受け取り「よし、これを持ってギルドに行ってくる。ついでにお前らに頼まれた買い出しもしてくるぜ」と言い残し、街へと向かった。


「これで、私たちはこの世界では「討伐済み」の扱いになる。ヤスオも借金返済、私たちは自由。一石二鳥ね!』


エマが満足げに頷く。俺も最後の仕上げとばかりに窓を拭いていた、その時だった。

枯れたはずのダンジョンの入り口から、微かな物音が聞こえてきた。


「おい、エマ。なんか音しなかったか?」


俺がエマに耳打ちした瞬間、洞窟の奥から二つの影が現れた。

一人は150センチくらいで鋭い目つきの獣人の男。もう一人は少し小柄で、130センチくらいの女の子の獣人だ。二人ともボロボロの服を着て、よろめいている。


「お兄ちゃん……もう、食料が……」


「くそっ、もうこの辺の果実は食べ尽くしちまった……」


二人は俺たちに気づかず、そのまま簡易宿泊施設へと入ってこようとしている。


「……ねぇ、コーセー。彼ら、どう見ても犬か狼の獣人よね、しかも首輪してるから奴隷みたいね」


「だよなあ。どうする? 」


エマと話していると、ドアを開け獣人が入ってきて2人と目が合った。向こうも一瞬固まるが、すぐに臨戦態勢に入ろうとする。


「なっ!? ピンクの……蜂……!?」



「こ、コーセー! ほら、念話! 念話で誤解を解くのよ!」


エマが慌てて俺に指示を出す。俺は2人を怖がらせないように、最高に穏やかな声色で念話を飛ばした。


『やぁ、初めまして。ここはもう使われてないから、好きに使っていいんだぜ(聖人風)』


――しかし、俺の念話は、冒険者の少年の時と同じように最悪の変換をされた。


「ヒィッ! な、なんだあのピンクの蜂! 『この食料庫は我らが占拠した……命が惜しければ、このまま回れ右をしろ。さもなくば、その肉を喰らう……(魔王風)』だとぉぉぉ!!」


「お兄ちゃん! 逃げよう、食べられるよ!」


狼の獣人と犬の獣人は、顔面蒼白になり、街のほうに向かい全速力で逃げていった。


「……おい、エマ。ヤスオにはちゃんと会話出来てたから、不完全っての忘れてた」


「ヤスオは【状態異常無効】のスキル持ちだから、強制変換を弾いただけだもんね。一般人には、やっぱりデビルボイスで届くみたいね。はぁ……」


エマが大きなため息をついた。


「この辺りに人は来ないって言ってたのに普通にいたな。あの2人逃げた奴隷かな?」


「多分そうね、ヤスオが帰ってきたら色々確認しなきゃだめね」


エマと話をしながら、ヤスオが帰ってくるのを待っていると、外が少し騒がしくなって来た。窓から覗いてみると、ヤスオとさっき逃げ出した2人の獣人が小屋に向かって歩いてきてた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ