表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

第3部 後編 魔王軍滅亡!正義は成された!

魔王軍は、想像以上に強かった。


だが、俺たちはそれ以上だった。


聖なる加護を受けた剣は魔族の装甲を容易く貫き、

神聖魔法は瘴気を浄化し、

仲間たちは一切の躊躇なく前に進んだ。


魔王軍の兵士たちは、よく統制されていた。

逃げることなく、最後まで戦った。


――だからこそ、屍は積み上がった。


渓谷へ向かう一本道は、血で濡れ、

魔族の死体が幾重にも折り重なっていた。


屍山血河。


言葉にすれば簡単だが、

そこに至るまでに、俺たちは何千という命を踏み越えた。


それでも、誰も立ち止まらなかった。


これは必要な犠牲だ。

世界を守るための戦いだ。


そう、信じていたからだ。



魔王は、渓谷の最奥にいた。


玉座も、軍勢も、

威厳すらなかった。


ただ一人、

崖を背に立っていた。


俺は、初めて彼を見た。


――思っていたより、人の形をしていた。


巨大でもなく、異形でもなく、

ただ強い魔力をまとった存在。


彼は俺たちを見て、少しだけ目を細めた。


「……ここまで来たか」


その声音に、憎悪はなかった。

怒りも、焦りもない。


まるで、結果を受け入れているようだった。



戦いは、激しかった。


魔王は、確かに災厄だった。

一撃一撃が国を滅ぼした力そのもの。


だが、俺たちは数と、加護と、使命を持っていた。


聖騎士が前に出て、

神官が癒し、

魔術師が隙を作る。


そして俺が、剣を振るう。


剣に宿る神の光が、魔王の防御を切り裂いた。


魔王は、最後に俺を見た。


「……それで、救われたか?」


意味が分からなかった。


何が、救いだというのか。


俺は答えなかった。

答える必要はない。


俺は主人公で、

彼は魔王だ。


物語は、そういうものだ。


剣は、確かに彼の心臓を貫いた。



魔王は、滅んだ。


渓谷に、静寂が訪れた。


仲間たちは歓声を上げ、

涙を流し、

互いの無事を確かめ合った。


俺も、安堵した。


――終わったのだ。


世界を脅かす存在は、消えた。



だが、俺たちは止まらなかった。


聖国からの命令は明確だった。


危険な魔族は、根絶せよ。


魔王が存在したという事実そのものが、

魔族という種の危険性を示している。


ならば、再発防止は明白だ。


俺は、頷いた。


合理的だ。

正しい判断だ。



その後の戦いは、戦いとすら呼べなかった。


逃げ惑う者。

武器を持たない者。

子ども。


区別は、しなかった。


区別する理由がない。


「魔族」という括りの中に、

全てが含まれている。


かつて魔王が、

国民を区別しなかったように。


俺たちは、徹底した。


集落を潰し、

地下に逃げた者も追い出し、

最後の一人まで確認した。


世界から、魔族はいなくなった。



帰還した俺たちは、英雄として迎えられた。


神殿は鐘を鳴らし、

人々は祈り、

教国はこの戦果を「神話」として記録した。


魔王討伐。

魔族絶滅。


どちらも、神の御業だと。


俺は、その中心に立っていた。



夜、一人になった時、

ふと魔王の言葉を思い出した。


「それで、救われたか?」


救われたのは、誰だ?


滅ぼされた国の人々か。

魔族に生まれ、魔族として生きただけの者たちか。


それとも――

正義を貫いたと信じる、俺自身か。


考えるのは、やめた。


主人公は、迷わない。


迷い始めた瞬間、

物語は歪む。


だから俺は、祈った。


神が、正しかったと証明してくれることを。



こうして、世界は平和になった。


少なくとも、

そう記録されることになった。


上級神官の子の保有チート

高い素質

神聖適正

神の加護

勇者(個強化の極致)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ