表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

第2部 後編 そして魔王降臨!

復讐を決意した俺は、準備に時間をかけなかった。


迷いがなかったからだ。


魔族として生まれ持った力。

転生者として与えられたチート。

これまで意図的に封じ、隠し、使わなかったすべて。


――それを、全部使う。


そう決めただけだった。


覚悟というほど大仰なものではない。

使わなければ守れないと、もう知っている。



俺は空を飛んだ。


比喩ではない。


魔力で身体を包み、空気抵抗を無視し、国境線という概念を超えた。

警戒網も、防空結界も、反応する前に通り過ぎる。


人族の国は、平和だった。


それが、最初に感じたことだった。


市場は賑わい、子どもが走り回り、兵は気の抜けた顔で持ち場に立っている。


――かつての俺の国と、同じだ。


だから、躊躇はなかった。



例の貴族がいる王都に降り立った時、混乱は一瞬で広がった。


警備兵が集まり、魔法が飛び、叫び声が上がる。


だが、それらはすべて「遅い」。


俺は国を相手にしに来た。

個人戦のつもりは、最初からない。


大地の魔力脈を掌握し、都市全体を結界で封鎖する。

外への逃走、通信、転移――すべて遮断。


王都は、閉じた。



例の貴族は、すぐに分かった。


強い力は、同じ匂いを放つ。


彼は驚いていた。

そして、理解した。


「……お前は、魔族側の生き残りか?」


その声音に、後悔はなかった。

あるのは、計算と、警戒と、わずかな苛立ち。


――ああ、やはり同じだ。


彼は、自分が正しかったと思っている。


俺は何も言わなかった。


言葉は、必要ない。



戦いは、短かった。


彼は確かに強かった。

チートを持ち、努力もしてきたのだろう。


だが彼は、「国を背負って戦う」経験がなかった。


俺は違う。


守るものを失った者は、

守るという発想そのものを捨てられる。


攻撃は躊躇なく、手段は選ばず、

結果だけを最短距離で取りに行く。


彼は、自分の敗北を理解した瞬間、叫んだ。


「お前やりすぎだ! 国民まで殺す必要はないだろうに!」


――その言葉で、すべてが終わった。


俺は、淡々と答えた。


「お前が、そうした」


彼は理解できなかった。

最後まで。



例の貴族を殺した後、俺は止まらなかった。


目的は復讐だ。

だが、復讐は「個人」に対して完結するものではない。


彼が国を滅ぼしたように、

俺も、彼の属した世界を消す。


それが、対等だ。


王都は壊滅し、地方都市も順に消えた。

軍は意味をなさず、抵抗は断片的だった。


国民も、例外ではない。


俺は区別しなかった。


兵士も、民も、子どもも。

皆、「国」という構造の一部だった。


それは、彼が俺の妻と子を区別しなかったのと、同じだ。



数日後、人族の国は地図から消えた。


周辺国は、何もできなかった。

介入する理由も、勇気もなかった。


彼らは、俺をこう呼んだ。


――魔王。


魔族の王ではない。

魔族ですらない。


ただ、「災厄」として。



俺はその呼び名を否定しなかった。


正義だとも、復讐だとも、言わない。


ただ、事実として、


留守中に、

国ごと、

家族ごと、

人生を奪われた者が、

同じ論理を返しただけだ。


それだけの話だ。



こうして世界は、一つ学んだ。


力を持つ者が、

合理性を理由に、

全てを消しに来る可能性があるということを。


そして、俺は知った。


この世界では、

誰かが「正しい」と信じた瞬間、

別の誰かにとっての終わりが始まる。


俺は、その役を引き受けただけだ。


魔族の男の保有チート

高い素質

魔の適正

魔族のテーブル(全能力高水準)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ