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千年妃(異界に堕とされましたが戻ってきました。復讐は必須ですのつづき)  作者: nanoky


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17 華燭の典と葬送の儀(4)

「そなたは齢二百年余、そなたの父は齢九百年、母は確か齢七百年であったな」と、高祖はミレイナへ言った。

 彼女はうなずき、「ええ、その通りです」と応えた。

「最近の蜃市の玄武は、年若い者ばかりとなった。千年を越える陰陽の玄武が身近にいない。だから、そなたには、リーユエンが、たとえそなたの挙式や披露宴であろうと、出席を断る真意が理解できないのだな」と、高祖は珍しくも憂鬱そうに言った。けれど、ミレイナには、高祖が、なぜそのように憂鬱な様子を見せるのかが、まるで理解できなかった。

「法力を蓄える玄武なら、相手の感情の動きくらい手に取るように分かるのだ。おまえの婚約者である乾陽大公と、リーユエンを明妃と定めたドルチェン、そして、リーユエンを妻と定めた私、陰玄武ならば、我々の間柄を見れば、当然様々なことを感じ取るだろう。そのような能力のある陰陽の玄武、まして力のある大公たちが集う場へ、凡人であるリーユエンに臨席を求めるのは、酷とは思わないのか」

「・・・・・本当に、感情の動きまで分かってしまうのですか?」

 初めて聞いた陰陽の玄武の能力に、ミレイナは自身の過ちにようやく気がついた。

 高祖はうなずき、「ああ、分かるとも・・・そして、凡人の体へ己の決めた紋を焼き付けてしまえば、法力を送ることができるし、その者の考えていることも、記憶すらも、何もかもすべてを知ることができる。ただし、これができるようになるには、齢で数千年、早いもので二千年かかる」と、高祖は淡々と話し、「そなたが、出席を無理強いすれば、リーユエンは心の中をあの大公たちへさらけ出すことにもなりかねない。そんな事を彼女へ強いるのか」と、尋ねた。

 ミレイナは涙目で、黙って首をふった。高祖は、さらに、

「リーユエンは見目麗しく、誘涎香血の持ち主で、人外のものですら惹きつけてしまう。陽玄武は、あの女が欲しくてたまらなくなるのだ。陽玄武のそのような様を見せられて、陰玄武が彼女へ反感を持たないはずがない。おまえが彼女の味方をしたからといって、反感は簡単に解消されはしないのだ」と、説明した。


 (ウラナの独白)

 私は、何と言う間違いを犯してしまったのでしょう。

 ミレイナ王女のお言葉に感激するあまり、明妃のお立場をすっかり失念しておりました。先日、惜春楼にて、猊下と高祖は、リーユエン様について約定を取り交わされました。そのようなお二人がご臨席なさいますお式や披露宴の場に出席なさいましたら、いたたまれない思いをされることは必定でございます。その事に気がつきもしないとは、私は何と愚かなのでしょう。

 明妃は、強大なお力をお持ちで、それは、人外のものをも凌ぐお力ではないかと思うほどです。けれど、そうであっても、あのお方は凡人でいらっしゃるのです。私たちのような人外の精とは、根本から異なるのです。お心は、か弱く、繊細でいらっしゃるのに、陰陽の玄武、まして八大公が居並ぶ場に出席を強いることなどできるはずがなかったのです。それに明妃は、今や甲羅を破るお力までお持ちです。ご自身が、何かのきっかけで相手の玄武に悪感情をお持ちになり、それを相手の玄武が気がつき攻撃してきたら、恐ろしい戦いになるやもしれません。確かに、明妃がおっしゃる通り、出席できるはずがないのです。


 その月半ばの吉日、乾家の屋敷で、当主ダルディンとミレイナ王女は、式を挙げた。巽陰大公と仲の良い坤陰大公アガーナ、甲羅を破られた先代に代わり、新しく当主の座についた震陽大公、ダルディンの大伯母である巽陰大公カーリヤ、東荒行きの狐狸国主催の隊商襲撃の嫌疑がかかっていたが証拠不十分で不処分となった坎陽大公ポロドム、明妃への反感を隠さない離陰大公ルーデラ、枢密院の議長をつとめ、表向き中立の立場を保つ艮陽大公ディリダム、そしてドルーアの不始末について、法座主と枢密院が協議し、先代が領地へ蟄居閉門の処分となり、当主が交代した兌陰大公、そして、法座主と高祖が臨席した。

 会場は、白と青の薔薇に埋め尽くされていた。それは、ハオズィの商会を通して取り寄せられた金杖王国にしか咲かない珍しい品種だった。それに、蜘蛛織の一族しか作れない極薄のレース生地が至る所に飾られ、花嫁であるミレイナ王女の全身を覆うヴェールも、綺羅綺羅と輝く白金糸のレースであった。それらは、皆、リーユエンが用意したものだった。

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