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千年妃(異界に堕とされましたが戻ってきました。復讐は必須ですのつづき)  作者: nanoky


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2 刺客(2)

 最初に、リーユエンは、月桂樹の枝葉の縁飾りの中で対峙する、二頭の黄金獅子の紋章で封印された、ゲオルギリー陛下からの親書を開けた。それには、『あなたが去ってしまって、王宮も後宮も火が消えたように活気がなくなった。いつ戻ってきても、歓迎する。王太子妃が嫌なら、大臣職を用意してもよい。王太子と付き合うのが嫌なら、朕ともう一度お付き合いしてほしい。(朕は、愚息の代わり扱いでも全然構わない)後宮生活が嫌なら、どこでも好きな場所に屋敷を建ててあげよう。とにかく戻ってきてほしい』と、そこまで読み進んだところで、魔導術のかけられた隠し文字の存在に気がつき、呪文を唱え文字を紙面に起こした。すると、『玄武国から、外交官が連絡を寄越した。法座主は閉関し、地下の岩戸の中に閉じこもっておるそうだ。(しん)(かん)(ごん)の陽公と巽陰大公以外の三陰大公の間に、怪しげな動きがある。あなたの、明妃位返上文書の内容も漏れている。これは、金杖王国の中の玄武の間者の仕業であろう。(朕が、あなたへの当てつけで文書の内容をバラしたなんて思わないでくれ。朕は秘密を守る男だ)あなたの命が狙われるかもしれないので、用心しなさい。追伸、ナイナイには、おまけをつけて七万デナリウスで送金した。では、東荒探検が首尾よくいくことを祈っておる』

(陛下は、何でもお見通しなのかしら?本当に油断も隙もならないお方だわ)

 リーユエンは、魔導文字を消して去ると、次にザリエル将軍からの手紙を開けた。

『嬢ちゃんへ

 黄金獅子をぶっ飛ばすとは、嬢ちゃんはどれだけ強いんだ。俺は、嬢ちゃんの(しもべ)になりたいよ。僕といえば、ずっと前から嬢ちゃんの僕になりたがっていたヨークの主代えを陛下がついに認めた。ヨークは、嬢ちゃんにどこまでもついて行きたいそうだから、よろしくな。また、金杖王国に来てくれ、冷宮じゃなかった離宮の魚を肥えさせておくから、捕まえて丸焼きにしような』

(えっ、ヨーク来ているのか?あとで呼び出そう)

 次に、王后陛下の手紙を開けた。

『リーユエン、なぜ、出て行ったのじゃ。デミトリーが弱くて気に入らなかったのか?あと、数年、待っておくれでないか。修羅場をくぐれば、デミトリーも、もう少し強くなると思う。後宮は、そなたがおらぬと、なんだか華やかさにかける。大牙からの衣装は、一旦、ハオズィの商会へ預けておいた。玄武へ送ろうとう思ったのだが、そなたの明妃位返上が公になって大騒ぎになっているそうなので、やめにした。玄武国の動静の見極めがつき次第、そなたの手元へ届けさせよう。デミトリーとのことは残念だったが、そなたは、私の娘も同然だ。それは決して変わらない、いつでも後宮へ遊びにおいで、歓迎します』

(有り難いお言葉痛み入ります)

次にあまり開けたくないサンロージアからの手紙を開けた、

『リーユエン、お兄様をふるなんて、あんまりだわ。私の配偶扱いだからって、遠慮することはないのよ。ただ、あなたの方がお兄様より強いから、配偶になったら、お兄様は一生あなたに頭が上がらないのは、ちょっと可哀想かも・・・後宮には、いつでも遊びにきてちょうだい。待ってます。

 追伸 魔道具はすべて処分しました。もう二度と使いません。本当に、色々ありがとう。感謝してます』

(意外とまともな手紙だった。魔道具を処分してくれて、ひと安心だな)


 リーユエンは、彼らへ返事をしたためアプラクサスへ託すと、

「私はしばらく遠くへ出かけるけれど、アプちゃん、南洋海のお天気をしっかり管理してね。この間立ち上げた保険事業の成功は、あなたの力にかかっているのよ」と、励ました。アプラクサスは、うなずき、「任せておいて、南洋海は、昔の穏やかな海に戻したからね。我がしっかり管理するから心配しないで、旅行に行っておいで」と、応じた。

 

 赤スグリ亭へ帰る途中、リーユエンはダルディンへ「猊下は閉関なさったそうですね」と、尋ねた。ダルディンは驚き、

「俺は今朝一番に聞いたところなのに、どうして知っている?」と、尋ね返した。

「抜け目のない王様は、いち早くお知りになったようね。それより、ご用心なさいませ。坎陽大公や兌陰大公は、あなたの暗殺に動くかもしれないわ」と、彼女はささやいた。 ダルディンは眉をしかめ、

「狙われるとしたら、あなたの方だろう。俺は、あなたを護衛しなければと思っている」と言った。リーユエンは、突然ダルディンの腕に抱きつき、

「喉が渇いたから、茶館へ行きましょう」と言い出した。ダルディンは、彼女をつれて、大通りから西へ走る通りにある横丁の黒茶と紅茶の新月茶館へ入った。

 店員からお茶の給仕がすむなり、リーユエンは防音用の陣を張り巡らせ、ダルディンへ「坎と兌の大公が、おそらく一番に動き出すし、その狙いは、あなたの暗殺だよ。あなたを殺してしまえば、乾一族の、次代の陽の玄武を始末できて、弱体化できもの」と、言い出した。

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