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千年妃(異界に堕とされましたが戻ってきました。復讐は必須ですのつづき)  作者: nanoky


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12 処断の嵐(5)

 リーユエンは、太師の言葉に視線を伏せて、考え込んだ。乾陽大公の父親の死因が毒による暗殺であり、下手人がドルーアであれば、大公殿下は父親の仇を討つことができるだろうが、死因を見抜けなかった猊下は、酷い後悔の念を抱かれるに違いないと思い、複雑な気持ちだった。

 黙り込んだリーユエンの皿を見て、高祖が、「ほとんど食べておらぬではないか。まだ、気分が悪いのか?」と、尋ねた。リーユエンは、首をふり、

「いえ、あまり空腹ではありませんから」と、言い、「ごちそうさま」と言って、皿の入った盆を持って立ち上がり、自分で片付けた。太師が、リーユエンへ

「枢密会議は九時から開かれる。すぐ出発するぞ」と、声をかけた。高祖は立ち上がり、

「太師、私も会議へ出席したいのだが」と、声をかけた。太師はうなずき、

「是非お願いしたい。猊下からも、大帝のご出席をお願いしたいと伝言を受けております」と、いい、立ち上がった。高祖は、窓辺に立ち、空模様を見るリーユエンへ近寄ると、いきなり横抱きにした。リーユエンは驚き、「高祖様?」と、声をかけた。高祖は、彼女を見下ろし、

「甲羅破りは荒技だ。それにあの玄武の法力は、汚れ切っていたのだろう。身を清めることに力を使え。今日は私が連れていってやろう」と、言った。

 

(ニエザの独白)

 はあーっ、やっと三人ともいなくなった。リーユエンが玄武の甲羅を、しかも、巽陰大公に継ぐ長老格の震陽大公の甲羅をかち割ったなんて、今だに信じられない。それに、新しい彼氏に、あの超大物中の大物の東海大帝ご本人を連れてくるなんて・・・リーユエンは絶対凡人じゃないと思う。きっと地上に生まれたのは何かの間違いで、天上世界の天人か何かに違いない。そうでなければ、どうして、あの子のところにばかり、大物が集まってくるのか、説明のしようがないよ。私の弟分?いや、妹分になるのか?あの子は、まったく私の理解の範疇を超えている。それでも、出発前に、私へお土産だと言って、東海蜃市で集めた珍しい薬草や魔石をくれたんだ。やっぱり、リーユエンは優しい、いい子だ。どんなにすごい大物を連れてきても、私はリーユエンの兄弟子なんだ。その事がすごく誇らしい。へへへっ。でも、リーユエン、猊下はどうするつもりなんだろう?猊下は、絶対リーユエンを誰にも渡さないと思うんだけれど・・・

  

 プドラン宮殿の奥深い一室で、震陽大公、兌陰大公の抜けた枢密会議が開かれた。ニコニコとご機嫌な巽陰大公以外の大公たちは、テーブル越しに、チラチラと視線をやり、ずっと不機嫌なご様子の法座主猊下と、東海から来られたという青玄武、自称高祖、その二人に挟まれ、簡素な魔導士服姿で、憂鬱げに顔をふせたままのリーユエン、彼ら三人の端で気配を殺して腰掛けるヨーダム太師をうかがった。猊下と高祖の間に、法力が、凄まじい圧となり、相争う双龍のように渦となり、絡みつき、稲妻さえ発せられるのが見えるかのようで、それはもう恐ろしい気配だった。そして、ちょうどその真下に、リーユエンが座っているのだ。大公たちは、言葉に出さずとも、何が起きているのかは大方推察がついて、なおさら一言たりとも発言できない雰囲気となった。そして、彼らが座る会議室の端では、レムジンが忠犬よろしく、自分の出番を大人しく待っていた。

 ヨーダム太師がまず口を開き、震家から見つかった秘密文書の数々について、報告し、次に、魔導士学院へ分析を回された、兌陰大公の孫娘ドルーアの毒薬の調合資料について報告した。秘密文書に記された卑劣極まりない謀略の数々、効能を聞いただけで戦慄を禁じ得ない毒薬の数々、それを延々と聞かされ、大公たちは皆うんざりした。その後、ドルーアの行った乾陽大公襲撃未遂事件の報告、震陽大公の指示のもとに行われた尸蟲の術の証拠としてあの悲惨な最後を遂げたヨークの遺骸が運び込まれ、皆が見分した。

 リーユエンは、ヨークの遺骸を目にして、顔色が真っ青になり、固く目を瞑ってしまった。出席者による見分が終わると、次にヨーダム太師は、

「そこにいる震家工作部隊長レムジンの証言によると、尸蟲の卵は、この陰護衛以外にも、玄武の国を訪れた他国の者何人かに蜂を使い産み付けさせたそうだ」と、発言した。

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