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千年妃(異界に堕とされましたが戻ってきました。復讐は必須ですのつづき)  作者: nanoky


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11 波乱の帰還(2)

「愛する妻が危険を冒そうとしているのだぞ、付いていかなくてどうするのだ?」

 リーユエンは、当然のように自分のことを妻と呼ぶ高祖を見上げ、眉尻を下げ

「高祖さま、私は法座主猊下の妻なのです。あなたの妻にはー」と、言いかけたところで、高祖は、彼女を抱きしめ、口を塞いでしまった。

「きゃっ、大お祖父様ったら、情熱的だわ」と、ミレイナ王女は真っ赤になり、ダルディンの腕につかまった。ダルディンは言葉もなく、高祖の行動の素早さに感服するばかりだった。そして、デミトリーは大丈夫なのかと思い視線を移すと、彼は黙り込んだまま、何とも複雑な表情だった。この時、デミトリーは、嫉妬の怒りに駆られるよりも、むしろ、自分が何の役にも立たないことを悲しんでいた。本当は、リーユエンの役に立って配偶として認められたいのに、玄武が相手では太刀打ちできないのだ。高祖に抱きしめられ、口付けされても、何の抵抗もみせずそれを受け入れるリーユエンも、恐らく愛情よりも利害を優先させているのだろうかと、それを考えるとなおさら悲しさが増してきた。

 ようやく、高祖の口付けから逃れたリーユエンは、目元を潤ませ、

「高祖さま、皆が見ております。どうか、ご勘弁を」と、ささやいた。すると、高祖は、リーユエンの顔をのぞき込み、

「誰が何と言おうと、私はそなたを自分の妻とすると決めたのだ。そなたが、法座主との縁を切れないというのなら、私が自ら出向き、その縁を断ち切り、そなたを蜃市へ連れて帰る」と、言った。

 リーユエンは、高祖をしばらくじっと凝視め、

「高祖さまのお心のままに行動なさいませ。けれど、私は、法座主猊下のご決定にしか従いませぬ」と、ささやいた。高祖は、形のよい眉をひそめ、青味がかった翡翠色の目を細め、

「では、縁を切ることを法座主とやらが受け入れたら、妻として、私とともに、この蜃市へ戻ってくるな」と、尋ねた。リーユエンはうなずき、

「はい、命を救っていただいたお方でいらっしゃるのですもの。すべての問題が片付き、猊下とのご縁が切れれば、あなたのお心に従いましょう」と、言った。

 ダルディンは、伯父を見捨てるなんて薄情すぎると思ったが、言葉にはできなかった。リーユエンの顔は真っ青で、唇は震えていた。その言葉を口にするのが、辛いことであったのは、明らかだった。それをさらに責め立てるなんて、ダルディンにはできなかった。

 その時、リーユエンはいきなり立ち上がり、頭を右斜め上に振り上げた、すると髪の色がたちどころに漆黒から輝く白金へと変わった。そして、自身の髪を見下ろし、

「変形術を使えば、半日程度、元の姿に戻せそうだ。これなら、震陽大公の目も誤魔化せるだろう」と言い、高祖へ向かって微笑んだ。そして、「胸も小さくできるから、棒術の稽古のやり直しもしなくていいから、本当に良かった」と、嬉しそうに笑った。その場にいた者は、皆、さっきのしんみりした雰囲気がすっかり消え失せ白けてしまい、ただ、明るく笑う実利的なリーユエンの姿に、さきほどの悲しげな姿は一体何だったのと、呆れ果てるばかりだった。

 

 玄武国への帰還は三日後と決まった。その間、変形術を使い、高祖、ダルディン、ミレイナ王女は、震家の工作部隊員の生き残りに見えるように変装した。

「高祖さま、身長が高すぎます。そんな背の高い隊員はいません。もう少し、そうだ、私と同じくらいの身長になさってください」と、高祖へダメ出しし、ダルディンへは

「衣は黒装束です。レムジンの装束に合わせてください。ただし、裏地は白地にしてください」といい、ミレイナへも

「女の隊員はいなかったから、あなたは顔を半分隠しておくようにしてください」と、注意した。その様子を見ていたデミトリーは、リーユエンへ

「私は変装しなくていいのか?」と、尋ねた。するとリーユエンは、デミトリーへ近寄り、

「あなたは、狐狸国で降りて、金杖王国へ帰ってちょうだい」と言った。一緒に行くつもりだったデミトリーは、「ええっ、どうして、ついて行ってはだめなのか」と、叫んだ。

 

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