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千年妃(異界に堕とされましたが戻ってきました。復讐は必須ですのつづき)  作者: nanoky


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10 覚醒(5)

 デミトリーは、リーユエンの腕をつかみ立ち上がらせ、

「ヨークの主代えは、父上が強制したわけじゃない。自ら望んだことだ。悲惨な最後だったようだが、短い間でも君を主として仕えることができて、その事には満足していたと思う」と、慰めた。そして、「そうか、地割れを起こしたのは、君だったのか。俺が通りかかった時には、あの地割れの周囲で、何人か喉を掻き切られて死んでいたぞ」と言った。すると、リーユエンは厳しい表情になり、「喉を掻き切られて死んでいたって、それは何人だ?」と、尋ねた。

 デミトリーは顔を上向け、「何人だったかな・・・そうだ、三人だった」と言った。

 リーユエンは、下を向き

「アスラ、あの時白装束の奴らを何人見かけた?」と、尋ねた。アスラは、リーユエンを見上げ、

「確か、九人いたと思う」と答えた。リーユエンは、

「地割れを起こしたとき、五人が巻き込まれて墜落した。あと、三人の死体となると、ひとり生き残っているな」と、つぶやき、アスラへ

「アスラ、私に刻印を焼き付けた男を覚えているか」と、尋ねた。

 「ああ、覚えているとも、あいつを見つけ出して、殺すのか?」

 リーユエンは首をふり、

「あいつは、震陽大公のことをとても恐れていた。任務の失敗を大公に知られたくないはずだ。喉を切られたのは、口封じのためで、あいつの仕業だろう。あいつは、失敗を挽回するため手柄を必要としている、だから乾陽大公を探しているはずだ。乾陽大公の噂を撒いて、あいつを誘い出し、生け取りにしよう。あいつには、まだ利用価値がある」と、冷淡に言った。

 デミトリーは、リーユエンの口ぶりから、彼女が相当怒っているのを感じ取り、黙っていた。

 ダルディンも、滅多にないほど、リーユエンが怒っていることに震え上がっていた。

 高祖は、リーユエンに近寄り、

「そなたの肌に醜い傷をつくった男とあっては、私も見過ごすわけにはいかない。どれ、私が探し出してやろう」と、言い出した。そして、小声で呪を唱えると、空中へ魔鏡を現出させた。そこへ、まさに刻印を焼き付けようと指輪を手にして迫るレムジンの姿が映し出された。高祖は、リーユエンへ

「探しているのは、この男だろう」と確認した。リーユエンがうなずくと、高祖は、右手を大きく振り動かした。魔鏡は光の渦となり、そして光の矢となって、飛び出していった。高祖は、右手を開き、矢が飛んでいく様子を感知し続けた。しばらくすると、突然右手を握りしめ「(うん)」とうなった。そして、リーユエンへ

「場所は分かった。ここへ連れて来ようか」と、話しかけ、無言のうなずきが返ってくるや、拳を振り、腕を魚を釣り上げる釣竿のように動かし始めた。すると、何ということか、彼らの目の前の空間に白い靄が立ち込め、そこから縦に割れ目が生じ、その中から、じたばたと暴れ、もがき回る薄汚れた玄武がひとり姿を現した。その玄武が姿を現すや、高祖は、「縛っ」と短く叫んだ。玄武の体は、たちどころ硬く縛り上げられ、その状態で床へ転がり落ちた。

 リーユエンは、床に転がる男の顔をのぞき込み

「久しぶりだな。ずいぶん薄汚れて、相当苦労したようだな」と、声をかけた。

「・・・・生きていたのか・・・どうして、顔に傷がなくなっている?幽霊なのか」

 レムジンは、間近でリーユエンに顔をのぞき込まれ、恐慌状態に陥った。あの深い地割れの中に自ら飛び込んでいき、その時すでに酷い内傷で体はボロボロだったはずなのだ。そんな傷ひとつない姿で生きているなんて、ありえないことだった。リーユエンは、虚ろな顔のレムジンの髷をつかみ、顔を引き上げると、

「さて、せっかく生け取りにしたお前をどうしたものだろうなあ。私は、腹立ちがどうにも治らないのだ。そうだ、魔導術で、一度、玄武の甲羅を割ってみたいのだ。おまえ、練習台になってはくれないか?なあに、割れた甲羅は、私が錬成してちゃんと修復してやる。何度か練習しないとうまく割れないだろうから、よろしく頼む」と、何とも楽しげで、不穏な気配を漂わせて宣った。間近でそれを耳にした高祖は、自分の甲羅にまで攻撃を受けそうな気がして、背中がぞわぞわした。ダルディンと王女も、リーユエンの迫力に、思わず震え上がった。レムジンは真っ青になり、「や、やめてくれ、おれは、本当にお祖父様の命令通りに動いただけなんだ。許してくれっ」と、叫んだ。

 だが、リーユエンは、立ち上がると、全身から霊気を、揺らめく火炎のように立ち昇らせた。髪が逆巻き、紫眸は赤く縁取られ、彼女の周囲に、風が吹き荒れ、稲妻が走り始めた。そして、胸の前へ持ち上げた両掌へ、自身が生来持っている膨大な陰の気と、デミトリーから受け取った強大な陽の気、そして高祖からの法力を集め、両手の間で練り合わせ、表面に稲妻が光る火球を作り出し、それをレムジンの鎖骨めがけて叩きつけた。

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