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千年妃(異界に堕とされましたが戻ってきました。復讐は必須ですのつづき)  作者: nanoky


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7 換骨変易の法(6)

 傍で二人のやり取りを聞いていたミレイナは、口を尖らし、不審げな表情で、

「私は、リーユエンから、乾陽大公とあんな事やこんな事をした理由を教えてもらったけれど、彼女、そんな説明はしなかったわよ」と、言い出した。

 ミレイナまで俺たちのことを知っていたのかと、ダルディンは、もう瞬間冷凍のまま金槌で叩き潰された気分だった。

 高祖は、片眉を吊り上げ、おもしろそうに

「彼女は、そなたに何と説明したのだ」と、尋ねた。すると、ミレイナは、鼻息も荒く、背中を反らせ、ふたりへ

「リーユエンは、『男は体で奉仕してもらうのを一番喜ぶって教えてもらった』と、言っていたわ」と、話した。

 ダルディンは、もう気が遠くなりかけた。その横では高祖が爆笑し、

「ハハハッ、これは傑作だ。リーユエンは、おもしろい奴だな」と言い、涙が出るほど笑い転げた。ミレイナは、二人の反応などお構いなしで、

「彼女は、昔、自分が非力だった頃、護衛してもらった人が、乾陽大公だったと最近になって分かったので、何か恩返しがしたかったそうなの。ただ、取り柄がないから、あんな事やこんな事ならできるから、それで恩返ししたそうよ」と、付け足した。

 ダルディンはがっくりとうなだれ、心の中で、リーユエン、リーユエン、あなたは何ということを王女に告げたのだ。私は、あなたや伯父上と、これからどんな顔をして会えばいいのだと嘆いた。そして、一時の情に溺れた自分自身を本当に情けない奴だと自己嫌悪に陥った。

 高祖は、王女へ、「ミレイナよ。それもまた、彼女の本心ではあるが、それ以外に重大な隠された理由があったということだ」と、話しかけた。

 ダルディンは、自分を魔導術の実験台として扱ったリーユエンを恨めしく思いながらも、護衛したことを感謝してくれていると知り、嬉しい気持ちもあった。ただ、あの時、目に涙を溜めて訴えた、思わせぶりな、あの言葉や仕草の数々は、一体何だったのだと虚しくもあり、こんな複雑な本心をリーユエンから聞き出すなんて、伯父ならともかく、自分には到底できそうにもないと思い、彼女の気持ちをじっくり聞いてやろうという決心はすっかり萎んでしまった。

 その後も、蜃市の城の中で特にすることもないダルディンは、神廟へリーユエンの様子を一日おきに見にいった。その時には、必ずミレイナ王女が付き添った。いや、ミレイナ王女は、何かと理由をつけては、ダルディンにつきまとった。彼が町へ見物に行けば、案内しようとついてきたし、瞑想している時ですら、お茶の用意をして、終わったらすぐ持ってくる有様だった。ダルディン自身は、リーユエンのことが心配で上の空であったが、周囲にいる召使や、王女の付きの侍女や女官たちは、王女を微笑ましく見守っていた。

「王女殿下は、乾陽大公に夢中ね」

「だって、お背が高くて、精悍なお顔立ちで、それにあのちょっと緑がかった浅黒い肌が素敵だわ。眸も薄い緑色で、とても澄んだきれいなお色ですもの」

「それに、あの物腰、大公を名乗られるだけあって、お若くても威厳がお有りだわ。それなのに、全然偉ぶったりなさらない方よね」

 女官や侍女の間では、乾陽大公は人気が急上昇していた。もちろん、国王も王妃も、乾陽大公のことは好ましく思っていた。ただ、伯父の妃だというリーユエンという凡人との間柄だけが気がかりで、まだ王女の思いが成就するよう後推しをするのを躊躇っていた。ミレイナ王女の大お祖父である高祖は、ダルディンへ、

「ミレイナは、どうやらおまえに思いがあるようだから、どうだ、婿になって蜃市に身を落ち着けてみる気はないか?」などと、話しかけた。けれど、ダルディンは首をふり、

「いえ、私はリーユエンを必ず玄武の国へ連れて帰り、伯父へ会わせます。私の方ばかりリーユエンに守られて、これでは役目が逆転してしまっている。何としてでも、連れ帰ります」と、言い張った。

 高祖は、若者らしいその一本気な言い方に気を悪くするふうもなく、ただ

「胎包からリーユエンが出てきたら、どうしたいのか、本人に聞いてみることだ。それから、どうするのかを、決めればよいだろう」と、助言してやった。

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