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千年妃(異界に堕とされましたが戻ってきました。復讐は必須ですのつづき)  作者: nanoky


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3 噛みつきドルーア(4)

 赤天幕から遠去かりながら、ハオズィは、カリウラへ、

「うまく誤魔化しておきましたが、総隊長、言動には、くれぐれも気をつけてください。それから、あなたが、まだご存知でない情報をお伝えしておきます。老師は、今現在、玄武国でのご身分を失っておられるのです」と、話しかけた。

 それを聞くなりカリウラは、立ち止まり、

「それって、一体どういうことだ?」と、目玉をギョロッと剥き出した。ハオズィは、あたりを見回し、誰もいないのを確認すると、

「二ヶ月ほど前に、老師は、玄武国の使節団として、南荒の神聖大鳳凰教の新教皇就任式へ出席されたのですが、そこで魔獣の絡む大事件が発生し、その時の不手際の責めを負われて、身分を返上されたのです。それは、秘密裏に行ったことであったはずなのに、どうした訳か、玄武国で公になってしまい、いま大騒ぎが起きているそうです」と、小声で素早く伝えた。カリウラは、激しい衝撃を受け、

「そんな・・・猊下は、それを認めたのか?そんな事ありえない」と、呆然とつぶやいた。けれどハオズィは、

「私もあまり詳しい事は存じあげません。これについては、色々隠されたご事情がおありのようです。ただ、老師のお傍に片時も離れず、乾陽大公殿下がついていらっしゃるのですから、完全に追放になったわけではないと思います。それに、老師は、南荒から戻ってこられると、金杖王国にご滞在になっておられました。金杖の国王陛下は、老師を支持なさっておられますよ」と、付け足した。

 カリウラは、額を手でおさえ、

「もう、俺には、ついていけない話だ。とにかく、隊商の仕事に専念するよ。オマの事は悪いが、ハオズィ、あんたが対処してくれ」と言った。

 ハオズィは、肩をすくめ

「わかりました。老師のことで、オマが余計なことを言わないよう、目を光らせておきます」と言った。


 出発して三日が過ぎた。穀物を運ぶ荷車が延々と連なる隊商は東進を続け、狐狸国を出て、蒼馬国を過ぎた。そして、夜になり、草原の一角で野営となった。ところどころに天幕が立ち、篝火と焚き火が燃えて、炎の明かりが揺らめいた。最初は賑やかだった野営地も、夜も更けると、不寝番を残して、皆眠りについた。

 リーユエンは、野営するときはいつも用心のため、交易品を積んだ荷車を中心に、侵入者を察知する陣を蜘蛛の巣のように張り巡らせていた。その夜、それが突如反応した。

 リーユエンは、体が引っ張られる感覚にハッと目覚め、跳び起きた。黒外套をまとい、フードを目深に被ると、天幕から外へ出た。

 アスラも従い「侵入者なのか?俺がやっつけようか」と、尋ねた。

 リーユエンは、「交易品を狙った盗賊かもしれない。アスラ、荷車を襲う奴がいたら、攻撃しろ」と、小声で命令した。

「わかった」というと、アスラは人形から魔獣へ変わり、闇の中へ消えた。

 隊商の野営地から数百丈離れた木立の上に、ドルーアは潜み、兌家の戦闘員と魔導士を引き連れ、先手部隊に荷車の周辺へ襲撃をかけさせ、様子を探っていた。

「やはり、仕掛けがあるな。それに魔獣がいる。あの奴隷女は、魔獣つきだった。前に毒を飲まそうとしたら、魔獣が現れ邪魔しようとしたので、毒を浴びせてやった」と、つぶやき、魔獣姿のアスラが襲撃者に襲いかかり蹴散らしていく様を見た。

 しばらくすると、彼女は右手を上げて前へ振り、第二陣へ合図を送った。

「さて、つぎは火攻めだ。天幕が一斉に燃え出したらどう出るかな?」と、言いながら、薄い唇を歪めて笑った。

 兌の家付きの魔導士が数人がかりで、離の陣を作動させ、野営地へ飛ばした。火精の力を強める離の陣の力によって、野営地の天幕から一斉に火の手が上がり大騒ぎになった。リーユエンは野営地全体に張り巡らせた魔法陣へ魔力を送り、水精の力を強める坎の陣で対抗し、一気に雨を降らせ鎮火させた。

 突然降り出した雨に、ドルーアは切れ長の目を少し見開き、

「坎の陣を、たったひとりで一瞬で作動させるとは・・・」と、つぶやき、左手を横へ払い、さらに魔導士を出撃させた。

 魔導士は、数人で風精の力を強める巽の陣をつくり、野営地へ大風を吹かせ、天幕を吹き飛ばした。さらに、地精の中でも、大地を隆起する力を強める艮の陣をつくり、リーユエンの魔法陣を破壊しようとぶつけてきた。大地が激しく揺れ、地割れが生じた。野営地の中では、皆天幕から飛び出し、恐慌状態となった。リーユエンは、乾と坤の陣を同時に出現させ天地陰陽の力を循環させた。空中へ現れた乾坤の陣からは、強大な魔力場が生じ、巨大な円柱となった。さらに鏡面反転術で、魔法陣を転写し、魔力場による巨大な円柱を、ドルーアの魔導士たちが作った魔法陣へ次々とぶつけ、破壊した。再び大地が激しく揺れ、それから静かになった。

「八卦の陣をひとりで立ち上げ、その上、最も扱いの難しい乾坤の陣を一気に発出させるなんて、あいつはバケモノだっ」

 魔導士たちは、乾坤の陣をたったひとりで同時に操る彼に恐れをなし、攻撃をあきらめ引き上げた。

 ドルーアは、眉をしかめ、「忌々しい奴」と、つぶやきながら、再び右手を前へ払った。黒い布で目以外をすべて覆い隠し、背中に大刀を背負い、黒い筒袖に甲当てをつけた兌家の戦闘員が、野営地へ襲いかかった。アスラが次々に噛みついたが、戦闘員は敏捷な動きで、掻い潜り、先ほどの騒ぎで外に飛び出した、荷運び人夫へ襲いかかった。大きな青龍刀を抜刀したカリウラが、戦闘員を蹴散らし、ヨークも戦った。騒ぎに駆けつけたダルディンも、法力で戦闘員を吹き飛ばした。

「見つけたっ、乾陽大公だ」

 ドルーアは、法力で応戦するダルディンを見つけると、木から飛び降り、疾走した。そして、懐から調合した毒薬入りの小さな袋を取り出した。

 読んでいただいてありがとうございます!来年は五日から、始めます。

よいお年をお過ごしください。

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