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千年妃(異界に堕とされましたが戻ってきました。復讐は必須ですのつづき)  作者: nanoky


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3 噛みつきドルーア(3)

 オマの大きな誤解に気がついたカリウラは、焦った。両手を胸の前で激しく振り、

「違う、違う、そうじゃない。リーユエンは女なんだ。男じゃないっ」と、隊商内ではずっと秘密にしていたことをバラしてしまった。その瞬間、カリウラは自分の失敗に気がつき、真っ青になって固まった。オマも、一瞬動きを止め、

「老師は、男だろう?何を言って・・・」と、言いかけて、カリウラの反応で、それが真実だと気がついた。

「エェェェェーッ!」

 オマは絶叫した。そばで賄いを手伝っていた地栗鼠(じりす)族の少年は、その声に驚き、大きなお玉をガシャンと落とした。カリウラは慌てて、

「オマ、頼むから、叫ぶのをやめてくれ。隊商の中は、不用心だろう。だから、この事はずっと秘密にしていたんだ」と、ささやいた。

 オマは、目を見開き、口元も震えて

「あんたらが、最初に隊商に参加した時、あの子は、男の子だと思ったのに・・・違うっていうのかい」と、反論した。オマは男女の見分けには、絶大な自信があった。ユニカの事もすぐに気がついたのだ。それを、老師については見誤っていたのだと言われ、大変な衝撃を受けた。

「そのう、俺も詳しい事は知らないけれど、女なんだ。それは、間違いない」と、カリウラは答えた。すると、オマは、目を輝かせ、

「あの商人が旦那さんなのかい?」と、尋ねた。

 オマは、寡婦で隊商の賄い一筋の人生を送る女だから、ロマンスに飢えていた。老師と商人が恋仲なら、是非馴れ初めが知りたいと興味津々だった。ますます誤解が深まり泥沼から脱出できないカリウラは身震いし、

「あの人はリーユエンの旦那さんじゃない。あの人は、そのう、何と言うか、親戚みたいな人だ」と、誤魔化した。けれど、オマは、ニヤッと笑い、

「総隊長、私の目は誤魔化せないよ。あの人のリーユエンを見る目は、熱がこもりすぎているよ。絶対、あの二人はそういう関係だよ」と、言い切った。

 総隊長のカリウラは、玄武国の最新情報も知らないし、リーユエンと猊下の間の繋がりが切れた状態であることも知らなかったので、こんな事を猊下がお知りになったら、どうなることやらと恐ろしさに震えあがった。何とか、オマを言いくるめたいのだが、実直なカリウラは、どう言っていいかわからず、途方に暮れてしまった。

 すると、そこへハオズィが、にこにこ笑いながら近づいてきて、

「オマ、今日も朝食おいしかったよ。ご馳走様」と、声をかけ、チラッとカリウラを見上げてうなずいてみせた。カリウラは、やれやれ助かったと思いながら、ハオズィへオマの相手を交代してもらった。

 ハオズィは、オマの大きな体を見上げ、

「オマ、老師はね、玄武の国のー」と、そこまで聞いたカリウラは心の中で、

(わああぁー、ハオズィ、頼むからバラさないでくれ、そんな事をしたら、大騒ぎになる)と、叫んだ。

 ハオズィは落ち着き払って、

「玄武の国の、名門の家の、さるお方の愛人でいらっしゃるんだ。旦那様は、老師を大層ご寵愛なさっておられるのだが、心の広いお方で、老師が交易に出資なさって、それを慈善事業に使うことを後押しされておられる。ただ、家名を出すわけにはいかないので、身分を隠して、隊商に参加しておられるのだ」と、重々しい調子で話し、続けて、

「ところが、先般の西荒の交易で、色々面倒ごとに巻き込まれて、老師は大怪我をされてしまった。それで、さすがの旦那様も、隊商へ参加させまいとなさって、大喧嘩されたそうで、その時、老師は怒って髪の毛をばっさり切り落としてしまわれたそうなのだ。それに驚いた旦那様が折れて、護衛をつける事を条件に許可されたのだ。で、あの商人の格好のお方は、その旦那様の信任厚い、ご親戚の方なのだ。オマは疑っているようだが、老師が玄武の国にいらっしゃる時は、それは、もうお美しい貴婦人でいらっしゃるので、護衛するあのお方の視線に少々熱がこもるのも仕方ないことなんだよ」と、流れるように、(まこと)しやかに説明してのけた。

 オマは感心して

「へえぇー、そうだったんだ。そんないい所の旦那様に囲われていらっしゃったのかい」と、言い、それから「分かったよ。そういう事なら、秘密にしておくよ。でも、そんなご立派な貴婦人でいらっしゃるのなら、これからは、私も態度を改めないといけないかしらねえ」と、悩み始めた。

 するとハオズィは、「別に態度を改める必要なんてないでしょう。老師は、老師です。ここでは、男扱いしてあげてください。その方が、ご本人も気楽でよろしいでしょうから」と、結論した。

 傍で聞いていたカリウラは

(さすがは、狐狸国の大商人、口がうまいな。俺なんか、こんな機転の効いた言い方はできないよ。ハオズィが通りかかってくれて、本当に助かったよ)と、思った。

 カリウラとハオズィが赤天幕から離れていくのを見送りながら、オマは

(老師は、時々恐ろしいくらい色っぽく見える事があって、不思議に思っていたが、玄武国の上流貴族の愛人だったのか。それで納得がいったよ。でも、変わってるよね。お国では、きっと何不自由なく暮らしているはずなのに、何が楽しくて、隊商なんかに参加するんだろうね)と、思った。

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