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千年妃(異界に堕とされましたが戻ってきました。復讐は必須ですのつづき)  作者: nanoky


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1 乾陽大公ダルディン(1)

 乾陽大公ダルディンから見たリーユエンです。東荒へ出発する予定ですが、

なかなか出発できないかも・・・

 外苑の番人小屋へ、黄昏時の訪問者があった。ノックの音に、扉を開けた老人は、目を見開いた。扉の前にフードを目深に被った黒マント姿のゲオルギリーが立っていたからだ。

「陛下、珍しいな」

 開けられたドアから、中へ素早く入った陛下は、フードを後ろへ跳ね上げ、

「陛下なんて呼ぶのはやめてくれ、ゲオでいい」と、老人へ声をかけた。

 老人は、竈で沸かしたお湯で、お茶をいれながら、

「どうしたのだ?こんな所へ忍んできて、今日は、夜に行事がある日ではなかったのか?」と、尋ねた。

 ゲオルギリー陛下は、長椅子に行儀悪く寝転がり、

「最後の方で顔を出せば十分だ。愚息のしけた顔など見たくないしな」と、言った。

老人は、「まだデミトリーは、元気が戻らないのか?」と、尋ねた。

 ゲオルギリー陛下は、起き上がると、食卓のカゴの中から、勝手にパンをつかんで食べながら、

「リーユエンがよく使っていた東屋へ行っては、泣いているそうだ」と言った。

 老人は、「失恋のショックからまだ立ち直れないのか・・・しょうのない奴だ。」と、つぶやいた。

 ゲオルギリー陛下は、老人を横目に見ながら、

「デミトリーの話では、後宮の外れで、リーユエンと戦ったと言っておった。ここへは、誰が運んできたのだ?」と、尋ねた。

 すると、老人は、「そりゃ、リーユエンに決まっておろう。デミトリーを肩にかついで、運んできたんじゃ。夜明けと同時に扉がバンバン叩かれたので、心の臓が飛び上がりそうなほど驚いたぞ」と、答えた。

 ゲオルギリー陛下は、「えっ、愚息はリーユエンにここまで運んでもらったのか」と、驚いた。ヨークあたりが担ぎ込んできたのだろうと思っていたので、予想外の答えだった。

「わしが扉を開けると、陰護衛姿の若者が立っておってな、『王太子が怪我をしたので、ここで手当てして欲しい』と、言ったのだ。その声で、若者だと思っていたのが、リーユエンだと気がついたのだ。わしの顔の表情で察したらしく、彼女は、『後宮へ連れて帰るといろいろ面倒だから、ここへ連れてきました』と言ったのだ」と、老人は話した。

 陛下は、老人をじっと見据え、「リーユエンは去り際に何か言ってなかったのか?」と、尋ねた。

 老人は、「『陛下と王太子殿下には、不義理を働いて申し訳ないことをしました。けれど、後宮にも王宮にも、私はもうこれ以上滞在するのが良いこととは思えません。禍根となる前に立ち去ることといたします』と、そう言うておった」と、答えた。それから、「デミトリーの顔を悲しそうに見ておった。大牙で前世を思い出さなければ、デミトリーと添い遂げようと決心できたかもしれないが、前世を知った以上、そんな事はできないと言っておったな」と、続けた。

 陛下は腕組みし、宙を見上げ、「前世か・・・」と、つぶやいた。

 老人は、「リーユエンのいう前世とは、一体何なのだ?」と、尋ねると、陛下からは、「あの女は、千年前には、大牙で滅びた銀牙の一族の生き神で、ドルチェンの妻だったそうだ」と、答えた。

「妻だと・・・千年前にドルチェンは凡人を妻帯していたのか」

「そうらしい、銀牙を滅ぼそうと、大牙に潜入していたドルチェンは、仇敵である銀牙一族の女を娶ったそうだ。そして、争乱に巻き込まれ死んだ妻を、中有へ千年間閉じ込めていた。それを奪い、生き神として再び生まれ変わらせたのが、大長老のソライだ」

 老人は、ブルッと身震いし、

「なるほど、道理で、人外じみた女だったわけだ。あのような者を、金杖王国に留めるのは、あまりにも危険だ。出て行かせたのが、正解だと思うぞ」と言った。

 ゲオルギリー陛下は、「黄金獅子の力があれば、御しきれると思ったのだが、実に残念だ」と言った。

 老人は、瞑目し「黄金獅子の力といえども、所詮は凡人の力だ。中有に魂を留めおくなど、玄武の法力に敵う力ではない。きっぱり、諦める事だ」と、諭しながら、心の中で、(なるほど、前世からの縁があるのなら、ドルチェンとの関係は容易に切れるものではない。デミトリーには、最初から勝ち目はなかったのだ。リーユエンは、デミトリーにどれほど惹かれても、ドルチェンから離れることはできなかったのだな)と、思った。


 リーユエンが出奔した後、ウラナとシュリナは後宮を出た。ウラナは、後宮を出る直前、瞑想を行い、玄武国の巽陰大公カーリヤへ、リーユエンが出奔した事を知らせた。

 知らせを受けたカーリヤは、その事を乾陽大公ダルディンへ伝達し、彼女を探し出して合流するよう命じた。実は、リーユエンの治療を終えた後、ダルディンは、玄武国への帰路へはつかず、そのまま狐狸国で潜入を続けていた。

 すでに、リーユエンへ、自身の法力を何度か送り込んでいたダルディンは、ドルチェンのように遠方からの感知はできなかったが、近い距離ならば、彼女を探し出すことができた。ダルディンは、リーユエンは狐狸国へ立ち寄るに違いないと考え、根気よく法力の反応がないか、探り続けた。そして、ついに、法力の反応をみつけた。  

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