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効察厨は誘導尋問が得意なようです(無自覚)


「ふふ、確かに」


 浅緋はそういって笑うといきなり神妙な顔に変わった。浅緋はその顔のままいきなり立つと

「コンニチワ、ミナサン」といきなりカタカナ日本語のような変な言葉を使った。


「浅緋、ついにおかしくなったのか?」


 頭の病気かな、病院は今ここにはなさそうだし大丈夫か?と憐れみながら言うが浅緋は特に期待している反応を見せない。

 むしろ楽しそうな顔に変わった。


「ひどいね、ただ英語で話してみただけだよ」

「英語?カタカナ日本語じゃなくて?」


 今のは明らかに英語ではなかった。よっぽど外国人が日本語を学びましたという感じの発音だ。あぁ!外国人風に話したってことか!と俺は納得したが浅緋の目が、口が、違うと言ってくる。


「なに馬鹿なこと考えてるかは知らないけど絶対に違うよ」

「…エスパーですか?」

「違います」


 俺はちぇっ、と口を尖らすと浅緋に説明を求めた。

 浅緋が言うには俺らは二人とも日本人で日本語で話せば伝わるがこの世界の人もそうかはわからないから翻訳されるのかを試す必要がある、らしい。

 そこで浅緋は英語で喋り、何を知らない俺を体のいい実験体にしたと言うわけだ。


「次の犠牲者は浅緋で決まりだな」

「ひどいね。これも必要なことなのに」


 浅緋は至極残念そうに泣き真似をしている。

 

「必要だからって実験できる人に心があるとはなぁ」

「流石に命が関わることはしないよ!」

「関わらなかったらすると、ほぉ〜」


 俺はわざとらしく後退りをする。浅緋はあたふたと言い訳をするがサイコパスみがボロを出し始めた。

 しかも明らかに効率重視すぎる。

 効率厨なのか考察厨なのかいまいちわからないやつだ。


「そういう悠だって…」

「俺がどうした、効察中」

「なんかイントネーションおかしくないかな?とにかくそれいうなら悠だって作業厨じゃない」


 そりゃ考察の察と効率の効を組み合わせたからな。イントネーションは違うだろう。

 しかあし!俺はもう作業厨は卒業した。そう、変なことはもうしてない。

 まあ浅緋は昔しか知らないからしょうがないな。うん。


「それは昔の話だ。流石にもうラノベのありがち展開を集めたりしてない」

「え、そんなのしてたんだ」


 浅緋は何故か目を丸く見開いた。まるで予想外の方向から殴られたとでもいうように。


 あれ、あの頃してた作業ってこれじゃなかった?別の作業なんかあったけ。ううむ、ありそうだな。間違えた!これでは作業厨を認めた様なものじゃないか。俺は何もいえなくなり、喉の奥から呻き声を出した。


「くぅぅ、なかなかに誘導尋問がうまいじゃないか」

「してないよ」


 今のは明らかに誘導尋問だよ、そうだ。決して俺が馬鹿だとかそういうわけではない。そうだ。そういうことにしよう。

 などと思考を明後日の方向に飛ばしていたら浅緋が話を戻してきた。


「とにかく、さっさと街に行こうよ。日が暮れる」


 周りをみると先ほどまで頭の上にあってかんかん照りで攻撃していた太陽はすでに傾いている。

 水色のパレットに赤の水彩絵の具を一滴垂らしたかのような空の色だ。

 まだ夕焼けとは呼べないがそろそろ夕焼けにかかっている。


 そういえばそうだった。街に行こうとしてたんだ。俺たちは何をしていたのだろうか。


「そうだな……」


 う、いきなり立ったせいで足が、うぅ。

 途中から変な体制で座っていたためか足が痺れてしまった。浅緋に助けてと乞うもにべもなく足を踏んできた。

 ちなみにこの時の浅緋の表情はなかった。何も感じていないかのような顔で足を踏んできたのだ。恐ろしい。


 ツーと足から痛みが伝わってくる。

「うわだぁ!!ひど!痺れてる足を踏むとか鬼なの!?」

「いいからシャキッと歩く。ほら」


 俺は仕方なく、本当に仕方なく、痺れた足を引き摺る様に歩きながら浅緋について行った。


 浅緋は軽い足取りで草の中を突っ切っていく。

 そして不意に振り向いた。


「街まで休まないからね」

「本当に鬼だな!この、サイコパス!効率厨!」


 浅緋の宣言に俺はがくりと気を落とす。確かに夜が近づいてきているがそんなに急がなくてもいいだろうと思って。

 せめてもの腹いせに適当な悪口を言ってみるが浅緋の笑顔の圧の下砕け散ってしまった。


「何か?ははは」

「……スゥ。何でもないです」

「そう?ならよかった」


(浅緋ってこんなに怖い人だったけ)


 正直言ってここ最近は接点も少なかったのでよくわからないが昔はもっと優しかったような気がする。気のせいかもしれないけど。

 

むしろゲームでたまに遊ぶネッ友に似ているような………

「悠?遅いよ」

「はいはい、行きます行きます」


 俺はひとまず考えるのをやめて浅緋を越すために早歩きに取り掛かった。



 空にはもう水色の光はなく紫の光へと変わって赤く染まり、街の門がうっすらと霧の奥に見え始めていた。

ギャグですね これからストーリーがどんなふうに展開されていくのか筆者でもサッパリです


サッパリした味付けは美味しいです!

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