表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

プロローグ 転移

転生、転移、それはラノベ界の大型ジャンル。

 世の人はいまや転生ブームとなっていた。


 ん?オタクだけだろっていったか?そういう偏見辞めろよ。悲しくなるから。


 とまぁ、そんな流行りの転移もののような状況に自分が身を置くことになるとはあの時にはわかるはずもなかった。




____________________





「高本ー!いっしょ組もうぜ!」

「おう、やはりこのメンツだな」

「当たり前といったら当たり前」

「やはり、こうなるか」

「そりゃあなあ」


 サッカー部の四人が我先にと班を決めた。


「あっさひー!ほら行こ行こ!」

「あ、七海。でも班は四人からじゃ……」

「いーの、いーのー、この子たちがいるから」

「まら四人で行きなよ。僕はいいから…」


 ギャルの中心にいる日比谷さんはどうしても浅緋と行きたいらしく取り巻きの三人を使って同じ班になろうとしている。


 他の人も順調に班を決める。


 はあ、陽キャどもがうるさい。

 というか浅緋、お前は鈍感系主人公か。違うだろ?一緒に行ってやれよ。日比谷さんが可哀想なんだよ。

 俺は心の中で叫ぶ。なぜ心の中なのかって?口に出して言えば睨まれそうだからです。いつの世も女子は怖い。


「お前は、仲間だもんな」


 隣で俺と同じように要キャ共をじっと見つめる佐藤(隠キャの方)の肩に手を置いてぽんと、叩く。


「うん、そうだね、ハハハ」

「ハハハハハ」


「翠屋くん、一緒に組んでくれないかな?」


二人で肩を組み合いながら乾いた笑い声をあげていると浅緋が話しかけてきた。

 そう、件の陽キャである。


「私達と組んでも三人ですよ、空橋くん?」


 俺は家の決まりのせいで一人称を私にしなくてはいけない。なんでも神に仕えるのだからきちんとした言葉遣いにしろとかなんとか。そのせいで常に敬語オンリー。

 本当にめんどくさい。絶対に親の目がないところだったら自由に過ごせるのに。


 そう思うといつも、なんとも言えない気持ちになる。


「大丈夫、委員長たちが組んでくれるから」

「……そうですか。佐藤くんもいいですか?」

「あ、あぁ。俺は別に」


 華やかな風が浅緋を中心として吹いた。


 本当になんなんだ、コイツは。五人ということには変わらないだろ。俺のテンションは校外学習、自由行動ということで低くはないが一気に残念になってくる。

 後の女子の目が怖い。ガクガクブルブル。

 俺は小さく震える。



 そんな時、視線の先で日比谷さんが消えた。怪しげに薄く光る魔法陣らしきものを下に残して。


「な、なんだよあれ」


 隣にいた佐藤くんも気づいたようだ。周りを見るのは隠キャの特性というわけか。

 ではなく、それに続くかのようにギャル軍団の三人も消えた。


 ふと下を見ると浅緋の足元にも魔法陣らしきものが出ている。

 浅緋は不安そうな顔をしながらも瞳の奥にわくわくの光がある。


 「し、知らないy」


 浅緋が消えた。そろそろ俺も消えるのだろうか。佐藤はまだみたいだけどどうなるんだろうか。というかよくある転移ものみたいだな。


 なんて余裕そうに俺が考えていると視界が白く染まって________________





***





 (ここは………)


 目が覚めると白い世界だった。なら定番であろうか、でも実際は本やチラシなどが乱雑に置かれている。人間らしさの塊だ。

 目の前にはおそらく状況的に天使様であろう人がいる。

 白のような金のような不思議な光沢を持つ髪と金の目は人ならざるものにしか見えない。むしろこれで悪魔だったら驚きだ。


「はあ、全く。なんで集団でいないのかな!朝の9時はホームルーム中だから皆集まってるって聞いたのにさぁ!!いちいち一人一人召喚するのめんどくさすぎだって」


(聞いたって……えぇ…なんなの、神様ネットワークでもあるわけ?)


 天使様は不満を口に出しながら半透明のディスプレイらしきものを見ている。


 というか9時はなかなか微妙だと思うな。俺の学校は……あ、9時はぎりぎりホームルーム中か。その情報仕入れるなら時間割まで仕入れとけば良かったのに。

 俺は少し呆れてしまう。神様も関与してるだろうにと。


「そう。よくわかったねってあぁぁ!!もういるの?送り込まれるの早くない!?~*]%|^_£|€許さない、、絶対、、!」


(~*}%\^__£\$?なにこれ)


 聞いたまんま言ってみるが上手くいかない。というか喋れてない。今は声帯がないのか?


「え、なんで発音できるの?これ神族しか発音できないはずなんだけど、、、ん〜?ちょっと違うのかな?よかったぁ」


 天使様は焦って録音してたのかなんなのか目を瞑って何かを聞いている。


 その間暇なので俺は近くに置いてあったチラシを覗いてみてみた。


 9時に召喚が最高?ふうん、ここから情報を得ていたのかと俺は納得した。

 と同時に本当に神々も転生、転移ものが流行ってるのかもしれないと思う。少し誇らしい。


(それよりなんなのこの状況、汚部屋?)


「無駄に冷静だね、そこはもっとパニクってて良かったんだよ!?」


 天使様は恥ずかしそうに悶えると急いで雑誌達を片付ける。といっても指パッチンで済んでいるのが少しかっこいい。かっこいい、はず。


(なんか、すみません。見せたくないものを見てしまったようで)


 天使様は冷静といったが俺のテンションは意外と過去最高だったりもする。

 でも普段の癖なのかあまり表情というか言葉に出てこない。この状態でわかるのはアイツくらいかもしれない。


「いいよ、いいけど。はぁ、キミ、面白いってよく言われない?」


(言われないかな、いつも敬語オンリーなんで)


「え、その性格で?」


(あぁ)


 神様はまた呆れたかのようになぜかため息をつく。


「ふふ、ホントに面白いねキミは」


(ありがとうございます?)


「もっとありがたがりなよ。これでも上位神の一人だよ?」


(上位神とか俺知らないんで)


 俺が恐らく忘れられていたであろうことを指摘すると天使様___神様は目を泳がせた後何もなかったのかのように説明を始めた。


「……説明忘れてた。ん、うん!今からキミには僕らの統治する世界、リムムヲツに転移してもらいます。

 その世界で何をするも自由。ただ好きなように過ごしてください。

  …………でも、このままだとメテエナメの王城に転移することになりそうなのか。たぶんキミも勇者になるんだろうな…」


 最後は小声で聞き取れなかったが悲しそうな雰囲気は感じた。

 もう一つ気になる点があった。


(神様、上位神の説明まだないですよ?あと、このままってことは変わることもあんの?)


「!!うん」


(テンション上がりすぎだろこの神様)


 神様はいきなり声のトーンを上げると今にも踊りださんとばかりに手を上げたまま話す。

 きっと、殴る目的とかではないだろう。ないはず。


「うるさいよキミ?とにかく転移する場所はある程度選べる。望む場所に転移させてあげるよ」


 神様はじーと俺を見つめてきた後、にっこりと笑いながら告げた。


(……じゃあ、)


 俺は……



 時を同じくして浅緋も。



(望む場所に行けるんですか?)


「ええ。貴方の望む通りよ」


(……じゃあ、)



 そして浅緋と俺は同じ言葉を発した。らしい。




((始まりの村的な場所の近くの森!))



「そうか、」

「全ての始まりの村、ね」

「よくこの名前の街があるとわかったな」

「「では、楽しんでおいで。我は其方を祝福する。」」



((絶対、なんかが違うよね??))



 ツッコミはもう遅く、俺たちはきっとここで、奇妙な運命に巻き込まれることが確定してしまったのだろう。





_________________





「今回の子は面白いね」

「そうね。あの街に二人も行くなんて」

「あと、もう一人城外に転移した子がいたよね?」

「ええ、確か佐藤望と言ったかしら」

「ああ、楽しみだな。この子達はどんな物語も作り出していくんだろうか!」



 ソレらはまた、消えた。







投稿は二作目、同時には四作目。改めまして森鐘です。

異世界ものは最高(読む分には)なので表現などをがんばろう、と思っています……meybe

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ