表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

第二章 英雄の試練

お読みいただきありがとうございます。楽しんでいただければ幸いです。


 黎初の英雄は、塵常界に姿を現して以降、夙罹との終わりなき戦いに身を投じた。

猛る獣の咆哮、底知れぬ闇の呻き、裂ける大地の轟き……

世界の輪郭が脅かされるたびに、英雄の剣がその歪みに応じた。


嵐の如く吹き荒れ、森を薙ぎ払う魔竜。

その咆哮は空の色を変え、灼熱の奔流が大気そのものを焼いた。

英雄は霊気を鎖めた衣でその猛威をはね除け、炎を纏った大刀を振り下ろす。

一太刀、世界の理を断つように。鋭き一閃が硬き鱗を穿ち、

魔竜は深淵の裂け目へと、無音のまま消え失せた。


静寂の狭間で、英雄の胸に問いがよぎる。

——この戦いの果てに、我は誰の夢を歩んでいるのか。


やがて、腐敗に染まる森の底、

星明かりも届かぬ地に潜むは、無音の蜘蛛。

漆黒の肢が静かに絡みつき、毒の息が命脈を蝕む。

英雄は意志の光で身を包み、閃く剣で毒風を断ち切った。

たとえ肉体が侵されようとも、霊の核は揺るがない。

猛毒の霧を裂き、蜘蛛の急所を貫くと、

毒と影が悲鳴をあげて崩れ落ちた。


絶望が這い寄るたびに、それでも英雄は前を向く。

己が存在が果たすべき役割を知る者として。

かすかに射す未来への光を、胸に抱き続けながら。


こうして英雄は、夙罹の猛威に抗い続け、

人々にわずかながらも安寧の欠片をもたらした。

その姿は語り継がれ、やがて神話へと昇華されていく。


終わりなき試練の中で、

なおも輝きを失わぬ、一筋の光として——

第二章です。英雄が試練にどう立ち向かったか、神話的な視点で描きました。

前章とはまた違う雰囲気ですが、お楽しみいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ