町へ 9話
俺も、お面の後ろを付いて歩き始めた。
時々、躓き倒れそうになるお面の服を掴み立たせて、来た時の2倍上の時間をかけて町にたどり着いた。
町は、想像以上に破壊尽くされていた。
お面が、周りを気にしていないようなので、おそらく災厄は、近くにはいないのだろう。茫然自失していて、そんな事にも気が向かないだけなのかもしれないが。
アジトだったと思われる場所に辿り着くと、お面は、よろよろと破壊された建物の跡を探り始め、なにかを探していた。
「何探してんだ?」と聞くが何も答えない。
何を探しているかを教えてくれなければ、手伝いようもない。
とりあえず、周りを気にしながら、お面の気の済むまで、好きにさせることにした。
魂の抜けたような動きで、何かを探し続けるお面を見ながら、俺も周りを伺うが、やはり他の人間の痕跡を無いのを感じていた。
辺りが少し暗くなってきた。冬では無いけど、夜はやはり少し冷える。かろうじて残った建物の奥の方に、眠る場所を確保して、お面を探しにいった。
すると、お面は、何かの前に座り込んでいた。
横から覗き込むと、それはお面だった。そのお面には見覚えがあった。
お面と呼ばれていた人間のもののようだった。お面なんかどれも同じに見えるし。
そのお面を前にして、お面は、じっとお面を見つめていた。
「おとうさん、、、。」
流石にかける言葉が見つからず、後ろから見ているだけだった。
しばらくして、お面が立ち上がったので、建物の奥に手を引いて連れていった。
食べ物らしいものも、さっきの間に少しだけだが探すことができたので、夕食の準備もかろうじてできていた。
今日はまだ良いけど、明日からどうしようかな〜と考えていた。しかし、お面にあとで聞くことにすれば良いと思い、最悪あの館に行けば雨風凌げるしな、、、。とも考えながら、眠くなってきたので眠ることにした。
翌朝、目を覚ますとお面の姿がなかった。
眠る時は先に眠っていたので、早く起きてしまったのかもしれない。この状況で、俺が彼女の行動に気が付かないほど眠りが深かったとも思えない。
ただ、事実なのは彼女がここにはいないということだ。
俺は立ち上がって、付近を探すことにする。
彼女が発見した父親のお面もなくなっているので、少しの間離れたと言うわけではなさそうだ。
外は、明るくなっていた。まだところどころで火の気はあるけれど、燃え広がるような感じでも無い。
ただ、ひと気が全く無い。
「これは、、、。」と、俺はつぶやいた。
辺りは静まり返っていた。
俺は、この場所に存在しているのは、俺1人で、お面でさえ、本当は存在していなかったのでは?すら思った。
すると、遠く離れたところで瓦礫の落ちる音がした。
そちらの方に向かうと、瓦礫を動かしながら何かを探しているお面の姿があった。
「探してたんだけど、、、何してんの?」と、声をかけると、お面は、
「あいつを倒す武器を探している」と、言った。
「あいつって?」と俺が聞くと、
「あいつは、あいつだ!」
「災厄のこと?」と、聞くと
「わかってるなら、聞くな!」と
「やめた方がいいんじゃない?だって、みんな居た時でさえ無理だったんでしょ?」と言うと、
「そんなことは関係ない!」とお面は、叫んだ!
「生き残ること考えようよ。」と俺が言うと
「勝手にアンタだけ逃げればいい!」と、今度は小さくつぶやいた。
「じゃあさ、こうしようよ。君は、災厄を倒したいわけだよね?
でも、できることならやられないで倒したいわけだよね?
だったら、一緒に倒し方考えようよ。悔しいかもしれないけど、今のまま挑んだって負けるだけで、誰も救われない。
なら、少し時間おいて、倒せる方法考えよう。
手伝うからさ。
それからでも遅くない。
復讐するなら、できればやり遂げようよ。」と、俺は言った。
すると彼女は、俺の目をじっと見つめて、小さく頷いた。