館 7話
扉を開けて一歩踏み出し、中を見渡す。
ごく普通の館の中といった具合だった。
目を閉じて、しばらくして目を開ける。
これきっかけで、周囲が変化しているといいなーと思ったが、何も変化はない。
核心に迫るのに、手っ取り早くてよかったのだが、ドラマみたいに上手くいかないものだ。
あきらめて、館の探索を行うことにした。
仕事は仕事だから、、、。
「右回り〜右回り〜」
と、広い部屋を、右回りに見て回った。
一応仕事なので、ちゃんとつぶさに見て回った。報告あるからな。
一周して扉のところまで戻ってきた。
「ふぅ〜」と一息ついた。
中腰で見て回ったので、腰が痛い。
結論は、、、ここはおかしい。
お面達の説明だと、館は吹き飛ばされる寸前までいったはずだ、、、。
しかし、ここにはその痕跡すら無い。
だとしたら、そもそも話がうそ、もしくは間違っているか、あとは、、、この場所自体がやはりおかしなチカラによって成立している。
後者だと、仕事終わらないから嫌だなぁ〜と思っていたら、扉の向こうに気配がした。
こんなのフラグ以外の何者でも無いので、無視することにしたが一向に立ち去る気配がない。
仕方がなく扉を開けた。
すると、そこにはお面がいた。
「帰った方がいいと思うよ。」と、俺が言うと
「普通は、なぜいるんだ?じゃないの?」と、お面は言った。
「帰った方がいいと思うよ。」と、さっきよりも思い切り棒読みで言ってみた。
「だから!」
「帰った方がいいと思うよ。」と、今度は爪いじりながら、聞こえるか聞こえないかの小声で言った。
「何で来た!とかないの?」
俺は、扉を閉めた。
すると、お面は、扉をドンドンと叩きまくった。
俺は、部屋の中に入り、一番近くのソファーに座って、お面が静かになるのを待っていた。
すると、部屋がぐにゃりと変質してきた。
「へぇ〜、どれがきっかけだったんだろう?まぁ、いいか。」と、変化が終わるのを待っていたが、なんか変わりきらないので、思い切って目を閉じた。
目を開けた時に、部屋の光景は一変していた。
見渡す限り白い空間だった。
どこかで見覚えがある。
あぁ、スイッチ押して目が覚めた時の部屋によく似ている。
あの話は、嘘や間違いではなかったということか。
じっとしていても、何も変わらないはずなので、立ち上がって、まっすぐ歩いた。
どこまでもどこまでも歩いた。不思議なことに、疲れはなかった。
すると、少し先に何かが見えた。
俺は立ち止まって、しばらく考えてみた。
想像通りだった。むしろ、想像とは違うものが出てきてくれた方がありがたかった。
とりあえず、何かに向かって歩いた。
何かは、やはりスイッチだった。
なんか、スイッチ流行ってんな、、、。それとも、俺のイメージがスイッチに囚われすぎていて、俺のイメージがこれなのか?
まぁ、見つけたから、帰ることにした。
もう一度ここに来る方法がどれかはわからないけど、なんとかなるだろ。
多分来ることはないけど。
振り返ると、来た方向みたいな方向に歩いていった。
すると、後ろの方で
「あった!」と、声が聞こえた。
お面だった。
彼女は、スイッチを勢いよく押して、俺に向かって
「これでいいんだろ?これでみんなが助かるんだ!」と、叫んだ。
俺はそんな彼女をみながら言った。
「いや、変わらないと思うよ。」
お面は、首を傾げながら、言った。
「だって、、、これが。」
「多分だけど、それは何かを作動させるスイッチではない。何かを反転させるスイッチじゃないかと思う。」と、俺が言うと
「何言ってるんだ?」と、お面は、聞いてきた。
説明するのもめんどくさいので、
「帰ろう」と言うと、お面は、俺の横に並び、歩きながら
「これで終わるんだろ?」と聞いてきたが、俺は無視した。
それからの帰路は、最初お面が、ひっきりなしに俺に話しかけてきて、適当な相槌を打つ俺にお面が切れる、、、の繰り返しだった。