間の世界と始まり 5話
目が覚めると、目の前は真っ白だった。
「やっぱりそうか、、、。何が待ってるのかね。」
俺は起き上がると、周りを見渡した。
何も無いだだっ広い空間。
そさて、自分はスイッチを押した時のままの格好だった。
「こんなこともあるだろうと動きやすい服装で来といてよかった。」
ポケットを探ると、スマホ、財布、鍵など持っていた物全部がそのままだった。
ここが現実なのか、そうでは無いのかは別にして、とりあえずは目の前のものを処理していくほかはないだろう。
ふと、後始末ちゃんとやってくれたかなぁ〜陸くん。
俺が寝ていたのは、可動式のベッドのようなもので、ただそこに横たえられていただけで、何かがあったとかではなさそうだった。
というより、何もないのが不思議である。
目が覚めてからの行動を監視されているのだろうが、とりあえずは身体の目につくところに何かを埋め込まれた様子はない。
ただし、スイッチを押してから実は何ヶ月も経っているようなら、傷も治っているから判断の材料にはならないと思うが。
つまり、このまま動かずに待ち続けるか、闇雲に動くかの選択肢しかないということである。
正解以外を選んだら、即死じゃないと良いな、と思いながら周りを見渡した。
ベッドから降りた。
床はリノリウムみたいなしっとりとした硬さの床だった。
立ち上がって、周りを見渡したが、ぼんやりとして部屋の大きさがはっきりとしない。
寝起きだからか、、、。
それともそういうつくりになっているかはわからない。
でも、やはりここは闇雲に歩こう。
そして、目の前に扉があった。僕は躊躇うことなく、その扉を開けた、、、。
次に気がついたのは、さっきの何も無いだだっ広い空間のベッドの上だった。
「だめだったのか、、、。」
どうやら、僕は最初の扉の向こうの試練に合格しなかったようだ。
振り出しに戻ったようだ。
でも、やはりここも闇雲に歩ることにしよう。
すると、再び扉があった。
今度は、僕も流石に立ち止まった。そしてさっき何があったのか、思い出そうとした、、、。
「だめだな、、、モヤっとしていて思い出せない。多分思い出せなくしてるのだろうし、それよりも目の前のことを処理しないと。」と、目の前の扉を見つめた。
さっきは、躊躇うことなく進んだが、現在の状況を振り返ると、少しは躊躇った方が得策のようだ。
だからといって、誰か他にいるわけでもないので、いつまでもこのままというわけにはいかないと思うし、さっきの部屋に戻ろうにも、、、、やはり。
来た道がない。
「当たり前か、、、。」と呟くと、扉の横にもたれかかるようにして、座り込んだ。
しばらく目を閉じると、陸の姿が浮かんできた。
「陸くん元気にやってるかな?もし今度会えたら、何を食べに行こうかなー」などと考えていると、眠りが襲ってきた。
そして、僕は不自然な体勢にもかかわらず、深い眠りに落ちていった。
「、、、!、、、!アナタ!」
強く肩をゆすられていた。
「えっ?」と、目を開けると、そこには、女の人が俺の顔を覗き込んでいた。
「アナタ!こんなところで何してるの?」と、彼女は俺に問いかけていた。
周りを見渡すと、そこはさっきの場所ではなく、見たことのない町のようなところだった。
「移動させられたか、、、。」ゆっくりと立ち上がって、もう一度周りを見渡した。よく見ると、町はあちこちが破壊されていて、倒れている人も見かけられる。
ただ、おそらく手遅れなのは遠くから見てもわかる。
「戦争か?」と呟き、さっきの女性を探した。
すると、彼女はどこか遠い方向を睨んで、少し緊張しているようだった。
ただ、おそらくこれから降りかかってくるであろう災難よりも気になることがあった。
さっき、女性だったはずの彼女は、よく見ると少女だった。さらに困った事に、彼女は「お面」をつけていた。
何のために、そんなことをしているのかは、わからないし、彼女の緊張を見て取ると、それを聞いたところで返事は期待できそうにない。
とりあえず、この町の情報は、彼女から手に入れるのが一番手っ取り早そうだから、彼女とこの危険から逃れるのが賢明なようだ。
「ねぇ、逃げない?」と、彼女に話しかけた。
すると彼女は、顔をつけたお面をこちらに向けて「逃げられると思ってんの?」と、少し怒気を込めて答えてきた。
しかし、俺は、お面を突きつけられているためか、笑うのを堪えるのが精一杯だった。
「ちょっとアンタなんで笑ってるのよ?」と、彼女は言葉をぶつけてきた。
「いや、だってお面じゃん!」と、俺は笑いを堪えて答えた。
「てめっ!ふざけてんのか?」と、彼女は怒鳴ってきた。
「いや、ふざけてんのそっちだろ?お面とかつけて。変装か?」
彼女は、ふっと真顔になり、「アンタ、この世界の人間じゃないよね?」と、聞いてきた。
「なぜ?」と、俺は聞いた。
「前にも同じことがあった。」と、彼女はつぶやいた。お面をこっちに向けて、、、。
「その人は、今どこに?」と聞くと。
「もういない、、、。」と、彼女は答えた。でも、お面が湿っぽい雰囲気を完全に破壊する、、、。
「まぁ、いい。こっちに来い。」と、彼女はどこかに連れて行こうとする。ただし、何かを警戒しながら。
建物と建物の間をすり抜けながら、ある場所にたどり着いた。
「ここなら安全だ、、、。」とお面をつけた彼女は声をかけてきた。
その場所は、外の道路からは見えないように入り組んだ場所にあり、確かに分かりにく場所にはある。でも、安全というわけではない。
「どうした?」と、お面が聞いてきた。
「ここ、本当に安全なの?」と、聞くと
「安全に決まってるだろ!道路からは絶対に見えないし、、、、。」とお面は答えた。
俺は、天を指差し、お面に向かって伝えた。
「あのさ、お面。上からは丸見えだぞ!」
お面は、本当の顔の方を真っ赤にして怒鳴ってきた。
「だ、だれがお面だ!お面じゃない!これは!」
「じゃ、なんだ?idかなんか?もしくは、なんかの印か?」と、俺が聞くと
「話したくない、、、。」と、お面は下を向きながら答えた。
「まぁ、でもここは安全というのなら、ここで休むとするよ。」と、俺は答えた。