第六十七話 危険な二人 ♡
微エロ
クエルの投げ捨てたコートに付けられたアクセサリーが、ジャラッと音を立てて床に落ちた。
床に仰向けで寝そべるケインに、クエルは顔を近づける。
自分を見上げるケインの口に、クエルは唇を重ねた。
「んむっ……んあ」
クエルの舌がケインの唇を割って侵入しようとする。
「くぅ……ま、待って、クエル、こんなこと……うんっ」
「うぅん……ごめんなさい、我慢できないの……はむぅ」
男娼との口づけに鍛えられたクエルの舌は、巧みにケインの舌に絡みつき責めたてた。
舌がねっとりとした感触に包まれ、クエルの口内に燃えるような快感があふれる。
「はふ……むう……」
「んくう……あむ……」
舌から伝わる甘く激しい刺激に、頭の中心が痺れ、気持ちよさに思考が吞み込まれていく。
クエルはお尻を上げ背筋をピンと伸ばした猫のような恰好になった。
口からこぼれんばかりのケインの唾液を、クエルは夢中で吸い上げると喉を鳴らしながら飲み込む。
(……美味しい、いつまでも飲んでいたい)
たとえようのない幸福感がクエルの全身を満たす。
今のクエルにとって、それはまるで媚薬のようであった。
じっとしていられず猫のように腰を振り、上げたお尻をくねりだす。
「ふぅ……はぁ……」
二人の口が離れると、唇から透き通った唾液の糸が互いを繋いでいた。
クエルは込み上げてくる衝動を抑えなかった。
「はぁ……身体が熱い、熱いの」
勢いよく立ち上がると、発情した甘臭い汗で濡れた服を捲り上げる。
クエルは一切の躊躇もなく着ている衣服を脱いだ。
そこに現れるものを、ケインは知っていた。
服によって押しつけられ窮屈にしていたクエルの大きな胸が、勢いよく跳ね上がり姿を現す。
その途端、ムワッと甘い芳香がケインを包み込んだ。
白肌を情欲の紅色に染め、並はずれた大きさでありながら形を崩さぬ胸は、どうだとばかりに美姿を誇示する。
知っていながらケインはゴクリと唾を飲み込むと、クエルの裸体に視線が釘付けになった。
裸体に見とれているケインを他所に、クエルはケインの残っている衣服を慣れた手つきで脱がす。
「く、クエル!? み、みんなが見てるよ」
ケインの言う通り、ミレーヌとフウがクエルの突拍子もない行動を注視していた。
両手で真っ赤になっている顔を覆うミレーヌに、あきれ顔のフウ。
上ずった声をあげるケインの腰をまたぎ、クエルは膝立ちになった。
「見せつけてあげましょう。 わたし達の愛を」
クエルは悪魔のような笑みを浮かべケインに囁くと、さっと腰を落とした。
「うっ……うんん……」
温かな感触に、ケインの全身が大きく震えた。
「あはぁっ!」
肉体の中心に熱く硬いモノを深々と受け入れ、クエルはどうしようもない歓声をあげた。
クエルは痺れるような凄まじい衝撃に身体を震わせる。
(これ、これよ! これが欲しかったのっ!)
まるで溶けて混ざり合ったかのような一体感が込み上げてくる。
媚魔薬の後遺症によって飢餓感に苦しんでいたクエルの心と身体に、砂が水を吸収するが如く充実感が満たされていく。
「あぁ、クエル」
珍しく快楽に呻くケインは、とまどいも忘れ腰を強く突き上げた。
クエルの小さな身体が浮き上がり、ケインの腰にまた尻が落ちる。
「は、はひゃっ」
華奢な肉体を仰け反らせながらクエルは呻きをほとばしらせる。
薄紫色の髪を振り乱し、純粋に肉体に与えられる快感だけに没入した。
クエルとケインの二人は、ただひらすら性欲の頂点を目指す獣と化す。
「うぐうっ、クエル、クエルゥ!」
魂を盗られ肉体が死を経験した為か、ケインは本能に突き動かされるままに強く激しく動き続ける。
「つ、突いてっ! もっと、もっと激しく突いてっ!」
ケインの動きに合わせ、クエルも獣のような喜びの声を上げた。
◇
そんな二人の様子を、ミレーヌとフウは見せつけられていた。
ミレーヌは、顔を覆う指の隙間からしっかりと二人の行為を見ている。
「うわぁ、ケイン殿の大きなモノが、クエルの中に、あ、あんなに激しく……」
二人が男女の関係だとは知っていた。
このような行為だとも知識では知っていたが、実際に見る男女の交わりは迫力が違った。
「やれやれ、まるで獣同士の交尾だな」
ミレーヌの隣で、フウが呆れた顔をする。
「フウ殿、あ、あの……と、止めなくて良いのですか?」
「好きにやらせとけって、野暮な事はするなよ」
手をヒラヒラとさせると、フウは他人の交わりには興味は無いと言いたげに背を向ける。
フウの頭の中では、今回の事件をどう報告しようかと頭を悩ませていた。
ミレーヌは少し考えた後、視線を交わっている二人に戻す。
クエルとケインはミレーヌとフウの事など忘れ、お互いを求め合い二人だけの世界に入っていた。
「あぁん、いつもより……すごぉ……」
クエルの幼い身体が突き上げられるたびに、大きな胸が上下に跳ねる。
胸が揺れるたびに全身から汗が飛び散り、辺りをより濃厚な甘い香りが漂う。
「あんっ、んあっ、ひんっ、はぁんっ、んあっ!」
クエルは汗に濡れた身体を弓なりに仰け反ると、断続的な喘ぎ声を上げ身体を痙攣させる。
「くぁっ、クエル、そろそろ」
幼い身体が快楽に打ち震える淫らさに魅入られ、ケインは頂点を極めつつあった。
「ぁはっ、来て! わたしの中に、いっぱい、ちょ、ちょうだいっ! ケインッ!」
激しい快感に気が遠くなり、互いの指を絡ませて強く握り合う。
(もう、絶対に手放さない!)
快楽に酔いしれながら二人は、自然と唇を重ねていた。
「うぁぁ、イクよ、クエルッ!」
「ケインッ、わたしもっ、わたしもいくぅっ!」
幼い肉体を身悶えさせながら、妖美であどけないおねだりに高められたケインが腰を持ち上げて、これ以上なく密着させる。
「ぃっくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!!!!!!!!!!」
背を折れそうなほど仰け反らせながら、今までで味わった事のない絶頂の渦にクエルは呑み込まれていく。
「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………っ」
立て続けに絶頂を迎えた。
身体が勝手に果て続ける。
際限なく快感を生み出し、クエルを肉の快楽へと堕落させていく。
「…………あぁぁぁ……ぁぁぁ……」
全身の力が抜け、クエルはケインの胸に身体を預ける。
絶頂の余韻の中、ケインはクエルの身体を抱きしめた。
「はぁ、はぁ、す、凄く良かった、クエルもこれで満足して……クエル?」
顔を伏せているクエルに、ケインが心配そうに声をかける。
「…………り…………な…………」
か細い声を紡ぎながら、クエルの小さな声が聞こえた。
「え?」
「足りないっ!! 一回くらいでは満足できないの!!」
クエルは上半身を起こすと、裸の乳房を揺らして胸をそらした。
「えぇっ!?」
「っというわけで」
クエルが妖艶な笑みでケインを見据える。
「わたしが満足するまで相手をしてくださいね。 旦那さま」
二人の淫靡で淫らな時間は、まだ終わらない。
◇
同日。
ベネディクト王国の隣国。
一人の青年が腕を組み、遠くの空を険しい顔で眺めていた。
奇しくも青年の見ている方角は、ベネディクト王国の王都である。
袖の無い白い道着を黒帯で締め、黒のズボンに黒い靴、手首にはリストバンドを、足首にはアンクルリストを付けている。
どこにでもいる青年、ただ一点を除いて。
風が青年の黒い髪をなびかせる。
「な~にしてんのよ?」
空を眺めていた黒髪の青年の背後から、一人の少女が声をかけながら近づいた。
赤黒い道着を身に付け、頭部からピンッと立った二つの獣の耳、腰からはフワフワの尻尾が垂れて揺れている。
如何にも勝気な性格そうな狼少女が、黒髪の青年の横に並ぶ。
「……お前は、感じなかったのか?」
黒髪の青年は前を向いたまま呟く。
「感じる? 何を?」
狼少女が黒髪の青年に聞き返す。
「嵐だ」
「嵐?」
そう言われ、狼少女は空を見上げる。
だが、空は嵐どころか雨の降る気配も感じられない。
「良い天気じゃないのよ」
「大きな嵐だったんだがな、どうやら嵐は過ぎ去ったようだ」
そう言った黒髪の青年に、狼少女は怪訝な顔をする。
「でたでた、あんたってたま~に訳わかんない事を言うのよね~」
彼の不思議な言動に慣れているのか、狼少女は軽口を叩く。
「それより、そろそろみんなの所へ戻りましょ、私もうお腹ぺっこぺこよ」
「あぁ、そうだな」
黒髪の青年は、険しい顔を和らげ優しい笑みを返した。
その笑みを受けた狼少女は踵を返すと、二人並んでその場を後にする。
狼少女は知らなかった。
彼が見ていた方角で、何が起こったのか。
そして、自分の隣に並んで歩く黒髪の青年が、この世界にとってイレギュラーな存在である事を。
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