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第六十四話 肉悦 ♡

微エロ


 クエルの指先に生まれた緑色の炎が、火弾となって放たれた。


 本来、人に向けて放つべきではない魔法。


 一切の手加減を忘れたその一撃には、凄まじいまでの威力がある。


 弾丸の様に飛ぶ火弾が、ジヴァートに着弾する。


 バオッ! ゴアッ!


 ジヴァートを中心として、目映まばゆい炎の柱が垂直にそそり立つ。


 広いステージの空気が一気に加熱する。


 触れるだけで火傷をしそうなほどの熱気が渦を巻いて四方に広がった。


 緑色の炎が消えると、火の粉を散らしながらジヴァートが派手に吹っ飛んでいく。


 容赦もない炎に全身をあぶられたジヴァートは、ステージの上に転がり倒れ伏すと動かなくなった。


「…………終わった…………」


 クエルはふぅーと大きく息を吐き出すと、静かに呼吸を整える。


 辺りには焼け焦げた臭い匂いが漂う。


(ケイン……やったよ……ケイン……)


 これでケインを元に戻せる。


 クエルの表情に、どこか穏やかないろす。


 …………だが。


「うぐっ!?」


 クエルの全身を稲妻に打たれたような衝撃が走り抜け、ビクンビクンッと痙攣させる。


 感情の高ぶりと、大量の魔力を消費した事により性欲抑制剤の効果が切れたのだ。


 媚魔薬の後遺症で、クエルの身体は常に発情状態にある。


 クエルが普段、何事もなく生活できているのは性欲抑制剤を飲み、魔薬を吸って誤魔化しているからだ。


 連戦続きで、むしろ良くここまで持った方である。


「あ、あぁ……うあぁっ!」


 身体中の血液が沸騰したかのように熱くなり、全身から汗が噴き出す。


 ステージの上に焼け焦げた匂いと、クエルから発せられる幼い少女特有の甘い匂いが混ざり合う。


「あああああっ!」


 クエルは両腕で胸を抱くと、立っていられなくなりペタンと床に座り込んでしまった。


 クスリの切れた状態のクエルは、ただひたすらに性をむさぼる一匹の雌になってしまう。


(く、クスリを、性欲抑制剤を飲まないと……)


 震える手でポケットに手を入れるが、そこに性欲抑制剤は無かった。


(なっ!? 何で、何でクスリが無いの?)


 そこでクエルは思い出す。


 試合の前に、性欲抑制剤を飲んでいた事を。


(し、しまった。 予備のクスリは控室に……)


「あひぃっ! くぅぁっ!?」


 電流のような快感が胸で炸裂し、クエルは頭を仰け反らせる。


 無意識のうちに、クエルは零れ落ちるほど大きな胸を揉んでいた。


「はうぅんっ!」


 たまらずよがり声を漏らし、薄紫色の髪を振り乱す。


 瞬く間にクエルの意識はピンク色のもやに支配される。


 性欲抑制剤が無い今、肉悦にくえつを抑える手段は、クエルにはなかった。


 クエルの小さな手に収まらないほどの大きな胸を、むにむにと乳肉の形が変わるほど乱暴に揉む。


「ぅん……あぁ……あぁぁぁぁぁぁっ!」


 いまクエルを支配しているのは肉の快楽だけだった。


 クエル自身が意識しないまま、そうするのが自然の反応のように、両脚をМ字の形に大きく割り開く。


「あぁぁん……ふ、ぅぅ……」


 胸と秘部ひぶを押さえ、だらしなく開いた口からは、涎と喘ぎが途切れなく漏れた。


 クエルの愛らしい顔が赤く紅潮こうちょうし、青い瞳がうるむ。


 無意識に腰を前に突き出しクイクイと振り上げると、愉悦ゆえつが全身を走り抜ける。


「うっ! うぁっ……うんっ……!」


 胸をグニグニと揉みながら、秘部を搔き鳴らす。


 ひたすらに自分自身の欲望に追われ、性感を頂点へと追い詰めていく。


 クエルの快感が高まり、大きくそして激しくなった。


「あぁん、き、きもち……ぃ……くぅっ」


 腰が大きく跳ね上がり、クエルは身に着けた大量のアクセサリーがジャラジャラと音を立てるほど身体を震わせた。



「うふぅ……あはぁ……い、ぃぃ……」


 ステージの上でひとり淫らに乱れまくるクエル。


 カツンッ!


 欲望に身を任せ、快楽をむさぼり続けるクエルの耳に何かが落ちた音が聞こえた。


「はぁ……あぁ…………ぅん?」


 クエルは身体をくねらせながら音のした方に視線を向ける。


 ステージの床の上に球体が転がっていた。


 結界に囚われていた魂の結晶。


 ジヴァートを倒したことによって結界が解けたのだ。


「あ……あぁ、ケイン……」


 ケインの魂の結晶である純白の珠を見たクエルの目に理性の光が戻る。


(わたしは何をしているの、早くケインを元に戻さないと)


「う……ぐぅ……」


 立ち上がろうとするが足にまったく力が入らない。


 仕方なくクエルはうつ伏せになると、大きな胸がむにゅっと床に押し潰される。


「あぁぁん……」


 大きな胸が床と擦れる度に、胸先に快感が走り甘い吐息がこぼれ出る。


 それでもクエルは、亀が歩くようにノロノロと床を這いずり球体の元へと進む。


「ふ……ぅぅ……あぁ……ん……はん……んぁ……」


 絶頂を繰り返し、その度に立ち止まり身体をビクビクと震わせる。


 息も絶え絶えになりながら、クエルは純白の珠の元へたどり着く。


「はぁ……はぁ……ケイン……」


 純白の珠を掴もうと、震える小さな手を伸ばす。


 クエルの小さな手が珠に触れようとした。


 その時。


 掴もうとしていた純白の珠を、何者かがスッと拾い上げた。


「えっ?」


 純白の珠を追って、クエルは顔を上げる。


 そこには、純白の珠を手にしたジヴァートが立っていた。


「そ、そんな……ば、馬鹿な……わたしの火弾ファイアーバレットをくらって無事なはずは……」


 無論、無傷という訳ではない。


 多少なりともジヴァートの身体には焼け焦げた跡があった。


「確かに驚異的な力でしたよ。 このわたくしも流石にヒヤリとしましたからね。 身を守るためにかなりの魔力を使ってしまいました」


 クエルの放った魔法である火弾ファイアーバレットは、魔法のコーティングが施された対魔法防具である鎧すら燃やす威力がある。


 その炎から身を守るために、ジヴァートは対魔法障壁を展開し全身を守ったのだ。


「おかげで結界が解けてしまいましたよ。 各所に張っていた結界も解けてしまい、じきにここにも人が押し寄せてくるでしょう。 今の状態で騎士団や、ガーランド家の使用人たちを相手にするのはリスクがありますからね」


 ジヴァートが腕を振ると、光の足場が現れる。


 光の足場は点々と階段の様に、ステージから観客席、そして闘技場の最上階を越えて外まで続いていた。


「天使様を手に入れるという当初の目的は達成いたしました。 たわむれは、ここらで潮時といたしましょう」


 ジヴァートは光の足場に飛び乗ると、床に這いつくばっているクエルを見下ろす。


「それではクエルさん、世界が光に包まれるその日まで御機嫌良ごきげんよう」


 慇懃無礼いんぎんぶれいなポーズでお辞儀をしたジヴァートは、クエルに背を向けると光の足場に飛び移って行く。


 ここでジヴァートをのがせば、ケインの魂は女神教の理想の天使と言う『何か』に入れられてしまう。


 そうなればケインを元に戻す事は出来なくなる。


 逃がす訳にはいかない。


「ま、待てっ! あぅっ!?」


 クエルは飛び去ろうとするジヴァートの後を追おうとするが、腰が抜けて立ち上がる事が出来なかった。


 今ほど、この淫らな身体が恨めしく思った事はない。


 目の前で最愛の人を連れ去られるというのに、見ている事しか出来ない。


「返してっ! ケインの魂を返してっ!!」


 悲鳴に近いほど大きな声を出し必死に手を伸ばすが、その行為が無意味であることはクエルが痛いほど分かっていた。


 純白の珠を持ったジヴァートが、どんどんと遠ざかっていく。


「だ、誰か、誰かそいつを止めて、止めてよ。 いやぁ、ケイーン!」


 クエルの悲痛な叫び声が会場に響き渡る。


 半狂乱になって泣き叫び、助けを求めるクエルに応える者は…………いた。


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