05
アリスが玉っころ無しでは魔法を行使出来ないという事で急遽玉っころを装身具として仕立てて貰う事に決まった。
爺さんは、玉っころを身に着ける事にかなり、か〜な〜り難色を示していたが結局、アリスの為と折れた。
翌日、爺さんの知り合いの鍛冶、彫金師を訪ねに行く事に・・・
店構えはかなりこじんまりしているが大丈夫だろうか?
「大丈夫だ!腕は確かなヤツさ!」
念話で漏れていたのだろう。爺さんは俺の心配に、そう答えた。
「おい!ドルソン!いるか?」
「あぁ~。なんだおめえさんかぁ」
「お前に頼みたい事があってな。コイツを装身具に仕立ててくれ」
爺さんはそう言って俺を差し出す。
「コイツぁーおめえ!…まぁ何も言わねぇけどよ。」
「わかるか?」
「あたりメェだ!これでもドワーフの端くれ!まさか技巧神様の・・おっと」
それから一通り仕立ての方針を決めお代となると・・・
「お代はいらねー。いいもんが拝めた。これ以上は罰が当たる。3日後に玉っころ持ってきな」とタダで仕立てて貰うことになった。
タダという話に爺さんはホクホク顔だった。
装身具が出来るまでの間、森で修練を兼ねた狩りに興じていた。
「そっちに行ったよ!ダウカス!」
『りょーかい!』
アリスが獲物を魔法で追い立てる。
獲物の進行方向でウサギが待ち構え・・・
魔力弾を撃ち込み仕留めた。
「お祖父ちゃん獲物仕留めたよ!」
「うむ!連携が様になって来たな!ダウカスよ。並列思考に問題ないか?」
『あぁ問題ない。』
それは一時前の事
「ウサギが装身具になるのは、なんだか寂しいな」
とのアリスの一言から始まった。
宝飾品とウサギボディなら、そりゃあな。
愛着もあるし。
悩むオレたちに爺さんが言い放つ
「ダウカスは神器なのだ、人の身ではないし、接続の権能だ。技巧神のご加護もあるのだろう。ウサギと発動媒体。権能の並列発動出来るのではないか?」
いやでもさ。ウサギボディを操れても視覚以外共有が出来ないんだが・・・
「それなんだが・・・ウサギにも技巧神の加護が宿っていそうだ。」
と、言う事で試しみたら大成功。
装身具の玉っころが本体で自由に動けるウサギボディのダウカスに。
それからみっちり修練に費やした。
3日後装身具を受け取りに
「来たぞ!ドルソン!」
「おう!良いのが出来たぞ!知り合いの魔道具師にも声かけてなぁ。まあこっち来てくれ。」
ドルソンに呼ばれオレたちは奥へ行くと。
ニヤニヤしたドルソンが待ち構えていた。
「おう!玉っころ!こっち来いや!」
アリスがオレをドルソンに渡すと野草や野花、兎の装飾があしらわれた腕輪型装身具に取り付け始める。
「話してみろ!玉っころ!」
!?何なんだ?
「「あっあ~!!!」」
今まで念話でしか会話出来なかったのが・・・声?を発せる様に。しかもウサギまで。
ちょっぴり嬉しくなったオレにドルソンがドヤ顔で見ている。
そんなオレにアリスも
「良かったね!ダウカス!」と。
一通り感動したオレに爺さんが
「コレなら半年後の学院でも役立つだろう。」
学院?
「爺さん学院って?」
「おぉーお前には言ってなかったな。半年後アリスは学院に入学するからな!」
誇らしげな爺さんと裏腹にアリスの顔は渋い。
そんなアリスに大丈夫だと爺さんは自信有りげに慰めていた。