プロローグ
ある時夢を見た。
それは君と復縁をした夢だった。
内容は薄くおぼろげな記憶だが、辞めたはずの学校の教室に君と私のふたりがいて、なにかの話をしていた。
そこは、もう忘れてしまったが楽しい話だった気がする。
ふと私は君の顔を見て「やっぱり好きだな」と言った。
君は笑いを止めて私をじっとみた……。
…………。
「ごめんね!気にしないで!」と笑って数十秒の間とともに私は言い出した。
恥ずかしくなった私は黙り込む彼の顔をさけ、下を向いて黙っていると
「僕もやっぱり好きだなって思ったんだけどなぁ…気にしないでいいんだ」
…そっかぁ~と残念そうな素振りを見せてお得意の意地悪な笑みを浮かべた。
それは…私の記憶にもある1番好きな表情だった。
君にそう言われると私はやっぱり弱くて…
「嘘です…まだ好きです…」と言ったら「僕も」と返ってきた。
復縁して、久しぶりに一緒に帰って、ギューもした。
夢だとしても君の感覚は…温もりはあの時と同じでこれが夢か現実はその時わかっていなくて楽しかった。
夢の記憶は他にもあるのに何故か思い出せなくて
ガリガリガリ……。
その音で目が覚めた。
猫だった…壁で爪とぎをする音。
一瞬にして、あぁ…やっぱり夢か…君のこと忘れたいし嫌いに慣れたはずなのに…
反省を見せない自由気ままな猫は、ニャーと可愛げな表情を見せている。
そんな猫を見つめ撫でながら、
まだ好きなんだな…と思った。