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甘々短編集

コイントスの表と裏

作者: 衣谷強
掲載日:2022/08/24

突如短編熱が再発しました。

甘々の呪いも併発してます。

ご理解の上、お楽しみいただけましたら幸いです。

「ねー、ジュース奢ってよー」

「いいぜ。このコイントスで表か裏か当てたらな」

「よーし! 表!」


「お、ここのランチ美味そうだな」

「え、でも高いよ?」

「じゃあコイントスするか? 負けた方が勝った方の代金全額持ちで」

「う……。全額はキツいから、は、半額持ちで……」

「オッケー。じゃあ勝負だ。どっちだ?」

「うー! 表!」


「あー、遊園地行きたいなー」

「じゃあ行くか?」

「うん!」

「でも普通に行くんじゃ面白くないな。コイントスで負けた方がその日一日奢りってのはどうだ?」

「……それは流石に……。パスポート代だけで……」

「わかった。よし、いくぞ」

「裏! 裏裏裏ぁ!」


「うぃー……。もういっけん……」

「もう帰った方がいいだろ……」

「やらー! まだのむのー!」

「いくら明日休みだからって飲み過ぎだって……」

「なんらー? べーとはかえりたいのかー?」

「いや、そうじゃなくて……」

「じゃーさ! こいんとす!」

「え?」

「わらしがかったらー、もーいっけーん! べーとがかったらー、さきにー、かえっていーよ!」

「……ったく、しょーがねーな。ほいっと。どっちだ?」

「おもてー!」




「……ねぇ米人べいと……」

麗愛れいあ、どうした?」


 幼馴染の真剣な様子に、米人は顔を引き締める。


「……あんたさ、イカサマしてるでしょ……!」

「何の話だ?」

「決まってるでしょ! 何かとやってるコイントスよ!」

「それの何がイカサマだって言うんだよ」

「しらばっくれんじゃないわよ!」


 顔を真っ赤にした麗愛が、机をばんと叩く。


「これまでの勝負何回したと思ってんの!?」

「んー、大小取り混ぜて、百は超えてるんじゃないか?」

「それなのにあたしが全勝って! おかしいなって思って百回全部あたしが勝つ確率を調べたら、千穣分の七とか訳わかんない数が出たんだけど!」

「たとえ百回コインの表が出ても、次に表が出る確率は二分の一だぜ?」

「そういう話をしてるんじゃない!」

「それにお前が毎回表に賭けてるなら別だけど、お前裏とかにも賭けてるじゃん」

「そういう事でもなくて!」


 麗愛はもどかしそうに机を叩く。

 米人はその肩に手をかけた。


「べ、米人……?」

「じゃあ賭けをしようか」

「……賭け……?」

「俺が何でお前とコイントスをするのか。当てられたらお前の勝ち。今の質問に正直に答える」

「……当てられなかったら?」

「俺のお願い、一つ聞いてもらおうかなー」

「……」


 悪戯っぽく言う米人。

 しかしその瞳の奥の真剣さに気付いた麗愛は、


「……やるわ」


 真剣な表情で見返した。

 そして自分の脳細胞をフル回転させる。


(……あたしの事嫌いだったら、そもそも賭けとか言わないよね……? でも面と向かって言わないって事は、そんなでもないって事で、この賭けもあたしが『あんたがあたしを好きだから』とか言ったら、『ブブー! 不正解! 自意識過剰ー!』とか言われるだろうから、ここは……!)


 結論を出した麗愛は、キッと米人を見上げた。


「あたしと一緒にいたいから! どう!?」

「理由は?」

「え?」

「それは誰でもわかる事だろ。一緒にいたくない奴と賭けなんかしないからな。なぜ一緒にいたいと思うのか、そこまで答えてもらわないと」

「う……」


 思ってもいなかった切り返しに、麗愛は言葉に詰まる。


(え、一緒にいたい理由!? ……そんなのやっぱり……。い、いや、それはいくらなんでも……。からかいたいから? 友達だから? ……うー!)


 混乱しながらも、麗愛は答えを出した。


「……あたしがからかいやすい幼馴染だから!」

「ぶっぶー。不正解。賭けは俺の勝ちだな」

「ちょっと待ちなさいよ! こんなのあんたの気持ち次第じゃない! あたしが正解を答えたって、『それは違う』って言うんでしょ!?」

「そんな真似はしない。答えは決まってたし、正解だったら素直に負けを認めたさ」

「じゃあ答えは何なのよ!」


 勢い込む麗愛が、次の米人の言葉で凍り付く。


「お前の事が、結婚して一生側にいたい位好きだから、だ」

「……へ……?」

「お前の事が好きで好きでたまらないからだ、でも正解にしてた」

「……ぅぇ……?」

「好きすぎてお前に何かプレゼントしたいけど、素直に受け取ってくれそうにないから、賭けで負ける事でお前に貢いでた、でも良かったし」

「ちょ、待って待って待って!」


 我に返った麗愛の顔は真っ赤になっていた。

 それを見つめる米人の顔も。


「……お前、相変わらずここ一番の勝負で腰引けるよなぁ。だから勝てると思ってたけど」

「……じゃあ、あたしにお願いって……」

「……わかるだろ?」

「……」

「……」


 まるで一枚のコインのように。

 二人の顔の影は一つになった。

読了ありがとうございます。


米人べいとは中学の時に「コイントスってかっけー!」となり、何度も練習するうちに、思い通りの面が出せるようになりました。

後に伏せた後の手の下で、向きを変える技術も習得しました。

その技術を全て麗愛れいあに注ぎ込む漢気よ……!


ちなみに二人の名前は、『賭けをする』のlay a betから。

苗字はめんど……、二人一緒になるから別にいいですよね?

結婚後はイエスノー枕百回連続表達成とか目指せばいいと思います。


この作品、最初は『恋するギャンブラー』だったのですが、同名の曲がある事を知り、『コイントスの表と裏』に変更しました。

「ルパパトにそんなタイトルあったかなー」って調べて良かった……。


お楽しみいただけましたら幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 訓練で表裏をコントロールできるとかすげーっすね。 サイコロとかも行けそう笑 将来はギャンブラーかな!?
[良い点] お幸せに……! ( *´艸`)
[良い点] ちょっぴりひねくれた、でも甘いスパダリだー!! 糖分と潤いをありがとうございます~。
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