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3 移動

 

 さて、自他ともに聖女になる決心をしたがどうするか。

 まずはこの世界にかつてあったという魔法について知る必要がある。

 しかし、どうやって調べるか、王家も当てにはならない。


 謁見後、私はハリーに付いて王宮の中をゆっくりと歩いていく。ハリーは私に色々話しかけてくるが、私の頭の中は、先程聞いた魔法の事でいっぱいだ。

 ある程度、廊下を進んだと所で前を歩いていたハリーが重厚な扉の前で立ち止まり、こちらに声をかけてきた。


「マリー、ここが今日のあなたの部屋です」


「ここって?私はここに滞在してもいいんでしょうか?」

 突然、今日のあなたの部屋だ、と言われて動揺する。王宮に滞在してもいいという事なのだろうか。私は疑問に思った事を口にすると、ハリーはスラスラと説明をしてくれた。


「ええ、もちろん。今日はこの貴賓室を使ってもらいます。

 マリーの為に、離宮を整えているのですが、まだ用意ができてなくって……

 まぁ、いま急いで準備しているので、明日には移動できると思います」


「き、貴賓室!?そんな高そうな部屋、私が泊まってもいいんですか?しかも、明日から離宮に部屋を用意してもらえるなんて。――…そんな…恐れ多い」


 貴賓室と聞いて、そんな高待遇を受けてもいいのかと焦ってしまう。しかも、明日から離宮だなんて…。私は王宮に滞在しても大丈夫なのだろうか、と不安になってくる。

 すると、ハリーは当たり前だという表情で言葉を続ける。


「何を言ってるのですか。マリーは我が国の大切な聖女様です。これくらい当たり前の事ですよ。それに、今日はマリーの為に侍女も2名用意しました。あとで紹介するので、なんでも申し付けてください。

 あと、明日からの離宮の部屋も私が責任をもって準備していますので、楽しみにしていてくださいね」


 ハリーは矢継ぎ早に言葉を紡ぎながら、どこか熱い視線を私に送ってくる。多分、私の勘違いだと思う。うん。私は視線には触れず、ハリーにお礼を伝える。


「ありがとうございます」


「私とマリーの仲なんですから気にしないで。陛下も仰っていましたが、私になんでもいってください」


(――…いやいや、私とハリーは今日初めて会った仲です)


「それに、明日からは一緒に学園に通うので、忙しくなると思います。今日はゆっくり休んでくださいね」


「学園!?」

 学園なんて初耳だ。驚いて声が出てしまった。


「あれ?さっき話しましたよ?」


(あっ!もしかして謁見の場からここに来るまでの間に言ってたのかも。魔法の事を考えてて聞いてなかった)


「明日から、王立学園に私と一緒に通うんです。わ・た・し・と。楽しみですね、マリー」


 ハリーのキラキラと輝く碧眼で見つめられると、どこかに逃げ出したい気持ちになってくる。

 しかも、明日から学園へ行くと考えると不安で仕方ないけれど、この世界で生きていくには従うしかない。

 それにもしかしたら学園に行けば何か魔法や聖女について、知ることが出来るかもしれない!


 私はそっとため息を押し殺し、たぶん引きつった笑顔でハリーに伝える。


「はい…よろしくお願いします」

 私の言葉にハリーは満足そうに頷いた。

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