表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/95

道端の男

同じ歩調で歩いていた2人だが、帰りの道で街の様子を眺めているうちに次第に気が重くなり、速度が徐々に遅くなっていた。

白砂の通りにはぽつぽつと店がある。そして道の端には、頬のこけた青白い顔色の者達が座り込んでいたり、死んだように横になっている。

通りすがりに2人を異様な目で凝視する者や、茫然と宙を眺めている者、2人に手を差し伸べてくる者もいる。彼らに共通するのは、痩せ細り飢えていて、いつ生を終えてもおかしくない者達ばかりで、飢餓状態にあるのは明らかだった。

「彼らに渡す食べ物を用意したいが、こんなに大勢居るとなると一部にしか行き届かないだろうな」

レミアはフードを被ったまま周囲を見渡しながら言う。人数が多く通りの先の方にまで座り込んでいる者がいる。

「食料を取り扱う看板を掲げていても商品を置いていない店が多い。もしかしたら都市全体が食糧不足に陥っているんじゃないか?」

「そう、か。宿の食事も質素なものだったし、そうかもしれない。食料が不足して一番に影響を被るのは、下層の民だからな。何とかしてやりたいけど――」

その時、レミアはふと、外套の裾を引っ張られているのに気付いた。

振り返って見ると、そこには先程まで道端で座り込んでいた男がレミアの裾を掴み、縋るような目でレミアを見上げていた。

見た所、全身汚れ切ってはいるが、そう年老いてはいないだろう男は口を開き、絞り出すように言葉を紡いだ。

「あ……何か、食べ物をくれませんか。わ、私に出来ることは何でもやりますから――。お嬢さん」

「え!!」

レミアは驚いて後ろに仰け反った。

隣で聞いていたトファはレミア以上に驚いて、大きな声を出して男の傍に近寄った。

「は!? お前、何者だ?!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ