一緒に!!
「パイシート、って何ですか?」
ニーナが首を傾げる。
乙女ゲームという世界観以外は、限りなく日本に近いこの世界。
この世界に冷凍市販のパイシートという概念は存在していないのだろうか。
お前普段からお菓子は作るのか、じゃなくて……ケホン!俺は小さく咳払いをする。
「ニーナ、あなたは普段からお菓子を良く作られるのですか?」
「はい!日頃からよく作っています」
日頃からよく作るなら、パイシートは常備しておいた方がいいぞ。
日本では、市販で冷凍用のそれが売られている。ありがたい、非常に。
でもこの世界には、市販のそれはないのだろう、なので、予めニーナに作っておいてもらおう。
「パイシートといのは、小麦粉とバターを使ったパイ生地の作り置き、みたいなものですわね」
「作り置き、ですか」
これさえあれば、生地を作る手間を省けて、労力の大幅削減になる。
ニーナにだけ、パイ生地作りという労力を欠いてもらうのは申し訳ない気がするが、
俺もお前の家に出向くという労力を欠いている。対価、交換だ。
それからニーナは普段からお菓子作りをするとのことなので、
パイシートを今日幾分か作り置きしていることで、後々生地作りという労力を欠かないで済むのだから、良い傾向なんじゃないか?
こいつのことなので、「作り置きですか!その発想はありませんでした。さすが、レベカ様ですね!」と嬉しそうに言うのではないかと思っていた。
しかし、
「作り置き、だなんて!絶対にだめです。私は……」
ニーナの瞳が俺の瞳と合う。ああ。なんだか嫌な予感がする。
「私は……レべカ様と一緒に!お菓子作りをしたいんです!!」
「それは許諾したはずですが。時間削減のためにも、作り置きのパイ生地を用意してほしいと、私は言っているんです。」
「いえ!そうではなく!」
ニーナの顔がグイッと俺の顔に近づく。
そして彼女は一段と大きな声で、こう言い放つ。
「一緒に、いちから作り上げていきたいのです!レベカと!」
「………」
「作り置きしておくことは、確かに便利かもしれません。それでも私は、レベカと一緒に生地から作りたいのです。作り置きと、できたてでは、おいしさも変わってくると私は思います」
そうか?
「誰かと一緒に一からつくったものを、誰かと一緒に頂く。この上ない幸せだと、私は思います!そして、それがレべカ様であるなら尚のこと!です」
ひとついいか?今更ながら、という感じなのであるが
どうして俺はこんなにこいつに好意を寄せられているのだろう?
ただ怪我しているところを助けただけなのであるが。
でも、ニーナのその一言は、俺にとっては痛く突き刺さる言葉だった。
一緒につくりあげたものを一緒に喜ぶことの幸せを提唱できるのは素直に羨ましい。
「レべカ様!いえ、レベカ!!」
ニーナの顔がまたもう一段階、俺の顔に近づく。
俺の視界に映るのは、ニーナのその大きな瞳だけ、というくらいに。
近すぎだろ。
………はあ。
「わかりました、それで、いいです」
これ以上近づかれると困るのと、そしてまた彼女の瞳の力に俺はほだされてしまった。
こうして俺は明日、ニーナの家で一から、一緒に手作りお菓子を作る羽目になってしまったのであった。
どーも!赤霧です!!!読んでくれている皆さん、ありがとう!!!!!
さて!一度こちらの、けだるげ令嬢レべカくんの連載をお休みしようかなと考えています。
楽しんで書いていたつもりだったのですが、話数が積み重なるにつれて、
自分でこのお話のどこが面白いのかわからなくなってきてしまったことが要因です。
最終的な結末、オチは一応決まってます。
なので、かなりローペースになるかと思いますが、完結は必ずさせます。
ひとりでも、拙者はこの連載の続きが早く読みたいでござる!!
と言ってくださる方がいるならば、このままのペースでこちらの連載を継続します。
もし、そんな方がいらしたらコメント欄で教えて下さい。
日に日に増えていくブクマや誤字訂正、そしてお2人の方が付けて下さった評価!!
読んでくれている人がいるんだなと思って、大変励みになりました!!メルシィ!!




