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判決


 私たちは締罰隊に捕らえられた後、城まで連行された。

 そして玉座の前に無理やり座らされた。


 王様は玉座に座った後、締罰隊や城の兵士達に部屋から出るように命じた。

 兵士達は驚き、王を1人にすることはできないと主張したが王様は耳をかさずに追い払った。


 兵士達が部屋を出た後、王様は大きなため息をつきガルムに話しかけた。


「ガルムよ、今回の騒動は庇いきれぬぞ」


「悪りぃな、じいさん」


 ガルムは頭をかきながら言う。


 じいさん???

 王様にそんなこと言ってもいいの?


 王様はまた一つ大きなため息をつく。


「なぜギルドを潰した?

 ギルドマスターを殴るだけで抑えられなかったのか?」


 殴るだけで抑える??


「いや、今回はギルドを潰すことに意味があったんだ」


 ガルムが真剣な表情で言う。

 王様は「訳を話せ」と言って椅子にもたれた。

 ガルムが話し始める。


・・・・・・

 

 ガルムとジェシカの考えはやはり正しかった。


 ギルドマスターは自らがドラゴンの角や鱗を採取してきたように見せてランク2になりギルドを立ち上げ、その上シャルルを騙して殺そうとしたという内容だった。


 ガルムは話し終えた後、私に「あってるか?」と確認してきた。私は頷く。


 王様はガルムの話を聞いた後、またため息をついた。


「お主の言い分は分かった。

 じゃがその話が事実だとしてもお主らの罪は無くならぬぞ」


「なんでですか!? あいつが悪いのに!」


 ジェシカが怒ったように言う。

 王様はジェシカを見ていった。

 

「証拠がないんじゃよ」


「証拠? 私たちの証言があるじゃないですか?」


「お主らの証言は無意味じゃ。でたらめとして扱われてしまうじゃろ」


「そんなのおかしい!!」


 王様は頷く。


「そうじゃ、おかしい。

 だがな、お嬢さん。世の中には全ての良いことが正しいに結びつくわけではないのじゃ。

 悪いことが正しいに結びつくことだってある。

 それを変えたいのならばお主が正しい存在になるしかないのじゃよ」


 ジェシカはそれを聞いて悔しそうに拳を握りしめる。


「さて、ガルムよ。

 お主がギルドを潰した理由はよく分かった。

 そしてお主がこれからするであろう要求もなんとなく予想がつく。それを叶えることはできるじゃろう。

 そこでじゃガルム、お主はわしに何をしてくれるのじゃ?」


 ガルムは「さすがじいさん」と言った後、右手を胸に添えて言った。


「不肖ガルム。

 アブドヘルム王国にこの身を捧げたく思います」


 ガルムは頭を下げる。

 王様は驚きのあまり口をあんぐりと開けている。


 数秒後、王様は突然笑い始めた。


「ワッハッハッハ!」


 私とジェシカは顔を見合わせて首を傾げる。

 何がそんなにおかしいのだろう?

 

 ガルムは相変わらず頭を下げたままだった。


「お主がそのようなことを言うとはな。

 それは契約を結ぶということでいいんじゃな?」


 ガルムは頷く。


「よかろう!

 お主の望みはなんでも聞こう。

 これで王位継承の際に大きな置き土産ができたわ」


 そう言って王様はまた笑い始めた。

 私はガルムに聞いた。


「契約って何?」


 ガルムが顔を上げて答える。


「契約っていうのは一生国に仕えると宣言することだよ」


「一生ってことはもうガルムと一緒に冒険できないってこと?」


 ジェシカが言う。


「まあそうだな。だが会ったりはできるぞ」


 ガルムは笑顔で言う。

 

 私のせいでガルムの自由がなくなったってこと?


 ガルムは私とジェシカの不安を察したのか、私たちの頭を撫でながら「気にするな」と言った。


 笑い終えた王様がガルムに聞く。


「してガルムよ。お主の願いはなんじゃ?」


 ガルムは王様を見て言った。


「この2人を無罪にしてくれ」


 王様の顔が一瞬で曇る。


「無罪か。

 減刑なら簡単なのじゃが。

 それを成すにはガルム、お主がより罪を受けねばならぬぞ」


 ガルムは「分かってる」と頷く。

 私とジェシカは「ガルムだけに罪を負わせられない」とガルムに抗議したが、ガルムはそれを無視する。


 王様もガルムの覚悟を察したのか、私たちの意見を聞かずに判決を出した。


「分かった。

 ガルムよ、お主を2年間このアブドヘルムの牢屋に捕らえる。その後、国と契約し国のために尽くすのじゃ。

 ジェシカとシャルルと言ったかな。お主らは3年間お互いに会ってはならぬ。ガルムとの面会が可能になるのも今から3年後じゃ。

 

 これで良いかな?」


 王様がガルムに聞く。

 私とジェシカは抗議しようとしたが王様に睨まれた瞬間、体が固まってしまった。


「ああ、充分だぜ。ありがとな、じいさん」


「では明日の明朝、2人はこの国を出るように。

 今日はわしの部屋を使って良い。3人ともついてくるのじゃ」


 そう言うと王様は立ち上がった。

 私たちは黙って王様についていった。



・・・・・・



「そういえばガルムよ。

 お主の女性の好みは年上ではなかったかな?」


「そうだよ。

 こいつらは俺の1番弟子だ」


「そうか、そうか。

 あの悪ガキが弟子か。時が進むのは早いの」


 王様は嬉しそうに笑った。


・・・・・・


 王様は私たちを静かにもてなしてくれた。

 

 私たちはお腹いっぱいになるまで料理を食べた後、ガルムが話し始めた。


「ジェシカ、シャルル、お前達に課題を与える。

 2年以内に冒険者ランク3になること。お前達の実力ならすぐなれるだろうけどな。

 ランク3の冒険者は国のリストに載るからお前たちの活躍を牢屋の中で見させてもらうよ」


 ガルムは笑顔で言った。


「ごめんなさい、ガルム」


 私が謝るとガルムは笑った。


「気にしなくていいって言っただろ。

 それよりも俺より強くなって会いにきてくれ。

 それが俺は1番嬉しい」


 ジェシカは急に立ち上がり言った。


「任せて!

 私もシャルルも3年後にはガルムなんか相手にならないぐらい強くなってるから」


「楽しみにしとくよ」


 ガルムが微笑む。

 私たちはそれから夜通し話した。

 今までの冒険のこと、そしてこれからのこと。


 私は知らない間に眠っていた。


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