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 どれだけの時間が過ぎたのだろう? 

 

 私は空腹で身動き一つできなかった。

 ジェシカには酷いことをしてしまった。今思えばジェシカは真実に辿り着いていたのかもしれない。

 なのに私は一切耳を傾けなかった。

 大切な仲間なのに。これはきっと報いなんだ。


 どんどんと意識が途切れていく。

 その時、


 ドオォン!!!


 上から激しい音が響いてきた。地面が揺れる。

 

 びっくりした。何があったんだろう?

 まあ今の私には関係のないことだ。

 そう思っていたが、激しい音と揺れは収まらなかった。


・・・・・・


 30分ぐらい経っただろうか。

 激しい音がやっと鳴り止んだ。


 更に5分後、壁になっていた入り口が吹き飛んだ。

 

「こんなところに牢屋があったとはなぁ」


 懐かしい声が聞こえる。

 

「ほら急いで入って!」


 砂煙が少しずつ晴れていく。


「シャルル、お待たせ!」


 目の前にはジェシカがいた。後ろにはガルムもいる。


「なんで・・・?」


 ジェシカはガルムに急いで開けてと命令しながら答えてくれた。


「私たち、ギルドをずっと見張ってたのよ。シャルルがちゃんとギルドに馴染めてるか不安だったから。

 でも一向にシャルルが出てこないんだもの、おかしいと思って乗り込んできたわけ」


 ガルムは鍵を触りながら


「シャルル、少し左に移動できるか?」


 と言った。

 私は残った力を振り絞り移動すると、ガルムが鍵に向かって魔法を放った。

 風魔法だろうか、鍵は綺麗に切れている。

 

「さあ、行きましょ!」


 ジェシカが手を差し伸べてくれた。

 私はその手を掴んだ。


・・・・・・


「なにこれ?」


 ギルドは壊滅状態だった。


 私はジェシカの手を掴んだはいいが立ち上がる体力がなかったのでガルムにおんぶしてもらっていた。

 その後、私たちは階段を上りエントランスに来たのだが、そこにはかつての華やかなエントランスは無かった。


 大勢の冒険者が倒れている。呻き声をあげるもの、気絶しているもの、腰が抜けているものと全員が戦闘不能の状態だった。


「ガルムはやり過ぎなのよ」


 ジェシカが倒れている冒険者たちを見ながら言う。


「お前だってギルドマスターを殺しそうになってたじゃねぇか」


 ガルムがジェシカに向かって言う。


「あいつは別よ! まだ殴り足りないぐらいだわ」


 ジェシカが拳を握る。

 ガルムは「怖い、怖い」と言ってジェシカから一歩離れた。


「あはは!」


 私は笑った。ジェシカとガルムも顔を見合わせて笑った。

 

「前にもこんなことあったね」


 ジェシカが笑いながら言う。

 

「俺たちが最初に出会った時だな」


 ガルムも笑いながら答える。


「ジェシカ、ガルム」


「どうしたの?」


 ジェシカが私を見る。

 ちゃんと言わなくちゃ。


「ごめんなさい!

 私、2人の考えを聞こうともしないで拒絶して、突き放した。

 なのに助けにまで来てくれて」


 ジェシカとガルムはまた顔を見合わせる。

 その後、ジェシカが私の手を握った。


「いいんだよ。

 私たちは私たちがしたいことをしただけなんだから。

 これでシャルルが救われたのなら私たちは嬉しい」


 私は溢れ出そうな涙を堪えて答えた。


「ありがとう」


「あと私も初めて喧嘩ができて嬉しかった。

 シャルルの本音も聞けた気がするしね」


 ガルムが笑う。


「嘘つけ。お前シャルルに叩かれたって泣きついてきたじゃねぇか」

 

「なっ、それは言わない約束でしょ!」


 私はまた笑った。


 今まで私はなにを望んでいたんだろう。

 これ以上の宝物はないというのに。


 ガルムがギルドの扉を開ける。


 この2人を一生大切にしよう。

 私はそう決意した。




「ガルム、今回はやり過ぎじゃ」


 扉を開けた先にはアブドヘルムの王様がいた。

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