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真実


 次の日、私はギルドへと向かった。

 受付の人にギルドマスターに会いたいと話すと昨日の扉に案内してくれた。

 螺旋階段を登る。

 この階段、こんなに長かったっけ?

 

 階段を登りきりギルドマスターの部屋の扉を開ける。

 ギルドマスターは前回と同じように椅子に座り待っていた。


「来てくれたんだね。嬉しいよ。

 この書類に名前を書くだけでいいから」


 そう言ってギルドマスターは机の上の書類を私に渡す。

 私は書類にサインをした。


「よかった! ガルムと、ジェシカさんだったかな?

 2人も呼んで祝おうじゃないか!」


 ギルドマスターは側に仕えていた人に指示を出す。

 

「そんなことしてもらわなくても・・・」


「いいんだ、いいんだ。急いで2人を招待しろ。

 君はここで待っていてくれるかい?」


 そう言うとギルドマスターは部屋から出て行った。



 本当にこの選択は間違っていなかったのだろうか?

 ギルドマスターからパパとママの話を聞いた時、心が軽くなった気がした。でも今は違うモヤモヤが心を覆っているような気がする。

 

・・・・・・


 扉が開く。

 ギルドマスターが部屋に入ってくる。その後ろからガルムとジェシカがギルドマスターの後について部屋に入ってきた。

 

 ギルドマスターは私の横に座り、ガルムとジェシカは向かいの椅子に座った。


 ガルムが口を開く。


「シャルル、ジェシカから話は聞いた。


 俺もこのギルドには入らない方がいいと思う」


 その言葉を聞いた瞬間、目の前が真っ暗になった。

 ガルムまでそんなことを言うの?


 ギルドマスターは戸惑っていた。


「ちゃんとした理由があるんだ。

 ジェシカ、説明してやってくれ」


「いい。聞きたくない」


 私は俯いたまま言う。

 ジェシカが私の両手を握る。


「シャルルお願い。私の話を聞いて」


 私はジェシカの手を振り払った。


「私の邪魔をしないで!」


 ・・・


 数秒の静寂の後、ガルムが「分かった、ジェシカ行くぞ」と言って立ち上がった。

 私は何も言わなかった。

 ギルドマスターは状況を把握できずオロオロしている。


 扉を開けて部屋を出る時、ガルムが私に向かって言った。


「じゃあなシャルル。達者でな。

 また遊びにくるわ」


 ジェシカは私に向かって


「シャルル、元気でね。

 また会う時はギルドでの話聞かせてね」

 

 と言った後、ギルドマスターに向かって頭を下げた。


「シャルルをお願いします」


 そう言って部屋を出て行った。



 ギルドマスターは呆気にとられていた。

 私は黙って俯いたままだった。


 ただただ時間だけが過ぎていく。


 静寂を破ったのはギルドマスターだった。


「あー、シャルルさん。ガルムの泊まっている宿屋は分かりますか?」


 私は首を振る。


「そうですか。まあ、ゆっくりしていてください。

 手続きなどがあるので3日ほどこの部屋で過ごしていてくださいね。欲しいものはそこにいる使用人のスージーになんでも頼んでください。

 私は少し用事があるので」


 そう言うとギルドマスターも部屋を出て行った。


・・・・・・


 それから3日間、私はギルドマスターの部屋で過ごした。部屋を出ようとするとスージーさんに止められるのだ。

 どうして部屋を出ては行けないのかとスージーさんに聞くと「ギルドマスターから言われてますので」と返された。

 

 私は前向きに考えることにした。

 この3日間、スージーさんに料理を教えてもらうことにしたのだ。スージーさんは料理が上手で私の知らない調理方法をたくさん教えてくれた。

 

 あっという間に時間が進み、明日にはこの部屋を出ることになった。

 

 しかし、これからパパとママの仲間だった人と一緒に冒険ができるかもしれないのに心のモヤモヤはとれなかった。

 

・・・・・・


 4日目の朝になった。

 ギルドマスターが部屋に入ってくる。


「手続きは終わりましたか?」


「手続き? ああ、終わったよ。シャルルさん一緒に来てくれるかい?」


「はい」


 私はギルドマスターについて部屋を出る。

 螺旋階段を下っていく。いつもの扉を通り過ぎた。

 どうやら地下に行くようだ。


「どこに行くんですか?」


「すぐ分かるよ」


 そう言ってギルドマスターは階段を下りていく。

 どうやら底についたようだ。階段がもうない。

 しかしそこには何もなかった。


 ここに何の用があるんだろう?


 ギルドマスターは急に壁に手を当てた。

 その状態のまま、10秒ほどが経過した。

 すると突然、壁が動き始めた。

 真ん中にできた小さな穴はどんどん広がっていく。

 最終的には人が余裕で通れるぐらいの入り口ができた。


「おや、魔道具を見るのは初めてかな?」


 私の驚いた表情を見てギルドマスターが言う。


「この先にはもっと凄いものがあるぞ」


 そう言ってギルドマスターは奥へと進んでいった。

 私もギルドマスターについて進んだ。


 そこはまるで牢屋のようだった。

 なぜギルドにこんな場所があるのか不思議に思ったが、そんな考えは一瞬で吹き飛んでしまった。


 1番奥の部屋には2メートルはあるであろう大きな角があったのだ。その角は純白で汚れひとつなかった。

 間違いない、ドラゴンの角だ。


「触ってみるかい?」


 ギルドマスターが鍵を開ける。

 私は中に入り角を触った。

 とても硬い。感覚でわかる、私はこの角に傷ひとつ負わせることはできないだろう。

 触り心地はすべすべしていて、並大抵の技術じゃこの角は斬れない。

 これを私のパパとママは斬ったんだ。



 ガチャン


 

 なんの音? 

 私が振り向いて目を疑った。

 ギルドマスターが鍵をかけていたのだ。


「何をしてるんですか?」


 声が震える。


「何って? 鍵をかけたんだよ。見たらわかるだろ?

 君はもう用済みなんだよ」


「どうして?」


「はぁ、察しが悪いなぁ。

 まあお陰で騙すのも簡単だったけど。

 

 俺はガルムが欲しかったんだ。だがあいつは俺のギルドに入る気はなかった。だから君を利用したんだよ。

 君が入ればガルムも入ると思ったんだがな。見当違いだったよ。

 女の冒険者をギルドに入れたと知られたら、うちのギルドの評判が下がる。あそこは女を雇うぐらい人手が足りてないってな。だから君にはここで過ごしてもらう。

 有効な使い道は考えてあるからいつかは出してやるよ。


 ちっ、お前は親と違って全然使えなかったぜ」


「親と違って? いったいどういうこと!?」


「しまった。口が滑っちまった。

 まあいいか。冥土の土産に教えてやるよ。


 お前の親はな、俺に騙されたんだよ!


 お前の親は村から20人と村の外から30人の冒険者を集めてドラゴン討伐に挑んだ。俺をリーダーとした30人の冒険者はドラゴンの目の前で逃げたんだ。

 村の奴らは魔道具を持っていたからな、初めからあいつらがドラゴンにやられた後に回収する計画だったのさ。


 だがあいつらは想像以上に凄かった。俺たちが協力していればドラゴンも倒せたかもしれねぇ。

 特にお前の親だ。ドラゴンの角を斬り、鱗を剥がしながら指示を出す。俺は一生敵わないと思ったね。

 だが死ねば意味ない。お前の親のおかげで俺は今の地位にありつけた。

 本当に感謝してるよ。

 お礼にお前を今殺さないでおいてやる。

 どうせ餓死するんだしな」

 

 そう言ってギルドマスターは笑いながら去って行った。

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