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コーラルの街


「うぅっ」


 シャルルはみんなと別れた後、急に静かに泣き出した。こいつ、実は寂しがり屋なんだよな。シロの時もずっと寂しそうだった。

 俺は思っていたより悲しくなかった。自分でも驚いている。寂しさはあるが、次会う時が楽しみでワクワクしている。

 リュードの奴、絶対強くなってるよな。俺も頑張らないと。

 シロがいなくなった時は、シャルルのカラ元気に助けてもらった。ここは俺が話題を作るか!


「コーラルの街にはどんなものがあるんだ?」


 シャルルは泣きながらも話してくれた。


「コーラルは海と面しているの。だから海産物が豊富ね。

 そうだ、ちゃんとエビフライ食べさせてもらうからね」


 エビフライのことを思い出したからか、涙は止まっていた。


「ああ、任せとけ! エビフライは弟も喜んだ料理だったからな」


「私をヒロトの弟と一緒にするな!


 でも、楽しみにしてる!!」


 シャルルは笑顔で言った。俺はシャルルのこの笑顔に弱いとつくづく思う。

 その後は、コーラルに行ったら何をするか、などのたわいもない話をした。

 

 道中、森の中で盗賊は出なかったが魔物が出た。魔物といっても小さなリスだった。

 可愛いなと思っていると、リスの大群が急に馬車に迫ってきた。シャルルが光の壁を作ると、リスは侵入出来なくなったのを理解したのか去って行った。


「ヒロト、今油断したでしょ」


 俺は目を逸らす。

 スライムしかり、この世界の魔物への偏見は改めようと思った。


・・・・・・


 コーラルは活気のある街だった。報酬を貰い、俺たちは宿屋へと向かう。


「すいません、今日はダブルの部屋一つしか空いていないんですよ」


 宿屋の店員が言う。


「じゃあ、それで」


 シャルルが答えた。

 マジか! これって俺は外でテントで寝るパターンだよな。

 俺は肩を下ろしながらシャルルについていき、部屋へ向かう。

 店員は俺ががっかりしながら階段を登るのを不思議そうに見ていた。

 

 部屋はダブルなので、当然広かった。

 台所も大きく、シャルルは感動していた。

 

「これならエビフライも大量に作れそうね!」


 どれだけ作らせる気なんだ⁉︎ 俺はシャルルが大食い大会で優勝したことを思い出し、絶望した。俺、台所から離れられないかも。


 その後、俺たちはコーラルにある港に向かった。港には5隻の大きな船があった。見た目は海賊船のような感じだ。木でできている。

 かっこいい! 俺も海賊ものの映画を見て、こんな船に乗ってみたいなと思っていた時期があったなぁ。

 港は人でも溢れていた。半分は冒険者のようだ。


「この街は冒険者が多いんだな」


 俺が呟くと、


「船に乗って漁をすると多額の報酬が貰えるのよ。それを目当てで集まる冒険者が多いの」


 シャルルが教えてくれた。

 漁に冒険者が必要ってことは、海にも魔物がいるのか?


「とりあえず受付を済ますわよ!」


 俺たちは港に隣接する大きな建物に入った。

 そこはギルドだった。漁をしにくる冒険者が多い街だ。港の近くにギルドがあった方が確かに効率的だ。

 

 俺たちは受付に向かった。


「今日はどういったご用件でしょうか?」


「漁に参加しにきました」


「予約はなさっていますか?」


「いえ、予約はしてません」


「それでしたら今日は1番と4番の船に1名ずつ空きがあるので、そちらで宜しいでしょうか?」


「はい、お願いします!」


 えっ、シャルルと別々ってこと?

 漁なんて俺できるのかな?


「それでは冒険者ランクの提示をお願いします」


 シャルルは巾着からバッジを出した。

 受付の人は俺を見る。

 あっ、俺もか。俺も急いでバッジを出す。


「はい、冒険者ランク3と5ですね。確認しました。

 それでは1時30分から漁が始まります。30分前には船に乗っておいてください」


 そう言って受付の人は俺たちにチケットのようなものを渡した。


「ありがとうございます」


 シャルルはそう言ってチケットを受け取った。

 そして振り向いて1枚のチケットを俺に渡すと、


「お昼にしましょ!」


 と言ってギルドを出た。

 俺もついていく。


 俺は、たまにはこういうゆっくりしたのも悪くないなと思った。


・・・・・・


「なぁ、シャルル。漁に参加するのに最低ランクってあるのか?」


 俺たちはお店で昼ご飯を食べていた。さすが港のある街だ、海産物が新鮮で美味しい。シャルルがここじゃないとダメだと言う気持ちが少し分かった気がした。

 俺は先程の漁の手続きの時に気になったことを聞いた。


「あるわよ。最低ランクは5ね」


 俺ギリギリじゃねぇか。


「ヒロトには元々漁に参加してもらうつもりはなかったの。

 この街に着くまでの間、お荷物にならない程度になってくれればなって思ってたんだけど、いろいろあったから、ね」


 そうだったのか。

 確かにいろいろあったな。


「船は別々になっちゃったけど、頑張っていっぱい捕ってきなさいよ!」


 俺は「任せとけ!」と返事をしたが、ほどほどにしておこうと思った。こいつの胃袋の可能性は無限大だからな。

 

 時計を見ると12時45分を回っていた。

 

「シャルル、時間!」


 シャルルも時計を見て急いで料理を食べた。大量にあった料理が一瞬で消えた。


「ヒロト、行くわよ!」


 やっぱりこいつの胃袋は危険だ。


・・・・・・


 俺はシャルルと分かれて船に乗った。船には既に多くの冒険者が乗っていた。


 1時になった。漁の責任者だろうか、紙を持った人が急に叫んだ。


「今回初めて漁に参加する人は集まってください!」


 あ、俺だ! 俺は叫んだ人の元へ向かった。しかし俺が着く前に、


「よし、これで全員ですね。それでは今から説明します」


 あれ? 俺は??

 訳もわからずオロオロしていると、男の人が話しかけてきた。


「なんだ兄ちゃん、そんなにオロオロして」


 はっ! チャンス!! この人に漁のことを教えてもらおう。あそこはもう説明を始めてるし、割り込んでいくなんて無理だ。

 そう思っていたが、


「兄ちゃん、お前ランク3なのか⁉︎」


 えっ! 

 

 どうやら男の人は俺が手に持ってるチケットを見て言ったようだ。

 本当だ、ランク3って書いてある。

 俺は急いでチケットをしまった。


「すまねぇな、気軽に話しかけて」

 

 そう言うと男の人は去って行った。

 待ってくれ、誰か俺に漁を教えてくれ!!


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