崇高美
「おっ、死んだか」
男は笑みを浮かべる。
男の目の前には手足を縛られた女性がいた。
「これで1年もクリアと。
いやー、この能力の可能性は無限大だなぁ」
そう言いながら、男は壁に書かれたクロエという文字に横線を引く。
「この世界に来て1年。そろそろ動き出すとしますか」
男は女性に近づく。
「お願いします。なんでもしますから、殺さないでください」
女性は震えながら男に命乞いをする。
「今の君はとても気高く美しいよ! 惚れちゃいそうだ」
男はそう言って女性の肩に手を置く。
「でも死ぬ瞬間の君が1番美しい」
女性は恐怖で顔が引きつる。
「死ね」
女性の震えが止まった。
・・・・・・
クロエの葬儀はその日に行われ、多くの村人が参列した。
もちろん俺たちも参列し、クロエを弔った。
「君はとても気高くて美しかったよ」
王子はそういうと、クロエの棺に水色のガーベラを入れた。
・・・・・・
次の日、俺とシャルルはコーラルに向かう馬車に乗った。
オリビアさんは王子の侍女として仕えることになった。ガルムさんは喜んでいた。
リュードは、
「俺、王子とガルムさんに着いていきます。
そこでガルムさんに修行をつけてもらうことにしました。
アニキに着いて行ったらきっと楽しいですけど、一生アニキを超えることはできなくなってしまうと思ったので。
アニキ、今までありがとうございました!
またどこかで会いましょう!」
と言ってきた。俺はリュードと握手をしてガルムさんにお願いをした。
「リュードをよろしくお願いします!」
「次会うときは、こいつお前より強くなってるぜ」
「望むところです!」
そう言って俺はガルムさんとも握手をした。
「ノザキヒロト、いろいろありがとう。
またアブドヘルムに寄った時は、いつでも城を訪ねてきてくれ!」
そう言って王子は手を差し伸べてきた。
さらっと城って言ったよ。やっぱり王子なんだな。
俺は王子の手を握った。
サナは
「私もリュードに着いていきます。
次は守られる人じゃなくて守る人になりたいので、リュードと一緒にガルムさんに修行をつけてもらうことにしました。
あと、やっぱりリュードが心配なので」
初めて会った時とは比べ物にならないぐらい、サナは堂々としていた。相変わらず声は小さいけど。
心配になってシャルルの方を見たが、あまり怒っている様子はなかった。
「分かったわ、次に会う時を楽しみにしてる」
そう言ってシャルルはサナを抱きしめた。
その後、リュードも抱きしめた。
リュードの顔は真っ赤になった。サナが隣でやられた、という顔をしていた。
俺もリュードとサナを抱きしめた。
リュードは俺がサナを抱きしめている時、悔しそうな顔をしていた。
そして俺たちはみんなと別れ、コーラルに向かった。




