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転移者

 

 俺は武器屋を探した。盗賊や冒険者と戦う時に使う木刀が欲しかったのだ。この世界に来ても人を殺すことには抵抗があった。

 俺は村をウロウロしていると、この村でも声をかけられた。


「ノザキヒロトじゃないか!」


 なんで俺のフルネームを知っているんだ?

 振り返ると、闘技場で会った王子の付き添いのガルムさんがいた。


「ガルムさん⁉︎」


 俺は驚いた。まさかこんなところで会うとは思ってなかったのだ。


「久しぶりだなぁ。なんだ、強くなってるじゃないか。

 どうしてこの村にいるんだ?」


 ガルムさんは俺の肩を叩きながら言う。


「コーラルという街に用事があって。

 ガルムさんはどうしてここに?」


「いやー、それが色々あってさ。

 王子のわがままってやつかな。でも今回は良いわがままだぜ。俺も納得して残ってる」


 わがままに良い悪いってあるのか? ガルムさんは苦労しているんだな。


 そんなことを思っていると、広場の方から声が聞こえた。何やら言い争いをしているようだ。

 俺とガルムさんは広場へ向かった。

 広場には王子とシャルルがいた。


「あなた、こんなところでも待ち伏せしていたのね!

 いい加減ヒロトは諦めなさい!!」


「待ち伏せなどしておらぬわ!

 またお主は訳の分からないことを。ノザキヒロトのことはもう諦めている!!」


「絶対嘘よ!!」


 俺とガルムさんはため息をついた。


・・・・・・


 俺は王子に食事に誘われて、一緒にお店に入った。


「先程はお見苦しいところをお見せした」


「いえいえ、シャルルが悪いんですよ。王子は別の用事があったんですよね?」


「ああ、ちょっとな」


 その後、王子は俺が今までどんなことをしていたのかを聞いてきた。俺はシロのことや盗賊のことなどを話した。

 王子はとても感心した様子で、俺の話を聞いてくれた。


「やはりノザキヒロトは自分の力で生きているのだな」


 王子その言葉覚えていたんですか? 恥ずかしい!

 王子はガルムに時間を聞くと、急に席を立った。


「すまぬ、ノザキヒロト。少し用事があるのだ、こちらから食事に誘っておいてすまないが、席を外させてもらう」


 そう言うと王子はもの凄いスピードでお店を出ていった。

 王子の後ろに立っていたガルムさんが、王子の座っていた席についた。


「ノザキヒロト、ありがとな」


「お礼を言われることは何もしてませんよ」


「王子は君の言葉に感動したようなんだ。

 まあ、あの王子のことだ。自分で生きるっていう概念がなかったんだろう」


 それ以上言わないでくれ! 恥ずかしすぎる!!


「王子をこっそりつけてみるか?」


「そんなことしてもいいんですか?」


「大丈夫! 俺はすでに5回以上してる」


 威張って言うことじゃないと思うけど。


「ノザキヒロトは俺に連れてこられたってことでいいだろ?」


 そう言ってガルムさんは王子が全く手をつけていなかった料理を食べて席を立った。

 ガルムさんは少し嬉しそうな顔をしていた。なぜか俺は、ガルムさんは王子の行動を俺に見て欲しいのかなと思った。

 特にやらなければならないこともない。

 俺はガルムさんについて行った。


 ガルムさんはある家に入った。別に特別なことはない、普通の民家だった。


「いらっしゃい、ガルムさん。昼ご飯食べますか?」


 綺麗な女性が話しかけてきた。見た目は若かったが、大人の雰囲気を漂わせた女性だった。

 エプロンをしている。昼食を作っていたのか?


「あら、その人はお知り合いの方?」


「はじめまして、ヒロトと言います」


「はじめまして、オリビアです」


 この人はいい人だ。俺の直感がそういっている。

 王子が奥の部屋からやってくる。


「ガルム! 余をつけてくるなと言っているだろう」


「いやー、すんません!」


 王子は俺に気づいたようだった。


「ノザキヒロト、お主まで来たのか?」


「すいません」


 王子は不満そうだったが、あまり気にしていないようだった。


「ガルムが着いてこいと言ったのだろう」


 さすが王子、分かってらっしゃる。


「グラン? どうしたの?」


 奥の部屋から小さな女の子が出てきた。年は7歳ぐらいだろうか。オリビアさんに似ている。

 女の子は顔色が悪かった。青ざめている。

 

「クロエ、寝てないとダメじゃないか」


 王子はクロエを抱き上げて奥の部屋に入って行った。 

 オリビアさんは「座ってください」と俺達に言い、お茶を出してくれた。

 席につくと、ガルムさんが説明してくれた。


「俺と王子がこのガーベラ村に来る道中、あの女の子、クロエが倒れていたんだ。ガーベラ畑と森の間ぐらいだったな。

 王子は珍しくその女の子を助けたんだが、実はクロエ、余命10日だったんだ。

 それを聞いた王子は毎日ずっとクロエと話をしにきてるって訳だ」


「なんで、余命10日なんですか?」


 俺が聞くと、ガルムさんは顔を曇らせた。


「呪いらしい。そんなものあるのか分からないが、実際クロエの体は日に日に弱っていっている。

 1年前、闘技場がある街で変な格好をした男が急に話しかけてきたんだとよ。名前を聞かれて、答えたら両肩に手を置かれて、「俺の名前はテンザキユウヤ。クロエ、君は1年後に安らかに死ぬ」とだけ言って去って行ったらしい」


 なんだって! テンザキユウヤ?

 そいつは絶対、俺と一緒で異世界転移をしてきた奴だ。

 ということは、異世界転移の時に特殊能力を得たのか? その特殊能力でクロエに呪いをかけたのか?


 分からない。ただ1つ言えることは、テンザキユウヤは許されないことをしたってことだけだ。





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