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アニキ


 本当に何を言ってるんだ?

 リュードは急にその場から立ち去った。

 どこ行くんだ?

 俺はサラという女の子と2人きりになってしまった。


「あの子はいつもあんな感じなのか?」


 俺が質問するとサラは頷いた。


「あの子がどこに行ったか分かる?」


 サラは首を横に振る。

 気まずい沈黙の時間が続く。

 5分ぐらい経っただろうか、リュードが木刀を二本携え戻ってきた。


「これで決闘をしよう!」


 リュードは木刀を一本、俺に渡すと構え始めた。


「まて、まて、まて! ここで暴れたら危ないだろ。場所を変えよう」


「そうだな。じゃあ村を出てすぐのところでしよう!」


 そう言うとリュードは歩き出した。

 これは避けられなさそうだ。俺も仕方なくついて行った。


 リュードが「決闘! 決闘!」と言いながら歩くせいで、人が集まってしまった。俺とリュードを囲むように人垣ができる。

 開始の合図はサラがすることになった。

 ちゃんと言えるのか?

 俺とリュードは構えた。


「始め」


 声ちっさ!

 リュードが飛びかかってくる。

 俺はリュードの剣をギリギリ受け止めた。リュードが連撃を浴びせてくる。俺は全てかわした。

 観客は盛り上がる。


「さすがロックベアーを倒すだけある。

 ならばこれならどうだ!!」


 リュードのスピードが更に上がる。

 俺はかわす。


「むっ! ならばこれだ!!」


 リュードの剣が急に大振りになった。決めにきてるのか?

 甘い!

 俺は攻撃に転じた。リュードがニヤッと笑う。

 俺の攻撃をリュードは回転しながらかわし、そのまま首に向かって斬りかかってきた。


 やばい!


 俺はリュードの剣を魔力を込めた左手で受け止めた。


 バキッ!


 リュードの剣が折れる。


 やってしまった!


 観客から歓声が上がる。


・・・・・・


 どうしてこうなった?

 

 俺は今、シャルルとリュードとサラと一緒に飲食店に来ている。

 

「サラちゃん大丈夫?」


「アニキは何がいいですか?」


 もう訳が分からない。


・・・・・・


 遡ること10分前。


 負けた。完敗だ。

 攻撃するように誘われて、完璧なカウンターを決められた。真剣ならやられていただろう。

 

「流石だ! そしてなんて優しいんだ!!」

 

 リュードが目を輝かせて言う。

 優しい? どういうこと?


「両者とも傷つかないようにする為に武器破壊を選んだんですね。

 初めはかわし続けて攻撃は当たらないぞ、とアピール。俺の攻撃手段をカウンターに切り替えさせて、狙いを絞らせる。そして武器破壊。完璧だ!」


 観客も「そうだったのか」と感心している。

 なんて都合の良い解釈。


「師匠と呼ばせてください!」


 なんだって⁉︎

 俺はこの子に負けたと思ってるんだぞ。


「駄目だよ。俺は師匠なんて器じゃない」


「じゃあアニキで!」


 なんでそうなるんだ。


「何してるの?」


 いつの間にかシャルルが来ていた。なぜか怒っている。


「あなた達だったのね」


 シャルルもいったい何を言い出すんだ?


「あなた達のせいで、私の食いっぷりを見る人が減っちゃったじゃない! みんな決闘をやってるって言ってどこか行っちゃったのよ!!」


「アニキ誰ですかこいつ?」


「俺と一緒に冒険してるシャルルだよ」


「こんな奴と組んでるんすか」


「何よ! こんな奴って!

 あとアニキってどういうこと?」


「いろいろあったんだよ」


 俺は力なく言う。

 シャルルが気になったのか、リュードの後ろからサラが顔を出す。サラを見たシャルルの顔が変わった。


「かわいいーーーー!!!」


 シャルルはサラに抱きつきに行く。サラは逃げようとしたが、すぐにシャルルに捕まり抱き上げられる。

 そういえばシロにも抱きついてたな。

 食べ物だけじゃなく、可愛いものにも目がないのか。


「おい、サラに何するんだ!」


 リュードは怒ったが


「ヒロトは私の弟子よ!」


 その一言で態度が変わった。


「すいません! アネキ!」


「よろしい! じゃあ今からみんなで昼ご飯を食べに行きましょう!」


 お前、大食い大会の予選をしてきたんじゃないのか?


・・・・・・


 そして今である。

 シャルルはサラにべったりだし、リュードはアニキ、アニキ言ってくる。誰かこの場をまとめてくれ。

 そう思っていると外から声が聞こえた。


「大食い選手権、予選を通過された方はお集まりください!明日の本戦の説明をします」


「私だ!」


 シャルルが立ち上がった。


「アネキ、予選通過したんですか?」


「当たり前じゃない! あんなの朝飯前よ」


「凄いですね! 応援してます!

 ほら、サラもアネキを応援しろ」


 サラはたどたどしく言った。


「お姉ちゃん、頑張って!」


 シャルルの鼻血が空を舞う。


「アネキ!!」


 リュードが駆け寄る。


「リュード、シャルルに肩を貸してやれ」


「分かりました」


 リュードはシャルルに肩を貸し、店を出た。

 するとサラが話し始めた。


「ごめんなさい。急に決闘なんか申し込んで」


「全然大丈夫だよ! 俺もいろいろ勉強になったし」


「リュードは今まで1度も負けたことがなかったの」


「へぇー、そうなんだ・・・ え、1度も⁉︎」


 凄いなあいつ。


「うん。だから誰かリュードを倒してくれる人を探していたの」


「そこで俺を見つけたってわけか」


「うん」


 なるほどね。だから決闘なのか。きっと決闘をするようにリュードをそそのかしたのもサラだろう。


「お兄ちゃんが優しい人で良かった!」


 うっ、いい子だ。


 サラと話しているとシャルルとリュードが帰ってきた。


「ヒロト! サラちゃんに何もしてないわよね?」


 するわけないだろ!


「サナ、アニキに粗相はしてないか?」


 サナが頷く。

 シャルルが「かわいいーー!」と言ってサナに抱きついた。



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