絶体絶命
シロを見つけてから6日目の朝が来た。
今日はいつもより魔物の数が多かった。シャルルの課題は今日も続いた。シャルルに攻撃が通る回数は次第に減っていく。シャルルも満足そうな顔をしている。
夕暮れ時、今までで1番多い魔物の数だった。俺とシロは必死にシャルルを守った。魔物がいなくなる頃には、俺もシロもボロボロだった。
「お疲れ様! 最後の最後でノーミス達成ね。
良くやったわ! シロ!!」
シャルルはシロに抱きつく。
分かってましたよ、こうなることは。
俺は魔物を巾着に入れようとした時
「ハルトもお疲れ様! 良くやったわ!」
とシャルルは笑顔を向けながら言ってきた。
あ、やばい。泣きそう。
俺は叫び出したくなる衝動を抑えて「まあな」とだけ伝え、魔物を巾着に入れていった。
今日もシロの親は来なかった。
・・・・・・
その夜、俺はテントに呼ばれた。
え、ご褒美とかあったっけ?
「もし明日中にシロの親が迎えに来なかったら、シロを連れていきましょう」
真剣な話だった。俺の馬鹿野郎。
「でもいいのか? 締罰隊に捕まるんだろ?」
「こうやってテントで過ごせばいいし、ヒロトはシロをそのままにして行かないでしょ。このままじゃ一生ここから動けないわよ」
俺は嬉しかった。
シロとはずっと一緒にいたいと思っていたのだ。
「ああ、そうしよう!」
俺が答えると
「よかった!」
シャルルが笑顔で返した。
「それだけだから」
俺は追い出された。
くそっ、一瞬可愛いと思ってしまった。
・・・・・・
今日は7日目、俺たちにとっては大事な日だ。
朝起きて俺とシャルルはシロに言った。もし今日迎えが来なければ俺たちと一緒に冒険をしようと。
シロは理解したのか俺たちに頬擦りしてきた。
今日は昨日とは打って変わって魔物の数が少なかった。
昼を過ぎた頃、シャルルが急に思い出したかのように言った。
「テントって、ちゃんと片付けたっけ?」
「俺は巾着に入れたぞ」
「私は・・・入ってない⁉︎」
「ほっといても大丈夫だろ」
「駄目よ! 盗賊が通ったら盗られちゃうわ」
盗賊っているんだな。
「回収してくる!」
「バカだな」
「シロが頬擦りしてくれて嬉しかったの! それで忘れちゃったのよ、しょうがないでしょ」
シャルルは走っていった。
まあ、あれは俺も嬉しかったけど。
ガサガサッ!
急に近くの茂みから音がする。
魔物か?
出てきたのはシロよりも一回り大きいオオカミだった。
オオカミは俺に向かって噛み付いてきた。シロより遅い。
俺はオオカミの攻撃をかわし、首目掛けて剣を振り下ろした。しかし剣は弾かれてしまった。
なんだ?
シロも向かっていくが体に触れる前に吹き飛ばされている。
そうか! このオオカミ、体に風を纏っているのか。今の俺たちじゃあこいつを倒せない。完全にパワー負けしている。
シャルルが帰ってくるには、まだ時間がかかるだろう。
だが逆に相手も俺たちに攻撃は当たらない。
その考え方は甘かった。奥の茂みから同じオオカミが三匹現れたのである。
これはやばい! 囲まれて狩られてしまう。俺とシロは目を合わせる。お互いに引くべきだと分かっていた。
俺たちはオオカミに背を向けて逃げようとした。
しかし背後にも5匹のオオカミがすでにいた。
俺たちは始めから囲まれていたのだ。
何かこの状況を打開する策があるはずだ。考えろ!
オオカミはすぐそこまで来ている。
しかし何も思いつかなかった。




