連携
風魔法は数匹の鳥に当たった。残った鳥は急降下して来る。俺は剣と魔法で反撃するがシロを庇う余裕はなかった。
しかし、そんな心配はシロには無用だった。
シロは戦いの天才だったのだ。
鳥たちの攻撃を見事にかわし、カウンターを決めていく。しかも、毎回一発で相手を仕留めている。
いつの間にか鳥は5匹ほどになっていた。もう鳥たちに戦う気はなく、一目散に逃げていった。
「シロ、お前って凄いんだな」
俺はホワイトウルフの凄さを実感した。
シロは先程座っていた位置に戻っている。
俺たちはその後もシロの親が来るのを待ち続けた。途中で何度か魔物に襲われたが、2人で追い返した。狩った魔物はシャルルがくれたあの摩訶不思議な巾着に入れていった。
日が暮れかけてもシロの親は来なかった。
「シロ、帰るか。夜の森は危ないらしい」
もしもシロがここに残ろうとすれば、俺も残ろうと思っていたがシロは無言で俺の後をついて来た。
・・・・・・
「シロの親は来なかったの?」
「ああ、来なかった」
俺はシャルルが用意してくれた晩飯を食べながら答えた。シャルルはシロの分も用意してくれていた。
結構うまい。
「そう、明日も行くの?」
「行くよ」
「懲りないのね。
まあいいわ! とりあえず今日獲った魔物をギルドに売って来なさい。シロは見といてあげるわ」
「でも、解体ができてないんだ」
「解体なんてしなくてもいいのよ。ただ、解体費用が引かれるだけで充分売れるわよ」
そうだったのか。
いざ魔法を使ってみると、魔法で解体なんてできるイメージがわかない。きっと解体してギルドに売る人はごく少数なのだろう。
「ありがとう、シロをよろしく頼む」
「早く行ってきなさい」
・・・・・・
俺がギルドから帰ってくると、シロとシャルルは眠っていた。シロもシャルルに心を許しているのか、2人は寄り添って寝ている。
明日も早い。俺はギルドでもらったお金を机の上に置いて、自分の部屋に戻った。
・・・・・・
今日も俺たちは森に来た。
朝、シャルルに殴られた頬が痛む。シロを呼ぶためにドアを開けたら殴られた。
ノックをしなかったのは悪かったけど殴らなくてもいいだろ。
昨日の場所に着き、シロの親を待った。
今日も魔物が何匹か襲ってきたが、難なく追い返した。
魔物追い払った後、「回復はこまめにすること」といってシャルルは俺に回復薬を大量に持たせてくれていた。シロの傷を治している時、俺はあることに気づいた。
シロの足が他の部分より暖かいのである。
シロの戦闘スタイルはスピードで相手を翻弄するものだった。その圧倒的なスピードは、どの魔物もシロを捕らえられなかった。
ホワイトウルフの脚力が凄いのだと思っていたが、それだけじゃないのか? 試してみる価値はある。
俺はシロの傷を治した後、自分の足に魔力を集中させた。そして思いっきり地面をけった。
どしん!
俺は凄い勢いで前に進み、木にぶつかった。
痛い! でも凄い! これなら戦闘の幅が広がるぞ!!
しかし、扱いは難しそうだ。
急に目の前の茂みが動いた。
「ヴァオアーーーー!!!」
この聞き覚えのある鳴き声って・・・
ロックベアーだ! またお前か!!
俺は速攻でロックベアーに斬りかかった。
ロックベアーは両手でガードする。
パキンっ!
剣が折れた。
嘘だろ⁉︎
俺は後ろに下がって体制を立て直す。ここではファイヤーボールは使えない。この距離じゃ、地面に放っても自分も無事じゃ済まないだろう。こいつには今の俺の風魔法は効かないだろうし、剣もなくなった。万策尽きた。
俺の弱気を察したのかロックベアーが突っ込んできた。
やばい!
その時、シロがロックベアーの目を攻撃した。
ロックベアーは怯む。シロは怒涛の攻撃を浴びせる。
シロはまだ諦めてはいない。まだ何か策はあるはずだ。
せめて剣があれば。
剣? そういえばシャルルが魔法で剣を作れるとか言ってなかったっけ? 思い出せ!
そうだ! 光魔法だ。確か魔力を変換させずに放出する魔法って言ってたな。やったことはないが、今はそれしかない。
俺は刀身に向けて魔力を放出した。目を瞑り、鋭い刃をイメージする。
数秒後、目を開けると、そこには光輝く刀があった。
できた! これならいける!!
「シロ!」
俺が呼ぶとシロは俺の足元まで下がった。
シロは威嚇をやめない。ロックベアーは迂闊には飛び込んでこなかった。
俺は足に魔力を集中させ、高く飛んだ。狙いは首だ。
しかし、高く飛びすぎたのかロックベアーが二足で立ち俺を見た。
狙いがずれた。このままでは首を切れない。
シロはロックベアーの注意が俺に向いたのを見逃さなかった。シロの牙がロックベアーの首に食い込む。
ロックベアーはシロを引き剥がし先程の態勢に戻った。
これならいける! 俺は剣を振り下ろした。
ズパッ!
ロックベアーの頭は胴体から離れた。
やった、倒せた!
俺はすぐさまシロに駆け寄る。
「よかった、傷は深くない」
俺はシロに回復薬をかけた。
シロのおかげで助かった。シロがいなければ、俺は早々に諦めてやられていただろう。
「ありがとな、シロ」
シロの頭をなでるとシロは俺の頬に頬擦りしてきた。




