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猫と幼なじみ  作者: 鏡野ゆう
帝国海軍の猫大佐 裏話

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52/55

一般公開に行くよ! in 帝国海軍の猫大佐 15

帝国海軍の猫大佐の裏話的エピソードです



+++++



「あとはコロッケだけだねー。ねえ、かず君。お腹が大丈夫なら、揚げたてを一個食べちゃおうか? 試食も必要だよね?」

「いいねー!!」


 私の提案に、おちびさんがニカッと笑った。買ったものでふくらんだレジ袋をぶら下げながら、二人で商店街に向かう。そろそろ夕飯のしたくの時間。そのせいもあって、お買い物に出てきている人がたくさんいる。そんな中、行きかう人達の中に、見たことのある服装をした集団を見つけた。


「あ、海自の人だよ、かず君」

「ほんとだー!」

「知ってる人いるかなー?」

「パパのおふねの人いるー?」

「どうだろー」


 見た感じ、入隊してまだ一年か二年ぐらいの若い子達で、キャッキャウフフ状態で歩いている。本人達が気にするから言わないようにしてるけど、いかにも船乗りさんという感じのセーラーと帽子がすごくかわいい。その集団は、商店街にある地方銀行のATМがあるコーナーへと入っていった。


「んー? ああ、そっか。今日はお給料日だね」


 今日は待ちに待った給料日。そりゃあ、キャッキャウフフになるよね。みんなで飲みにでも行くのかな。無駄遣いしないようにねーと心の中で呼びかけた。


「ママー、コロッケあった!」


 その先にあるお肉屋さん。揚げたてのコロッケを、フライヤーから引き上げているところだった。お客さんが増えてくる時間帯のせいもあって、トレーには揚げたてのコロッケが山積みになっている。


「揚げたて食べるの、アツアツだよ、かず君。かなりアツいと思うけど、大丈夫?」

「たぶんー」


 たっぷりのラードで揚げたコロッケはおいしいよね。特に揚げたては。お店の前にはベンチもあるし、座って食べれば大丈夫かな?


「すみませーん、ポテトコロッケ四個と、メンチカツが四個、お肉のチーズ巻きが四個、それからー」


 アメリカンドッグもある!とついついそれも三個買ってしまった。


「買いすぎかな? ま、いいよね、あまったら次の日に食べればいいし。あ、それとは別に、ポテトコロッケ、二個。それはここで食べますー」

「はーい、ちょっと待ってね。……はい、これ、食べる分。熱いから気をつけてー」


 おじさんは紙袋に一つずつ入れて、食べる分を先に渡してくれた。お礼を言ってから、おちびさんをベンチに座らせる。バッグの中からハンドタオルを出して、コロッケの入った紙袋をさらに上から包んだ。


「かず君、熱いから、しっかりフーフーして食べてね」

「はーい! あちっ!」

「だからフーフーて言ったやん? しっかりフーフーだよ」

「ふーーーーっ」


 先に山積みになっていたところにあったものだから、それでもまだ冷めているほうなんだけど、それでもお子様には熱すぎたみたい。私もフーフーしろといった手前、用心深くフーフーしながらかじった。


「うまー」

「おいしいー」


 おじさんが私達の様子を見ながらニコニコしている。自慢じゃないけど私達、おいしいものを食べた時、すごく良い笑顔になるらしい。それって客寄せパンダにはもってこいだと思うんだよね。私達が食べている間も、高校生ぐらいの子達が一個ずつ買って、食べながら歩いていった。


「うまそー」

「くーいーたーいー」


 そしてATМコーナーから出てきた海自君達が、こっちを見て呟くのが聞こえた。揚げたてを見たら、つい買い食いしたくなるよね。でも今は制服を着てるから難しいかな? ちょっと恨めし気な視線を感じつつ、私達はコロッケをたいらげた。そして頼んでおいた商品を受け取り、お金を払う。


「パパには内緒ね?」

「ないしょだね!!」


 アイスクリームのこともあるから、ゆっくりはしていられない。もうちょっとお店をのぞきたい気持ちはあったけど、今日はまっすぐ帰ることにした。


「大丈夫だと思うけどさ、たこ焼き器、壊れてたらどうしようね?」

「だいじけん!」

「うん、すっごい大事件になる。駅前の電気屋さんに、買いに走らなきゃいけなくなるね」


 私がたこ焼きパーティーをすると言った時、(しゅう)ちゃんは何も言わなかった。ってことは、問題なく使えると判断しても良いよね? ちょっと心配だから、帰ったらすぐに試してみよう。


「あ、それとかず君。今日のプチトマト、ぜんぶヘタがついてたやん? ヘタとるのとレタスをむくの、かず君に任せて良い?」

「いいよー!!」

「じゃあ、お願いしますね」

「はーい!」


 あ、そうそう。なんで我が家でたこ焼きを作る時は「たこ焼きパーティー」って言うかというと、実は中に入れるタコが、タコじゃないものが多いから。


 もちろんタコもあるんだけど、かず君用にウィンナーやチーズを入れることが多いのだ。で、意外とこれが好評なものだから、最近はどんどんタコ率が下がってきている。そのうち、タコなしのたこ焼きパーティーになるかも。

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