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猫と幼なじみ  作者: 鏡野ゆう
帝国海軍の猫大佐 裏話

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44/55

一般公開に行くよ! in 帝国海軍の猫大佐 7

帝国海軍の猫大佐の裏話的エピソードです



+++++



「じゃあ(しゅう)ちゃん、お昼ご飯を食べてから、見学に行くね」


 次の日の朝、でかける修ちゃんを玄関まで見送る。


「わかった。和人(かずと)、ママのこと頼むな」

「なんで私が頼まれる立場なのー?」

「男同士の話なんだよ。なー?」


 修ちゃんが意味深な顔をして笑った。そしておちびさんも。


「なー!!」

「えー……昨日のお風呂でなにか話した?」


 昨日の夜、二人がお風呂でキャッキャウフフしていたことを思い出す。


「ひみつー!」

「男同士の秘密だ。なー、和人」

「なー!」


 男同士で示し合わせててちょっとムカつくんですけど!


「ママだけ仲間はずれとか傷つくんですけどー!」

「仲間はずれじゃないさ。ママのことを頼むぞって話なんだから。なあ?」

「ママのことたのまれたー!」

「そうかなあ……」

「そうなんだよ。じゃあ行ってくる」

「いってらっしゃーい」


 いまいち()に落ちないものを感じながら、修ちゃんを見送った。ドアが閉まると、私とおちびさんは居間に戻る。()に落ちないことがあっても、やることはそれなりにあるのだ。


「さてー。洗濯物ほしたら、先に遊覧船に乗りに行く? で、お昼は近くの洋食屋さんに行こうか? そこでお昼を食べてから、みむろの見学っていう順番が良いと思うけど」

「いいねー!」

「じゃあ、それで決定。洗濯終わるまでテレビ見てていいよ。あまり大きな音にしないでね。ここ、私達だけじゃないから」


 そう言いながら上と下を指でさす。おちびさんは理解しましたという顔をすると、居間のテレビの前に落ち着いた。


「ん?」


 座っている膝の上になにかあるなと思ってのぞいたら、なぜかパパのパジャマを抱っこしている。いつもはシイタケやマイタケを抱っこしているから、なにもないのは手持ちぶさたなのかも。


「それ、シイタケ達の変わり?」

「そう!」

「それも一緒に洗濯しようと思ったんだけどな。きれいなのと交換しない?」

「きれいなの、パパのにおいしないよ」


 きれいなパジャマのほうが良いと思ったのは私だけで、おちびさん的には今のパジャマが良いみたい。


「あー、そこがポイントなのかー……」

「パパのにおいー!」


 小さい子って、ハンカチや毛布が好きだよね。しかもそれがパパのにおいがしているものなら、なおさらなのかも。自分もクンクンするほうだから、その気持ちはわからなくもない。


「パパのにおいがいいのか」

「うん」

「じゃあ、それはそのまま、かず君にあずけておく」


 私がそう言うと安心したのか、満足げな顔をしてパジャマを抱きしめつつ、いつもの子供番組を見始めた。その姿を見て、写真を撮っておこうとスマホをとりにいく。そして夢中になってテレビを見ている横顔を撮る。


「?」

「バアバに写真を送っておくね。おはようさーんて」

「ぼくからもおはよーさんしておいてー」

「わかった」


 いやあ、我が子ながらなかなかいい感じで撮れましたよ。


『かず君からおはよーさんだって! しかしこの姿、昔の自分を見ているようで笑える』


 メッセージをそえて写真を送った。


『さすが親子、そっくり。今日は暑くなるらしいよ。水分補給しっかりとね』


 母親からはそんな返事が返ってきた。でも横顔を見ている限り、容姿に関しては、私より修ちゃんに似ていると思う。目の感じとか、鼻の感じとか。私の遺伝子は、見えないところで作用しているらしい。


「さーて、さっさと片づけ終わらさないとねー」


 おちびさんが機嫌よくテレビを見ているうちに、やり終えてしまおう! 洗濯機を回し、その間に朝ごはんの片づけをする。掃除機もかけたいけど、ちょっと早いかな。万が一、下や上でまだ寝ている人がいたら大変だから、掃除機をかけるのはやめておこう。


「朝ごはんを食べたばかりだけど、夕飯はどうしようねえ……」


 洗濯機が止まるまでの間、テレビ画面を横目で見つつ、夕飯の献立を考える。お義兄(にい)さんが届けてくれたピザとラザニアとコロッケは、冷凍室におさまっている。これは修ちゃんが疲れて何もしたくない時用だから、今日の晩御飯に使うのは論外だ。さて、どうしたものか。


「私一人なら、お茶漬けだけでごちそうさまできるけど、おちびと修ちゃんいるしなー……かず君、晩ごはん、なにか食べたいリクエストある?」

「みむろカレー!!」

「それ、お昼に行く洋食屋さんで食べられるやん?」

「じゃあー、お好み焼きー!」

「ああ、それ良いね。焼きそばもしようか」


 そう言ってから、ハテ?となる。修ちゃんち、ホットプレート、あったっけ? 今まで一度も見たことないような?


「けっこう単身赴任組やら若い子達が集まるんだし、ホットプレートとガスコンロぐらいありそうだけどなー」


 台所の流しの下と、上の棚を開けて目的のものを探す。たこ焼き器がなくても、ホットプレートぐらいあるでしょー?と思っていたらあった。しかもたこ焼き器まで!


「かず君! パパ、たこ焼き器もってるよ!! たこ焼きも作れるよ!!」

「たこ焼き!」


 今日の晩御飯は決まりかな?

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