妖精の声
ドングリ池はとても綺麗な池でした。
そして、とても静かな池でした。
ドングリを一つ、二つ、三つ。
クックは投げました。
これだけ投げれば叶えてもらえそうです。
ポチャン、ポチャンと池に音が反射します。
「ドングリ池の妖精さん。僕にゆきの花をくださいな」
音が止み、クックの声だけが反射します。
まだ願いは叶えられません。
「どうしても欲しいの。逆さ虹を照らしたいんだ」
声が帰ってきます。
知らない声です。
「どうしても欲しいの?」
「冬の真っ暗らな逆さ虹の森を照らしたいんだ」
「真っ暗が嫌なの?」
「春や夏は秋は明るかったのに、冬の森は真っ暗でみんなと遊べないよ」
「どうして遊べないよ」
「暗くて見えないから、みんな家で寝ているんだ」
「寝たら駄目なの?」
「わるくないよ。でも、みんなでもっと一緒にいたいんだ。人間みたいに」
「人間みたいに?」
「うん。だから欲しいんだ」
声はもう聞こえなくなり、綺麗な池には波紋が一つ。
真ん中には、白く明るく光る花が水面に映えていました。
「わぁ、ゆきの花だ!」
クックはよろこんで駆けよります。
そこが池なのを忘れて。
「わぁ!」
クックはポチャンと池に落ちてしまいました。。