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おひとよしのページ
キツネのページは言いました。
「やめておきなよ。危ないよ。それにもうすぐ暗くなる」
「でも、行きたいんだ」
「ドングリ池に行って何を願うんだい?何がそんなに欲しいんだ?」
クックは笑顔で答えます。
「僕、ゆきの花が欲しいんだ」
ページは驚きます。
「それはたぶん無理だよ。それにドングリ池に願ったって絶対とはかぎらないぞ」
ゆきの花はとても珍しいもので、ページも見たことがありませんでした。
「やめておきなよ。お母さんが心配してるよ、お家におかえり」
「でもね、でもね。こんなにドングリをいっぱい持ってきたんだ。きっと、叶えてもらえるよ」
クックはポケットからどんどんドングリを出してきます。
「僕、ゆきの花が欲しいんだ」
ページの溜息がこぼれます。
「じゃあ、急いだほうがいい。もう日が暮れる。俺の背中にお乗りよ」
クックはポカンとキツネを見ます。
「ほら、暗くなった道がかわらなくなるだろう。早く」
「ありがとう、ページ」
クックはぴょんとページの黄色い背中に飛び乗りました。