1.魔法に五大元素は不要
これは私が「魔法が存在する中世ファンタジー」を私の想像の及ぶ範囲でできる限りリアルに描くためのメモ書きです。
ファンタジーでは魔法に5大元素(火、水、風、地、空orエーテル、もしくは木、火、土、金、水)といった属性を付けてわかりやすくしている。しかしこれらの属性は宗教的な背景があって決められたものである。他にも時間や重力を操るだとかの魔法も頻出する。
しかし、実際にこれらの魔法に効果があるのかは疑問に感じられる。
一つ一つ検証していこう。
火を扱う魔法は相手を火傷させてダメージを与えるものとして扱われているがライター程度の火では戦闘不能にほどの火傷になるまで時間がかかる。大きな炎を扱えば使用者自身に襲いかかる可能性もある。それほど大きな炎を発生させることができたとしても周囲に可燃性物質と酸素がなければ燃え移ることはなく、敵軍に壊滅的打撃を与えるのは難しいかもしれない。それなら火炎瓶を使ったほうが現実的であるし、燃焼媒介を必要としない爆轟を魔法として扱った方が効率的ではないだろうか。とはいえ以下の魔法の中で一番有効な魔法と言えるだろう。
水の魔法は水を操作して敵を蛇のように飲み込み、無力化するというものがよく考えられる。しかしこちらも効果が高いとは言い難い。魔法を扱うためにはなにがしらのエネルギーが必要となる。そして敵を水で流すためには大量かつ継続的に水を扱わなくてなくてはならない。大量に水を操作しようと思えばその量に比例してエネルギーは消費されてしまう。水を球状に敵の位置にとどめ窒息死させるという手段もあるが、決闘ならまだしも戦争では現実的でない。そもそも水の魔法としてこれはそぐわない。水を扱ってはいるが行なっていることは念力のようなものだ。本来の水の魔法とは水を生み出すことであり、これは攻撃手段としては最弱に値するだろう。旅芸人の水芸にしか役に立たないだろう。
風の魔法はどうだろう。真空刃で遠・中距離から敵を切り裂くというものだ。これはなかなかに難しい。科学的見地に乏しい私にとって馴染みのない事象だからだ。調べてみると真空刃というものは現実的には人を傷つけるほどのものは起こりにくいと説明されている。真空刃以外にも衝撃波というものもある。音速飛行機が飛ぶとソニックブームという衝撃波が発生するらしい。しかしながらこれも人を傷つけるほどの能力にはなり得ないとされれている。ならば大砲のように何か砲弾のようなものを風の力で発車するというのはどうだろう。それこそ大砲を使えばいい。となりそうなものだがそうでもないかもしれない。この世界では魔法が存在することを前提に発展している。風の魔法があるから火薬なんて・・・となっているかもしれない。しかしながら風の魔法を使えるものが普遍的に存在するとは考えにくいため、火薬は誰もが扱えるものとして普及するだろう。無駄な議論であった。使うとしても火の魔法の爆轟の代わりになるくらいだと言えよう。
つい今竜巻を起こすという魔法を考えついた。地理的に条件はつくが非常に有用な攻撃手段になるだろう。幸か不幸か竜巻の始まりがどうなっているかはまだ解明されていないらしい。
さて、次は地(土)の魔法だ。これは水の魔法と同じように土を操作する魔法として描かれている事が多い。地面に手を当てて土流や壁を生み出すというものを思い浮かばせられる。この能力自体は非常に有用である。自然現象として土砂崩れは当たり前のように起こるし、塹壕を固める土囊も近代戦争で実際に使われているからだ。しかしながら水の同様の理由でこれは地の魔法とは呼べない。テレキネシスである。では地の魔法とはどのようなものになるだろうか。壮大なことを考えるとプレートテクトニクス、つまり大陸移動である。もちろんこれは血迷った考えである。地球自体に干渉できるほどのエネルギーが個人に秘められているとは到底考えられない。物語の終盤に人類全ての力を持って極大魔法を扱うという展開は少しそそられるが・・・。小さなことを考えると錬金術的なアプローチになるだろう。と言っても●の錬金術師のように地面から槍を取り出すというのは少し難しいかもしれない。地面が鉄で作られているならば鉄の槍になるが土で作れば土の槍しか作れないからだ。状況によっては強い魔法になるがドワーフのような製鉄業の人が使うというのがも最も理にかなっていると思われる。
エーテルは昔の仮説でしかないのでないものとして説明は省く。
木の魔法はこれまでの魔法とは違い、生命を扱う魔法である。それを扱うためには最低条件として種などの生命が必要となる。う●きの法則のようにゴミからは生み出せない。しかし種を急激に成長させたところで何ができるだろうか。林業の人々は間違いなく大喜びだが戦闘に使えるとは到底思えない。成長した樹木を持っていられるほどの筋力があるならそもそも殴れば良い。考えるべきは成長させる力という部分だ。これは人間の自然治癒能力を高める、早めるという能力につながるのではないだろうか。これによって少しの傷なら瞬時に再生してしまうゾンビ兵が出来上がるのではないか。もちろんRPGのように瀕死の人間でもすぐに治癒できる魔法ではない。魔法を使ってはいるがそれは生物の自然治癒を強くするというもの。つまり再生能力自体はかけられた人間に依存する。臓腑が飛び出ている人間が自然治癒によって回復するとは考えられないためこの魔法を使っても無駄といえよう。病気なども風邪ぐらいであれば治りそうではあるが自然治癒では治らない障害やガンなどはこの魔法では治らないだろう。
空の魔法はどうだろう。数ある魔法ファンタジーでもあまりこの言葉は聞きなれない。普通に考えると空を飛ぶ魔法だろうか。だからそれは念力だろ!!壮大なことを言うと気候を操るといったところだろうか。嵐を呼び、雷を落とす。とても魔法的だ。しかし、それは大陸移動に準ずる大魔法となるだろう。いつでもどこでも思ったように天候を操るというのは現実的ではない。現代の天気予報士でも簡単に間違えてしまうようにそれだけ複雑なものである。一定条件を満たしたら間違いなく発動できる(経験則的に)というのが現実的な話だろう。電気だけに絞れば操るのは可能かもしれない。ところで電気ナマズの豆知識だが奴らは周りを泳ぐ天敵たちを感電させる能力がある。しかしその時電気ナマズ自体も感電しているらしい。彼らは進化によって発電器官を手に入れたが、耐電能力は備えられなかったからだ。何を言いたいかは自明であろう。キ●アのような地獄の日々を送らなければ電気魔法は使えないということだ。それも物語的にはおいしいのも事実である。
このように5大元素を用いた魔法解釈がいかに可笑しなものか理解いただけたであろう。
魔法とは現象であり、ある一つの物質ではない。水・地・空・木はその名で良いのか疑問であるし、水に至っては有用性すらなさそうだ。
5大元素は魔法にとって必要なものではなく、むしろ思考を狭めるものでしかないことがお分かりになっただろうか。