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緑の色彩の中で

作者: 伊集院 大和







いつもの明け方の夜空の下に



不吉な鳴き声の鳥の声から

一日がスタートすることを想うと

嫌な一日になってしまうのでは ないだろうか。





時間が過ぎていき 不吉な鳴き声の鳥は遠くへ

飛び去って行ったようだ。














毎日を爽やかにさせてくれる鳥の声が

時間を境に 近くに聞こえ始めた。




この爽やかな さえずりとも取れる鳥の声に

耳を傾けながら この話を描いているのだが



もしも 外が雨ならば その声は雨に掻き消され



今日は晴れの日なので

元気よく大きな声で 鳴いているのだろう。






いつもは仕事へ向かう時間だが


鳥が私を呼んでいるようにも聞こえるので

どんな鳥が鳴いているのか 外に見に行こうか。









声から推測してどうやら 三種類ほどの鳥がいるらしいが


不吉な鳴き声の鳥が増え始め

爽やかな鳥の声が薄れていくのが分かる程である。







時間が過ぎ 明け方の夜空から

オレンジ色の陽が微かに見え始めた頃




普段は聞く事がない

キーン キーンと鳴く 鳥が1匹

遠くに聞こえたので 姿を追っていこう。







鳥が多く集まりそうな場所を探しながら歩いた。









漸く道なりに歩きながら





木が沢山生えている 墓地へと辿り着いた。






この場所は 夏の暑さを紛らわすために

数年前に一度 訪れた事のある場所だ。



この墓地に訪れた頃は


夏の暑さで 歩いていても

額から汗が流れ落ちる程だった。






鳥居をくぐり抜け

少しひんやりとした空気を感じながら


墓地の周りに見える大木を見上げた。







すると 不思議なことに






夏の暑さを 忘れさせてくれるぐらいの涼しい風が

ゴオォーッ と大きな音を立てながら吹き始めた。








賽銭箱の隣にある

墓地の案内板に書かれている文面を読むと

どうやら その大木は 樹齢600年以上らしく




そこに眠る人はどんな人だったのか

書いてある文面によると



足利尊氏の時代に 南朝側についた 武将の墓らしい。




スマートフォンを取り出し南朝側について調べた。






ネットの系図の情報によると




この墓地に眠る武将の時代に

どうやら系図の先祖も

南朝側についた武将らしい。








この場所に辿り着いた時に

夏の暑さを忘れさせてくれる涼しい風が吹いたのは





私の先祖も同じ時代を生きた武将だという史実が

墓地に眠る武将には解っていて


涼しい風を吹かせ

歓迎してくれたのではなかろうか。






数年前の夏に涼しい風に吹かれ







今日は 鳥の声を頼りに この場所に辿り着いたが


改めて 武将の眠る 大木を根元から見てみると



元は二本の楠木が生えていて

刀を刺し違える様に

二つの木が 幹から太く一つになり


時を重ね現在の大木に育っていったようで



この大木が生えている

600年以上の昔は


今の時代の様に 高い建物も無く

田んぼや 小高い丘 木々も多かったのだろう。




そう考えると この場所の敷地内は

緑の草の塀で囲まれ 大木以外にも木々は多く


太陽の眩しさを 遮ってくれていて

この時期でも 涼しい風が吹いている。



環境破壊や 森林伐採

人が住む家を建てるために

山を切り開いたりして 森が減って行き



建築に使われながらも 一部ではあるが

こうして木々に囲まれた場所も残っていて




時代と共に 失われつつある


緑の色彩に 囲まれている 僅かな時の中で











私は 先程の 一匹の鳥に


再び 会うことが出来たのである。










「文フリ短編小説賞2」













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