頭痛のたね
頭痛のたねというものがあります。
一般的には、何か抱えている悩みそのものだとか、あいつは俺の頭痛のたねだとかのように、頭痛をおこしかねない悩みの元凶をあらわす言葉ですが、ここでは物質的質量を持つ種子としての頭痛のたねを指します。
その頭痛のたねというものがこの世に物質的質量を伴って存在していること自体、知っている人は少ないと思いますが、実は今日現在、全世界でその数ぴったり5億9千603粒の存在が確認されているのです。
それでは実際に頭痛の発生するメカニズムを紐解くとしましょう。
ある人が頭痛を患っているとします。
その状況はすなわち頭の中に頭痛のたねが入り込んでしまっている状況を指します。
つまり、頭の中から頭痛のたねを物理的に取り除かない限り頭痛は消えないということです。
いやいや、頭痛薬があるではないかとおっしゃる方もおられるということは重々承知しておりますが、残念ながらそれはまやかしです。薬で頭痛が治るわけがありません。治った気になっているだけです。人間なんて気の持ち様でどうにでもなる心の動物なのです。
ではどうすれば頭痛のたねを取り除けるかと言いますと、偶然(外的要因のほか薬や我慢や気分転換などの気の持ち様を含む)に頭痛のたねが頭の中から立ち去ってくれるのを待つ以外は、あまり推奨される方法ではないことは前もってお断りしておきますが、だれか頭痛の身代わりになってくれるよう強く念じるかして、実際に頭痛のたねを他人にうつしてしまうしかないのです。
世界中に存在する5億9千603粒ぴったりの頭痛のたねはどういうわけか増えもしなければ減りもしません。ということは常時世界中にはぴったり5億9千603人の人が頭痛を患っているという計算になります。
なので、頭が痛いときは自分に頭痛のたねがうつってきたのでその瞬間に世界のどこかで誰かが頭痛から開放されたんだと喜ぶようにしましょう。また、その反対に頭痛が治ったときは世界のどこかで自分の身代わりに頭痛になってくれたんだと感謝するようにしましょう。
そう考えることであなたも頭痛とうまくつきあっていけるはずです。
え?頭痛と同じように腹痛のたねもあるかどうかですって?
安心してください。結論からお話しますとそれはありません。そのかわり腹には腹のむしというものが存在しています。
でも今は、腹のむしについては考えないでおきましょう。うっかり頭痛のたねがうつってきてしまってはいけませんので。