表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
C# -しーしゃーぷ-  作者: 穏乃
結成は唐突に
2/10

2# -結成は唐突に2-

宮本穏乃さん。私と同じ一年生でクラスは二つ隣の一年五組。

小学4年生の頃からベースをやっており、中学生時代はバンド活動もやっていたらしく楽器をいじるどころか楽器の種類もろくに知らない私とは大違いの楽器経験者だ。それも5年という大先輩にあたる。

それに比べて私は小学生の頃から何もできなくて、ただの劣等生。そんな自分を変えたくて新しいことに挑戦しようとわざわざ同じ中学の子があまり志望しなかったこの七海学園に入学したんだ。

「篠がそうするなら私もそうするよ」

そう言ってくれた親友がいる。幼稚園の頃から私を支えてくれた大親友。

立花静。

幼稚園で私がいじめられていたときに声をかけてきてくれた子。端から見てたらすごい馬鹿みたいに見えるけど、根は真面目で、ずっと私のことを気にかけてくれている大事な幼馴染だ。

「その立花さんって人も軽音部に入ってくれるの?」

私と宮本さんは軽音部設立のために職員室から部活設立届けをもらい、最後の一人である静を探していた。まだ静も部活を決めていないので放課後だけど学校にいると思うんだけども。教室付近には見当たらなかった。

「ーーー誰か歌ってる?」

「え…?」

宮本さんにそう言われて耳を傾けると聞き覚えのある歌声が聞こえた。中学生時代合唱コンクールでよく練習したときに聞いていた綺麗な歌声。ふだんはかなりがさつだけれど音楽のときはそれを忘れさせるような歌を歌う幼馴染の歌声が。

「静…?」

その歌声は多分方向的に使われていない方の第二音楽室の方から聞こえている。第二音楽室、もし軽音部を作るならそこで活動するように先生に言われている。私は自然にそちらの方向へ足を運ぶ。こちらの音楽室は教室から遠いとのことで現在は使われておらず、夏休みの補修くらいしか使われない。いまの時期に放課後に人がいるのは不思議だったりもする。

「静…」

音楽室の扉を開くと窓に腰掛ける幼馴染の姿があった。

「篠がここにくるのはなんとなく察しがついてたんだよね」

私が音楽室の入ってきたことに対して驚きもせず、私と後ろから追いかけてきた宮本さんの方を見ながら静はそうつぶやく。私がここにくることがわかっていた?

「今日学校に行く途中電気屋の前のテレビ見て足止めたよね?」

確かに足を止めた。確かにこの音楽室にくるきっかけとなったのはあのテレビだったけどもあんな一瞬の出来事で私がバンドをやりたいと思うところまで予想がつくなんてさすがは私の幼馴染なのかも。

「えっと」

私よりも困惑しているのはどう考えても私の後ろにいる宮本さんだと思う。

「宮本さん、この子がさっき言ってた心当たりで私の幼馴染のーーー」

「立花静です、宮本ーー」

「あ、私は宮本穏乃っていいます!」

宮本さんはご丁寧に静に頭を下げる。



「いやでも篠がバンドとか意外だわー」

バンド活動をするということはつまり楽器を演奏をするということ。宮本さんはベースをやっていたのでベースを持っている。さっき話し合った結果私がギターで静がドラムということに決まったのだけど、静は学校にあるドラムを使うとして私はギターを購入しなきゃならない。中学のとき特にやることなく為続けたお小遣いとお年玉があるのでお金に関しては問題ないと思う。5万くらいあれば買えるかな?

ということで三人部員を揃えたので設立届けを題した私たち新生軽音部は、私のギターを買いに楽器屋にやってきた。私は楽器屋さんは初めてで少しウキウキ気分でもあったりする。お店の中に入るとギターやベース、アンプやドラムなどいろんな楽器や機材が置いてあった。どれも目新しいもので関係のないものにまであっちこっちに足を運んでしまう。

「あの、宮本さん」

「ん?」

私はギターのコーナーに並んでいるラケットのガットのようなものに興味を示せば、指を刺しながら私の隣を歩いていた宮本さんに声をかける。ちなみになんでラケットのガットを知っているのかというと、中学生のとき、生徒会の活動でソフトテニスの試合の補助に行ったときにガットを見せてもらったからだったりする。

「これは弦だよ」

「弦ってあの糸みたいなやつ?」

「そうそう」

私は驚いた。ベースとギターの違いも知らなかったので、なんでベース用とギター用で分けられているのか。なんで同じベースやギターでもこんなに種類があるのか。新しいことばかりで正直ギターを買うどころではなかった。

「じゃ、じゃああれは?」

「あれはエフェクター。ギターで使うから篠も雑誌とか読んで勉強しておいたほうがいいんじゃないかな?」

弦にエフェクターと、バンド活動をするのに覚えることがいっぱいありそうだ。っと、

目的のギターを忘れてた。私はギターが置いてある場所を探す。そこで気がついた、静がいない。さっきまでそこにいたはずの静がいなくなっている。

「あれ?」

振り向くと静はドラムのおいてるるところで立ち止まっていた。立ち止まって見ているのはどうやらドラムを叩く棒がたくさん並んでいるところだ。

「スティックくらいは自分の使いやすいやつ買っておいたほうがいいと私は思うよ」

ドラムを叩く棒、スティックを選ぶ静に助言するように後ろから宮本さんが声をかける。

「スティックも色々種類があって、軽い方が使いやすいけどあんまり軽すぎるのも良くないんだよ」

宮本さんと静はスティック選びに夢中になり始める。私がギターを選ぶのはもう少し後になりそうだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ