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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

SF

肉を食べられる、唯一のレストラン ~ただし、代償が必要です~

作者: いかすみこ
掲載日:2026/07/03

しいな ここみ様、主催。『焼肉短編料理企画』参加作品です。


これは、焼き肉なのか……

 西暦XXXX年


 世界は全てオートメーション化され、生存する生物は人間のみだった。


 清潔で完璧な都市。


 しかしその中でも人間の原始の本能は残っていた。


  都会の地下街にある目立たない一角にある店。


 看板は出してない。


  しかし噂を聞きつけた人たちが 今日もドアをノックした。


  迎えた白髪の店主は、客に告げる



「 確かにこのレストランは、唯一肉を提供できる店です。しかし、お客様には代償を頂くことになっています」


  客は焦りながら答えた。


「もちろんだ! 金ならある!」


「お金だけでは、ないんですよ」


 店主は再び告げる。


「それも充分承知している。私はもうこの歳だ。そんなに長くはないだろう。今更失っても、困るものはいない。最後に一度だけでいい。私はずっと夢を見ていたんだ。子どもの頃に読んだ、本の体験をしてみたいんだ」


  店主は静かに了承した。


「かしこまりました。ご覚悟があるようですので、肉料理を提供させていただきます」


  客は満面の笑みを浮かべた。


「そうか、ありがとう」


「 焼き加減はどのように致しますか?」


 客は戸惑った。


「……わからない……どうすればいいんだ?」


「それではミディアムレアにしましょう。あと一つ質問。どこの、『部位』にしますか?」


  客は心に決めていたのか、今度は即答だった。


  「左手を頼む」


  「わかりました。それでは、切断手術から始めます」


 どこからともなく店員が現れ、客を店の奥の部屋へ案内した。




  人間以外の生物が、すべて駆逐された清潔な世界。


  食用の肉は、工場で作られた人工蛋白しかない。


 この社会で、本物の生き物の肉が食べたい場合はどうすればいいか?


 たった一つだけ許されている方法。


 それが、自分の肉を食べること。


 このレストランは、法律に基づき営業されていた政府公認の場所だった。




 客を案内した部屋から、たった一人の店員が出てきた。


  店主は、年老いた自分の部下に声をかけた。


「お客の手術の準備ができたか?


  店員は、答えた。


「できました」


 静かにそう告げる彼は、杖を使っていた。


 なぜなら、左足がなかったから。


「そうか」


  微笑む店主は、眼帯をしていた。


 なぜなら片方の目が、なかったから。

シリアスな不条理系ホラーに挑戦して、ぜんぜん不条理な結末にならなかった私はハピエン厨。_| ̄|○


最後に企画主の しいな ここみ様に御礼申し上げます。

ありがとうございます。楽しかったです(*^▽^*)





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― 新着の感想 ―
合法なのはそれだけなのかぁ……。じゃ、仕方はいですね。 もちろんどんな時代にも違法なものに手を出すひとはいそうですけどね(*^^*) 産みたての我が子ならバレないかも? ちなみに私は自分の親指の付…
な、なんと……(´;ω;`) まさかの展開にびっくりです。 しかも、ブルータスおまえもか状態……。 人の欲求は抑えられるものではないのかも。 色々なお肉を頂ける今の世の中に本当に感謝ですね……。 いか…
肉……確かに。 そういう世界になってしまうと、そうなりますかね。いや、むしろ自分のより、他人のを高額でという事件もたくさん起こってそうですけど。
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