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【1話前編】
ある春の日の朝、憂鬱ながら目を覚ます。
静かな部屋に小鳥の声が聞こえてくる。
(あゝ今日が始まる。)
僕はこの世界が嫌いだ。
学校も家も先生も家族も何もかもが嫌いだ。
毎日が苦しくてたまらない。
現実が見たくない。
そう思いながら家をでた。
あえて遅刻するように駅のホームで時間をつぶし、電車に乗った。
朝の近くの大きな公園。
人は少なく、居たとしてもお年寄りなどがお散歩しているくらいだ。
僕は楓の木陰に隠れてオーバードーズをした。
そして、薬が効いてくるまで辺りをうろつき近くの図書館へ向かった。
公園同様人は少なく、人が苦手な僕からしたらとても好ましい環境だった。
やがて薬が効いてきて、目の前が歪みだす。
ふと公園に戻りたくなり公園へ向かい、公園の大きな石に寝転んだ。
ゆっくりと石の温度が伝わってくる。
ひんやりしていて、まるでさっきまで冷やしておいた接触冷感の敷きマットのようだ。
視界は歪みとぼやけで辺りの物や人がミニチュアのような感じだった。
まるで、さっきまでの現実ではない可愛らしいジオラマの世界にいるようだ。
僕はこの時点では幸せだった。
現実逃避で学校をサボり、見たくない現実を忘れられ、したいようにいれる。
そんな時間が幸せだった。
この後、酷くなることも知らずに。




