55.ヒロインなんですが必殺技を使う時がきました
うーん、と皆が悩んだまま少し時間が経ってしまった。
沈黙を破るように私が発言をする。
「学校以外での学びに特化すると美術館や遺跡……あ、あと、動物も学びといえば学びなのかな」
改めて資料に目を通す。
子どもの頃に遺跡へ行った記憶はうっすらとあった。
カメリアが生まれるよりもずいぶん前だから、6、7歳くらいだろうか。
石造りの階段や神殿が時間の経過で少し崩れているところもあったが、ほぼ現存されていた。
幼いながらに古くて大きくてすごいな、という印象しかなかったけど、なんの遺跡だったんだろう。
パラパラと絵だけではなく、内容も読みこんでいくと、最近王族のお墓らしきものの地下入口も発見されたらしい。
説明を読んでみると衝撃的な事実が記載されていた。
「え、遺跡ってフルール様よりも前の時代のものなんだ!」
「お前、そんなことも知らないのかよ」
「いや、あんまり意識したことなくて。へぇ~、すごいね。2000年前の……」
「最近新たに発掘されたものもあったから、定番かもしれないけどセージと私で案に追加してみたんだ」
「教師の反応も良いだろうしな」
「たしかに、ここも観光地みたいになってるから食べ歩きやランチも事欠かないね」
再び議論が盛り上がる。
「学校よりもちょっと遠いし、あえて行くような場所でもないし。良いかも。でも、動物も良いな~」
「そんなに遠く離れてもいないし、そこ2件行っても良いんじゃない? 下見と親睦ってことで」
「あと、サジェス卿のリフレッシュね」
クロトンと私が盛り上がって話していると、ローランはほっとしたように笑った。
「じゃあ、この2件にしておこうか。良かった、5件まで絞ってはみたけど、全部行くのは大変だなと思っていたんだ」
「では、決まりだな。となると、ここでの昼食や実際のルート。時間配分がどうなるか。施設への訪問の相談もしておこう」
そして、セージが細かなところを詰めていく。
話がある程度落ち着いたところで、生徒会の話し合いはお開きとなった。
そういえば、静養地にずっといたし、首都に戻ってからは乙女ゲームの展開が始まらない! と焦っていたから、あまり町や観光スポットを楽しんだことがなかったことに気付く。
せっかく大好きな乙女ゲームの世界に居るのに、もったいないことをした。
今からでもこの世界を楽しみたい。
それに、今回は攻略対象達とのお出かけ……いわば集団デートと言っても過言ではない。
初めてのデートに私もいつもより気合が入る。
そして、最近私はある言葉を思い出したのだ。
『デートの時は『わぁ! わたし、こんなのはじめて!』を使えば、男はイチコロなのよ。デートの時は使いなさい』
そう、乙女ゲーム友達ののんちゃんは言っていた。
……のんちゃんに恋人が居たとかは聞いたことないけど、乙女ゲームの猛者と言われたのんちゃんに教えてもらったこの必殺技は多分使えるはず!!
それに、実際私は初めて行くんだから、このキラーワードも使い放題だ!
ようやく、それを使う日が来たのだ。
この集団デートを、成功させて乙女ゲーム展開に進めるようにしてみせる!
親友からもらったキラーワードで!!
「楽しみだね!!」
私は心の中に『わぁ! わたし、こんなのはじめて!』という武器を秘めながら、皆に笑いかけた。
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