表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインなんですが誰も攻略してくれません!~誰か攻略してください~  作者: minori


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/59

45.ヒロインなんですが前世の足跡を探しに行って参ります




 美食の国、のどかな田舎町フェスタン。

 私とヴィオレは早速、学校がお休みになった日、朝早くからフェスタンへ馬車で出発した。


 ソレイユ王国とは違って、小国であるフェスタンの道の舗装は行き届いていないようだ。

 さっきから、お尻が浮き上がるほどのガタガタ道が多い。それでも私たちは文句も言わず、ただ黙って馬車の外を見ていた。緊張するような、でも期待をしてしまうような。そわそわとした気持ちを抱えながら、馬車に揺られている。


「母ちゃん、見つかるといいね」

「あぁ……」


 少しいつもより緊張した空気のまま、私たちはフェスタンに降り立った。


「ここが、フェスタン……」


 綺麗な小川、小さな橋。ベージュや薄いオレンジ色の漆喰壁の家が立ち並び、足元には小さな野花が咲き乱れている。ふくよかなおばさま達が談笑していたり、人の往来もほどほどにはある。自然が豊かで明るい良い雰囲気。まさに、のどかな田舎といった風情だ。

 ソレイユ王国とはまた違った雰囲気のあるフェスタン。空気もいつもよりおいしい気がする。

 ガタガタ道でお尻が痛くなった私たちは、ぐっと体を伸ばす。ふぅ、と深く息を吐いて、顔を見合わせた。


「よし、早速行くか。まずは聞き込みだ」

「うん!」


 小さな町だから、きっとすぐ見つかるだろう。

 そんな気持ちで私たちは聞き込みを始めたが、こんな甘い考えはすぐに打ち砕かれることとなる。


「気まぐれ女将のリズセット……? 知らないねぇ」

「うーん、農家さんが直接出しているものかな。たまに農家さんが直接販売に出ていることがあるから」

「リズだろ? 人が食べるもので出してるとこなんてあったかなぁ……」

「軽食ならうちのパンも美味しいよ! どうだい」


 色々な人に聞いてみても、こんな感じでまったく認知度がない。

 最後のおばさんから買ったパンをかじりながら、私たちは階段に座り込んで食べ始めた。固い……かぶりついてみたものの、歯が持っていかれそうだ。

 固いパンをかじりながら、二人で深くため息をついた。


「いやぁ、すぐ見つかると思ったんだけどな……」

「お祭り用の名前なのかな、もしかしたら」

「だとしたら、見つかるのだいぶ時間かかりそうだな。しかし、美食の国って言ったけど、このパンも味は悪くないけど固いし、どうなってんだろうな」

「……あぁ、ローランが言ってた食糧不足だからなのかもね。お休みのお店も結構あったし」

「そっかぁ……もし母ちゃんたちがいるとして、大丈夫なのかな」


 ぽつりと呟くヴィオレ。それは、私もちょっと考えた。

 町の人も明るくて穏やかで治安悪化の雰囲気は見当たらなかったけど、閉店しているお店は結構目立っている。今後の情勢がどうなるか、というところは、やはり少し心配なところ。

 道がガタガタのまま舗装されていないのも、財政が良くないせいなのかもしれない。

 二人で固いパンをかじっていると、賑やかな声が聞こえた。がっしりとした体格の男性達が集まって昼食を食べているようだ。すぐそばの橋の工事をしているみたい。


「え、あれ!!」


 ヴィオレが工事現場の職人さん達を指差して叫ぶ。

 私も目を凝らして改めてみると、そこには探し求めていたものがあった。


「おにぎり!! おにぎりがあった!!」


 私たちが興奮して叫んだ声に、おじさん達はにこにこしながら手を振ってくれた。

 すぐにおじさん達に駆け寄る。


「おじさん!! それ!!」

「あぁ、おにぎりのことか?」

「おにぎり!! おにぎりで良かったんだ、名前。どこで買ったんですか?」

「これは気まぐれおにぎりボックスっていうんだ。昼の時間に配達にきてくれるんだよ」

「ほんと、うめぇよな。これ。飼料とは思えねぇもん」

「パンとかよりも腹持ちも良いしな」


 おじさん達は嬉しそうに昼食の紹介をしてくれた。

 ごはんは飼料として使われているものだったようだ。


「それどこで買えますか?」

「えっとぉ……この道をずっと行った先の街のはずれにある農家さんだよ。でも今日の分はもうないかもなぁ」

「いいんです、とにかく行ってみます!」

「そうか。お嬢ちゃん達、この町のもんじゃないだろ。どこからきたんだ?」

「ソレイユです」

「へぇーソレイユから! これ探しに来たんか?」

「あー、そうっすね! 祭りで食べた焼きおにぎりが忘れられなかったんで」

「そうだよなぁ、あれ癖になるよなぁ! 気を付けていけよ!」


 ヴィオレがうまく誤魔化してくれて、お米を作っている農家までの道筋がようやく見えた。これで、母ちゃん達に会えるかもしれない。

 おじさん達は機嫌良く私たちに手を振りながら見送ってくれた。

 私たちはおじさんに教えてもらった道をただただ歩いていく。逸る気持ちが抑えられず、いつの間にか駆けだすような速さで、長い道のりを進んでいった。


なんと、スピンオフ含め50話目です!

読み進めてくださっている方、本当にありがとうございます。

すみません、ちょっとわーっと更新をさせていただきます。

朝の予告通り、夕方17時10分頃にも更新いたします。そちらも読んで頂けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ