4.5攻略対象のはずでしたがサポートキャラになりました
4話後、ヴィオレ視点のスピンオフです
アイリス、もとい前世のねぇちゃんを校門まで送り届けた後、俺は生徒会室に戻っていった。
すこし日が落ちてきたけど、ローランはおそらくまだ仕事をしているのだろう。
生徒会長として在校生徒の意見を聞いて、学校をさらにより良くするとか。平民として入学した人たちが何か大変な思いをしていないか。生徒だけではなく、教師の働き方、教師と生徒でトラブルはないか等王立学園とはいえ、まだ入って2年目の生徒である王子がそこまで手をかけるのかと、正直俺から見れば気にかけ過ぎなほど色々と気を回して自分で仕事を増やしている。けど、そういう人間が王族ということはきっと良い国になっていくのだろうなと思う。
生徒会室に入ると、案の定ローランは先ほどとほとんど変わらない姿勢で書類と向き合っていた。扉を開いた音でこちらに目をむけてくる。
「遅かったな、アイリス嬢とはゆっくり話せたかい?」
「あぁ、遅くなって悪かった。」
「いや、かえって捗って良かったよ」
「ひっでぇな」
楽しそうに軽口を叩くローラン。
ねえちゃんのやっていたゲームだと完璧な人間で典型的な王子様キャラに見えていたけど、実際は軽口も叩くし、礼儀正しく振舞えば堅苦しいと怒ってくるし、友人として面白いし良い奴だと思う。
それにしても、先ほどの初対面の時から気になってはいたのだが、あのねぇちゃんを見てすぐ女神の祝福を受けたアイリスだなんてよくわかったなと疑問がふっと湧き上がる。
「そういえば、よくすぐに彼女がアイリスだってわかったな」
「あぁ、子供のころに一度会っていたからね」
言われてみるとそういえば、ゲームでそんなエピソードがあったような。
いや、それにしてもおそらく結構な変わりようだと思うのだが。
昔から太っていたってこと……なのかもしれないが、それにしても今の姿ほどではないような気もするし。子供のころにあそこまでは太れないと思うのだが。
アイリス嬢って昔から太ってたか? なんて流石にマナー違反もあるが失礼だろうし、口にするのも憚られるなと悩んでいるとローランが不思議そうな顔で首を傾げながら俺に聞いてきた。
「なんだ?」
「いや……多分、彼女子供のころと比べると結構な変わりようだっただろ?」
「そうかな、成長していたから気がつくのは遅くなったが、特別変わっていたようには見えなかったけど」
「いや成長っていうか、うんまぁ成長つったら成長だけどよ。……ん? 特別変わっていたようにはって」
ローランは過去を思い出すかのように視線を上方向に向けながら、顎に手を当てる。
そのあと、久しく見ていなかったような表情で柔らかく微笑んだ。
「昔からアイリス嬢は愛らしい子だったよ。それに……ふふ」
「それになんだよ?」
追及するも楽しそうに笑うだけのローラン。
長い付き合いだからこそわかるが、これ……言う気ないな。
しかしながら、姉のこれからの道筋の把握もしたいし、できればというかかなり知りたい情報ではある。
怪訝そうな表情で返答を待つも、悪戯をした子どものような表情でローランが言った。
「……これは大事な思い出だからね。お前には秘密にしておこう」
案の定の返答だったが、「なんだよ、それ」と追及すると、邪魔をするなと牽制をされてしまった。
その後は何を言っても書類の手を止めない。
仕方ない、と諦めながらもとりあえずアイリスに対して悪い印象は抱いていないのであろうことに少し安堵する。
というか、むしろ好印象を持っていそうな様子のローランに、もしかしてふくよかな女の子の方が好みなのか? とダイエット作戦の決行を少し悩んでしまった。
いや、でも太りすぎは健康にも良くないのである程度は頑張ってもらおう。
ハッピーエンドに向けて、俺も全力でヒロインをサポートしていく。
……俺、サポートキャラじゃなくて攻略対象キャラのはずだったんだけどなぁ。
読んでいただきありがとうございました。
先生方の働き方改革や学校環境の向上等、現実でも推進されていくと良いですね。




